第16回

投稿者: | 投稿日時: 2006年10月13日 13:34

私が受けた手術は「十二指腸転位術」。
上腸間膜動脈(SMA)の下にある十二指腸を、
動脈の上でつなぎなおすというシンプルなもの。
位置を換えることで、
十二指腸が挟まれて通過障害を起こすこともなくなるという理屈だ。
十二指腸の押しつぶされて細くなっていた部分は切ってつないだらしい。

この手術方法については、術前に主治医から説明を受け、
そこに同席していた研修医のドクター(文章をまとめる能力がきわめて高く、
加えてイラストが天才的にうまい)がノートしてくれたおかげで、
十分に理解していた。

しかし、


痛みをはじめとする術後については
まったく考えが及んでいなかった。

痛い。
息をすると痛い。咳をすると痛い。痛くて痰が出せない・・・
寝返りをすると痛い。起き上がれない。
熱は相変わらず高く、頭はボーっとしたまま頭痛は強くなる一方だった。
まるで自分のからだではないようで、
ただ身動きもせずベッドの上でじっとしているだけ。
開腹手術をいかに甘く考えていたか、いやというほど思い知らされていた。


痛いという訴えに、看護師さんが痛み止めの点滴を持ってきてくれる。
すがるような目で点滴を見つめると、
その先の看護師さんが信じられないことばを発した。

「痛みが薬で止まっているうちに、歩きましょうか」

「???」
(まだ、いま部屋に帰ってきたところなんですけど・・・)

「立ち上がる練習をしましょうか」

(痛いのに?苦しいのに?具合悪いのに???)

「ゼッタイ無理です」
言ってはみたものの、
12年間陸上部で鍛えた体育会根性が目覚め、なんとなく悔しい。

次の瞬間はまんまと看護師さんのことばに乗り、立ち上がろうとしていた。

「痛い-----っっっっっっっ。」

<次回へつづく>

<<前の記事:ト・シ・マ    聖路加QHR:次の記事>>

コメント

あれ?どうして2回掲載されてしまうのでしょうか?すみません。

どういう手術だったんだろうかと思っていましたが
なるほど、よく分かりました。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。