死因究明検討会7 |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2007年08月10日 10:19 |
本日、中間とりまとめがなされる予定です。
午後から傍聴に行って参ります。
傍聴記のアップは夕方以降の予定です。
では傍聴記を。
いつものように事務局がこれまでの議論を取りまとめた資料を説明
それから議論に入る。
前回欠席した山本委員の意見も事務局で聴取して加えたとのこと。
今回は楠本委員が欠席だった。
資料は、これも毎度だが
厚生労働省サイトにアップされるものを見てほしい。
(こんなお役立ちサイトもあるようだ)
前田座長
「山本委員の意見が追加されたそうなので、これについて説明を」
山本委員
「私自身は医療紛争というのは、裁判外紛争処理ADRを用意することが望ましい分野だと考えており、その仕組みが民間で用意され、第三者機関と役割分担し連携するのが理想的と思う。ただし、放っておけば自動的に形成されるかというと疑問だし、現状は不確実で流動的に見える。今の段階では、そういったものが作り上げられるよう、国民レベルで検討・努力が継続的になされていくべきで、そのことを担保できる仕組みが必要でないか。具体的には様々な関係者が集まって議論するような場の設定が必要でないか。見本は、金融庁が置いた「金融トラブル連絡調整協議会」というものがある。設置から7年経ってADRのモデルを作成したり、その実施をフォローしてきている。医療においてもこのような場を設ければ、望ましい紛争解決の在り方を見出せるのでないかと提案させていただいた」
前田座長
「今の意見に対して何か。よろしいでしょうか。この意見も中間報告に盛り込むことで進めたい。ここからは全体についてご意見をいただいて取りまとめたい。一言一句変えたらいけないということはないけれど、ただ今回を含め7回議論いただいているわけだから大枠について大きく動かしてしまうのは難しいことをお含みおきいただきたい。できれば全員からご意見を頂戴したい」
いつもそもそも論に戻ってきて議論が紛糾しているので
今回は予定調和でお願いしたい、というところだろう。
だが、そんなに簡単にいくはずなかった。
樋口委員
「もう少し早く気づけばよかったのかもしれないが2つある。まず一つ目。この文書は、厚生労働省の試案が囲みの中に入っていて、その後ろにこの検討会で出た意見が続くという構成とのことだが、その出発点の試案の中に後の意見で触れられていないものが少なくとも3つある。まず監察医制度等の現行の機構や制度との関係をどう整理するのかということ、次に調査組織の設置単位についてアジェンダにはあるのに意見にないのはどうなっているのかと尋ねられるかもしれない、最後に届け出、特に医師法21条との関係に関して対応する話できていない、したかもしれないが少ないような気がする。ついでに大きな二つめ。この報告書の読み方はどうなっているのかということ。というのが、語尾が「~でないか」というものと「~である」という部分がある。今までの資料を読んだ方から出た卓見だが、「~である」と書かれた部分については、この検討会でコンセンサスが得られたものということになるのか。「~でないか」の部分との違いは何なのか、少なくとも委員の間でコンセンサスを得ておく必要があるのでないか」
前田座長
「3点落ちているというか試案に応じた記述がないとのことだが、確かに解剖や監察医のことに関しては具体的に何か書くほどまとまっていないというのが正直なところで、これについて事務局はどう考えるか」
実際に事務局が意見を取捨選択して作文しているのだから
どうするつもりなのかは事務局に尋ねるしかない。
最初のころは尋ねるのが申し訳なさそうだったが
最近は堂々としてきた。
佐原医療安全推進室長
「監察医の件は議論の整理としては書かれていない。設置単位の件は、議論の中で8つの支部を置いてはどうかという意見があって特に異論はなかったが、十分議論いただいたとも言えないので『~ではどうか』という記述になっている。届け出の問題、まだまだご議論いただきたいと思っているし、必要であればこの段階で議論していただいても結構だが、秋以降にご議論いただいて対応したいと考えている。読み方の『~である』と『~でないか』の違いだが、もともとは議事録から起こしているので、議論の中で異論はないのでないかと判断した部分は『~である』に反論はなかったけれど十分議論したとも言えない部分は『~ではないか』としており、両論出てきた部分に関しては別途分かるように記載している」
