医療の機能分化と役割分担(1) |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2006年09月01日 23:19 |
先日、『医業も商い』で、診療所と地域中核病院の役割は大きく異なることに触れました。
従来、診療所やクリニックは、「かかりつけ医」として一次的な役割、ベッドのある(200床以上の)地域中核病院は、手術や高度な技術を要する急性期医療、高度医療機器を扱う検査など二次的医療に注力せよという、厚生労働省が示す医療行政のひとつの方針のはずでした。
この方針に添うために、どこの病院も競って地域医療連携室を設置したのですが・・・・
ある金曜日の昼の時間帯のことでした。
その頃頻繁に患者さんの紹介を受けていた、近隣診療所のK先生(もともと病院のOB医師でもありました)から、
「在宅で診ている91歳末期がん患者が、熱を出したので入院させてほしい。診療情報提供書(紹介状)はFAXするから」
という電話を地域医療連携室で受けました。
この時間帯は微妙で、まだ午後の診療までは時間があり、事務方が入院を決めるわかにはいかないので、直接外来に来てもらうこともできません。当時はPHSが導入されておらず、医師に電話をつなぐことも難しかったのです。
私は即座に医局まで出向いて、その日の内科の救急当番であるY先生に事情を説明して対応をお願いしました。
Y先生の顔色はみるみると変わりました。
「どうして、その程度(熱が出た)で入院なの?K先生、そんな症状も診れないの?K先生、ここにいたとき、ちゃんと診てたじゃない。ここに入れてどうするの?ベッド空いてないんじゃないの。
それとも、何?紹介率あげるために、誰でも受け入れろってことなの?K先生の紹介だから受けろってこと。
受けて、そんな高齢の患者さんに、どんな治療するわけ?抗がん剤投与で、がんがん積極的に治療しろってこと?
酸素は必要?どうやって運ぶの?認知症は?
えっ~、そんなことも確認してないの?困るよ。
それじゃあ、幼稚園か小学生と同じじゃない。給料もらってやってんでしょ・・そんなことも確認できないで、電話の内容そのまま伝えられても、ここ病院なんだぜ。いないほうがマシなんじゃない」
唾飛ばして話さなくてもわかるよって内心思いながら、顔は青ざめていました。たぶん・・
猛烈な剣幕のY先生より、その場にいた地域医療連携室長兼務の副院長や、救急担当副院長が、ただ聞き耳を立てながら、黙って知らん振りをしていることのほうが私にはがっかりでしたが。
どうなったか続編は次回。
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コメント
人間関係とは、実に複雑怪奇で難しいですね。人間が正しいことを正しく評価し、即、行動出来たら世の中かなり改善されると思います。
医の現場は即、命に関わってくる問題なので、我が身の大切を思えば、誰でも責任放棄をしたくなるのでは!?、、、。
しかも休息時間、本来、出来ぬ堪忍、するが堪忍と言う言葉が有りますが、何を行うにも自分としっかり契約を結ばないと出来ぬ事なのでしょうね!!
続きを期待しております。処方を間違えるといけませんからね。
>m,n。様
いつも、コメントありがとうございます。
先生方のお仕事は、少なくとも、時間で細切れにできない、「ココで終わり」がない繰り返しでした。
使命感がないと続かないお仕事だなあと感じることもありました。
でも、そんな建前と本音は大きく違うのが、まさに医療の世界なのだと思います。