おっそろしー、である。
樋口委員が尋ねなければ、委員たちも知らない間に
ニュアンスを決められていたことになる。
(中略)
堺委員
「事務局の説明では、設置単位について8つという意見が出たことになっているが、これは高等検察庁の数に対応しているのか。厚生労働省なら全国に7局のはず。そういう意味でも、この段階で数を規定するのはいかがなものか。異論がないとこのままの文言になるというなら留保したい。それから『メディエーター』という言葉が盛り込まれ、何をする人かはその後ろの部分を見れば分かるのだが、この報告書は広く国民が読むと思う。日本語で分かるようになっている方がよいのでないか。できるなら日本語で置き換えてほしい」
前田座長
「8つについてあまり深く考えなかったが厚生労働省なら7つになるのか」
佐原室長
「地方厚生局は7つで、その他に四国がある。8つというご指摘は、中国と四国とで一つずつということだった」
前田座長
「数を言わないわけにはいかないような気はする。『いくつかの』では漠然としすぎている」
佐原室長
「試案でブロック単位か県単位かという問いかけをしているので、ブロック単位ということにはなるのだと思う」
堺委員
「他にも反対の意見がないものは書いたということだと精査する必要があるので、今後も議論が続くという前提であってほしいと要望したい」
前田座長
「もちろんフィックスするという趣旨ではなく中間整理のための取りまとめだ」
高本委員
「届け出の範囲のところで義務化とペナルティを科すことになっているが、範囲をしっかり決めないと現場は混乱する。全国で年に70万件、医療機関での死亡があり、それを全部届けろというわけではなかろう。どれを届けるのか判断するのは現場しかできない。しかし今でも医師法21条で届けるか迷って困っている。基準をハッキリすべきだろう。それから『ペナルティ』という言葉が強い。むしろ医療安全に資するというより、医療現場を恐怖に陥れる。せめて行政指導のような言葉にならないか」
途中段階で、大した議論もなく義務化と罰則とが通ってしまい
大丈夫なんだろうかと思っていたが、やはり心配になったらしい。
前田座長
「ペナルティに関しては科すべきで一致したのではなかったか。ニュアンスの問題で、先生が心配されているより、もっと緩いものだと思う。刑罰を科すにしても、行政処分を行うにしても、もっと厳しい。どう解釈するか。ペナルティが独り歩きするのが心配ということなら、他の委員はどう考えるか」
鮎澤委員
「今までの指摘は個別に出てきているようだが、実際は皆同じ問題を心配していると思う。案全体をどうまとめていくのか、それをどう表現するのか、共通の理解ができていない。つまり報告書に書かれることが検討会全体の方向性なのか、そういう異見もありましたねということなのか、それなら構わないが、実際には委員の中でもバラつきがあるので、報告書の読み方を体系づけ親切に説明しておいた方がよくないか」
見事なまとめである。
事務局に作文されて責任だけ取らされたら
たまったものではない。
前田座長
「その通り。基本的には事務局の方で、強い異論はなかったというものを拾っているはず」
佐原室長
「全体的に分かりづらくて申し訳ないが、これまでにどのような意見があったか整理したということ」
高本委員
「院内事故調査委員会に過半数の外部委員を入れることを義務づけると書いてあるが、院内だけでも7、8人いるのに、それ以上の外部委員を入れるなんて実際には無理。採決で決めるようなことはなく全員の合意で報告がなされるので複数の外部委員がいれば十分でないか。必ずしも過半数入れる必要はないと思うので、この文言は省いてほしい。それから、医療界の体制が整備されていないということが書かれているが、学会として、私は外科学会の代表で来ているつもりで山口先生は内科学会の代表なんだと思うが、学会として真剣に取り組んでいるということをお話しさせていただきたい。(略)このように学会にも努力する覚悟がある。東京女子医大の事件でも、心臓血管外科の専門医資格を取り上げ再教育している。自ら姿勢を正そうというつもりでやっている。その大きな所としてモデル事業があり、患者も病院も100%満足というのは多くないのかもしれないが、そこから新たな訴訟は起きていないはず。まだ信頼に足らないのかもしれないが、前回も申し上げたように刑事処分のシロクロは現実にそぐわない。刑事でシロだからといって全く責任がないということは少ないし、逆に刑事でクロにされてもそんなにその人のせいではないのにということになる。(略)我々を信頼していただきたいというのが切なる願いだ」
5分を超える大演説。
その熱意は見ている方に十分伝わったと思う。
この演説の最中に、審議官から佐原室長へ伝令が出た。
何を伝えたのか分からないが
後の展開から推測するに「観念」したのかなと思った。
前田座長
「ご趣旨は分かる。今、また医療に対する信頼は高まりつつあるし、高めていく大きなステップになる。たとえば外部委員の過半数の問題に関しては、こういう意見もあったという整理で残すということで可能であればご了解いただきたい。ペナルティに関しては何らかのサンクションは必要だろう。ペナエルティという語感の問題かもしれないが。この点に関しては合意を得られたと思っていたのだが、文章のレベルを落とすことにするか。他の委員は何かないか」
加藤委員
「議論の進め方に関する質問だが、一つ一つの文言について議論していくのか」
前田座長
「そうでないと中間取りまとめにならないと思う」
加藤委員
「読み方や位置づけをより詳しく書くという説明だったが、この整理案にはヒアリングで参考人から出された意見も、委員の意見も載っている。微妙な言い回しが意味を持つなら神経質にならないといけない」
佐原室長
「あくまでも今回は中間報告ではなく、これまでの議論の整理としてまとめていただきたい。従って報告書の位置づけについても、いまだ結論に至ったものではなく今後も議論を続けるというような文言を書き加えたい」
この段階で方向性を出すのは断念したことになる。。。
はずだが、今までの強引な運営からすると、にわかには信じがたい。
加藤委員
「黙っていると文言がどんどん直っていくのではまた困るので言っておくと、院内調査委員会で内部委員が7、8人、外部委員が2人というのは私は良くないと思っている。名大の場合、内部3外部3でやっている。ところでこういう風に一つ一つやっていく場なのか」
前田座長
「すべてについてギリギリ詰めるわけにはいかない。ただ、ほぼ異論のないものについてはまとめたい。基本は出された意見が並べてある。ペナルティを科すかどうかについて、事務局としては固まっていると思っていたのか」
さすが厳罰主義者
ペナルティの部分にだけは異様にこだわる。
普通こんなことを言われたら事務方も困るはずだが
ここに関しては意志は一致しているようだ。
佐原室長
「そういうことも含めてご義論いただければと思う。ただし、なんらかの形でペナルティをという意見はあったと思う」
前田座長
「文章表現を『〜でないか』へ落とすということでまとめることでよろしいか。他に何かないか」
堺委員
「言い切っている部分がそういうことなら、以下は修正をお願いしておいた方がよいかなと考える。『法律は、あらゆる社会事象を対象にしているがゆえに抽象的であるため、それを正しく運用することが肝要である』と言い切っているが、誰がどうやって正しく運用していくかが書かれていない。『正しく運用するための工夫が必要である』とすれば、関係者に努力する義務が生まれる」
前田座長
「いかがか。私は、座長はあまり言っちゃいけないが、直して構わないと思うが」
佐原室長
「もしそのように直した方がよろしければ」
加藤委員
「もう少し大きいところの話をしたい。観察医に対する議論、ヒアリングでも相当の時間を割いて説明を聞いた。それがこの報告書にどう反映されているのか。事務局に尋ねたい。病理や法医の方々は昔から人材養成を要請してきていたはず。それを積み残してきたツケだと思っている。こういった組織を作る場合、どうしても病理医や法医学者の数が問題になってくる。数を増やせということは報告書のどこに書かれるのか。今日の議論で落としてよいことではなかろう」
前田座長
「じゃあ事務局」
佐原室長
「解剖の所で『調査組織においては、解剖担当医である病理医・法医学関係者の強力は不可欠であり、その役割について、社会的に高い評価が与えられる必要があるのではないか。』『制度を維持するためには、人材育成が急務であり、そのための支援策が重要である。特に法医、病理医の数を増やすに当たっては、各学会の努力のみでは限界があり、へき地医師確保対策と同様の措置を執る等、政策的な誘導が必要なのではないか』と書かせていただいている」
前田座長
「観察医との関係は書ききれない段階だと思う。これは秋移行に議論したい。一応ここで出た議論については正確に拾ってもらっていると思う」
豊田委員
「遺族にとって分かりやすい手続きという部分が分かりにくいので補足したい。医師の現状が十分厳しいのは理解しているが、これまで遺族への対応が不十分だったことは間違いないし、被害救済もしてこなかったことも間違いなく、遺族への対応をやっていく中で自然と解決に向かっていると信じている。一例として息子のことを述べると、4年前に行政解剖を要請して、その4ヵ月後に解剖記録の開示を請求した。というのが、病院で説明会があったのだが、私の知りたいことに答えてくれる内容でなかったので、もう少し調査してくださいと言ったら、解剖記録を見せてもらえないと私達もこれ以上の調査はできないと言われた。それはもっともだなと思ったので、私と代理人の弁護士と2人で東京都監察院へ行ったのだが『閲覧はできるが書面で渡すことはできない』と言われた。それによって病院の調査委員会はそこで終わりになり、信頼関係を築くこともできずに終わった。この検討会に参考人としていらした東京都監察院所長の福永先生にこのことを話をしたら『渡せるはずです。ホームページに書いてあるとおりです』とのことでした。でも私は受け取れていないので調べたら、私が解剖請求したのが3月で翌月から記録を渡してもらえることになっていて、でも開示請求は8月なので遡って出してもらえるはずだった。手違いで受け取れなかったのにはふたつの問題があって、まず代理人が制度のことをよく知らなかったのはもちろんだが、担当の観察医も渡せることを知らなかった。そもそも情報公開のしくみが分かりづらい。ホームページに書いてあるといっても、それを見れる人は多くないと思う。誰もが理解できる環境にしてほしい。解剖記録を4年ぶりに手にして、これがあの時に手に入っていたら、その後も全く違う展開になっていたと思う。信頼関係だった築けたかもしれない。それは医療者にとっても望むところのはずで、もっと分かりやすい手続きにしてほしい」
本筋とずれるが興味深い。
豊田委員はこれまで
無責任な医師に息子さんを見殺しにされたと主張してきた。
解剖記録を見たら、そうではなかったのだろうか。
前田座長
「文章を詰めちゃうと味もそっけもなくなっちゃうが、この報告書にはまさにそういう思いが込められているので、この報告書の文章を記録としてまとめさせていただきたい。ここからは全員に意見を伺いたい」
木下委員
「先ほどの高本委員の話は医師サイドからの基本姿勢だ。院内調査委員会への過半数の外部委員義務づけは、第三者機関もほとんど外部の人間になるのだから、入れた方がよいかもしれないが、義務づける必要はないだろう。各施設の判断だ。それからペナルティという言葉は私もキツイと思う。この制度のそもそもは、警察へ届ける代わりに第三者機関に届けましょうということで、届けるのが当たり前、医療機関にとってもメリットがあるという方向性に進めるべきだろう。必ずしも義務づける必要はなく原則届け出という方向性でよいのでないか」
前田座長
「では、過半数のところも含めて、文章のレベルを落とすことでよろしいか」
児玉委員
「冒頭の共通の願いのところで、モデル事業の営みを支えてきた医療者の思い、この検討会に参画してきた医療者の思いに鑑み、2つの大事な言葉を付け加えていただきたい。一つは自浄作用という言葉で、もう一つはプロフェッショナリズム、市民に開かれたプロフェッショナリズムだ。このふたつは大事な柱で、例えば『良識ある医療従事者による自浄作用として市民に開かれたプロフェッショナリズムの主体的な参加が必要である』もしくは『必要でないか』ということになる」
前田座長
「今の言葉入れるという方向でよろしいですね」
辻本委員
「共通の願いのa)にある『より良いもの』という言葉を『納得がいくもの』と変更願いたい。患者だけでなく、医療従事者にとっても医療が納得のいくものであることが大切だと思う」
前田座長
「主体が患者だけでなく医療従事者も含めた全部ということ。他の委員は別のニュアンスで読んではいないだろうか」
加藤委員
「私は『より良い』を質の高い、クオリティという意味で読んでいた。質も大前提となる大事な要素と思う。そういう読み方をした方がよい」
前田座長
「クオリティが高いのは当然の前提だと思う。一方で納得を強調したいという意見もあるわけだが」
高本委員
「納得は協力にまとめられるのでは。協力の方が、納得したうえで行動するという、よりダイナミックで次元の高い言葉だ」
辻本委員
「納得のためには仕組み仕掛けが必要で、この検討会もその納得のために、時間とエネルギーを費しているのではないか」
高本委員
「より良く納得できるもの、と一緒に入れたら?」
前田座長
「全体として議論を動かしてきて納得感が確かに高まっていると感じる。せっかくの提案なので修文したい」
加藤委員
「僕は少しこだわりたい。質をすっとばしてしまうのが、言葉の裏にあるとすると問題。医療を規定する早い段階での『より良い』は根幹にかかわる問題なので慎重に願いたい」
前田座長
「両方のニュアンスを入れ込めれば解決できるのだろうか」
南委員
「文章を直すとしたら最初に良質を持ってきて『良質で安全・安心であるだけでなく納得のいくもの』とでもしたらどうか」
実にバカバカしい言葉遊びだ。
言葉を入れるだけで実態がついてくるなんてことはないのだし、
外れたら実態がなくなるというものでもない。
この手のものは中央が押しつける哲学でどうなるものでもなく
現場の地道な活動でしか達成されない。
さすがに座長も議論を続けるのがアホらしいと思ったようで
「迷路に入ってしまうので、ご提案を受け止めつつ、私と事務局にお任せいただきたい」
南委員
「高本委員の発言は実によく分かり、今の状況は医療者にとって、まさに全く納得がいっていないと思う。ただどんなにしても現在の法律の元では、どんなに頑張っても医師全員強制加入の団体がないのだから最終的には自浄作用を発揮することができない。それは心ある医療者にとっても無念だと思う。第三者機関がそういう人達にとっても納得いくものにしなければならない。それがないので刑事の力を借りざるを得なくなっている」
自浄作用を発揮することができないのだから第三者機関
というのは論理が飛躍している。
単に制度上の制約である以上、第三者機関を設置するのも
自浄作用を発揮できるような制度改正を行うのも
等価に比較されるべきであり、
その比較のうえで第三者機関が勝るというのでない限り、
南委員の主張には根拠がない。
前田座長
「今後の議論として処分の自律制、そこには必ずいくと思う」
山口委員
「モデル事業から院内調査委員会、医療安全推進とアクティビティを行ってきてみて、最終的には結局実行者である現場の人たちが積極的に参加するのでないと機能しないと感じている。そういった人達にインセンティブが働く形で成立してほしい。ヒヤリハット報告などの安全推進活動で間違いなく成果は上がってきている。そこに水をかける話であってはならない。その意味で児玉委員の提案は実によろしいでのないか。それから樋口委員から提起のあった3つの答え漏れの中の届け出だが、何を届けるのが結局なんだかよく分からない。医師法21条もそこが問題になっている。医療評価機構が事例収集を行っている。それは具体的だし、そう変でもない。例としてこういうように持っていくのがよろしいのでないか」
前田座長
「最後の点、実は紛糾することが必至と思って、これまで議論を避けてきた部分だが、重く受け止め今後の議論に生かしたい」
太田警察庁刑事企画課長
「警察としては、医療事故で相談なり届け出があった場合、専門的知識を欠いたままで活動しなければならず患者さんには申し訳ない言い方になってしまうが現場にとって負担になっている。だからといって切実な告訴を放置もできない。その意味で先ほど出てきた『納得』は非常に重要だと思う。納得がないと刑事訴訟法に則って告訴告発が出てくることは止められない。もう一つペナルティを科さずにおくと、警察からすればどこまで信頼できるのか、結局21条でしっかりやるしかないのでないのかという話になる。国民の視線に耐える公平さ公正さは担保していただかないとと思う。ぜひうまく運用していただきたい」
ずいぶん踏み込むなあと思ったら
17日付で兵庫県警本部長へ栄転するようで
この検討会にももう出なくて済むようになるわけだ。
甲斐法務省刑事課長
「特に文言についてコメントすることはない。検察としてもこの検討会に注目して半年の議論を伺ってきたが、大まかな方向性は出ていると思う。一見、これだけ立場の異なる人が集まった中から出てきた方向性は意義深いと思う。細かい部分については、まだまだ詰めないといけないだろうが、まず仕掛けのできることが大切だと思う」
前田座長
「本日いただいた意見は可能な限り修正するということをお約束するので、後は基本的に事務局と座長に一任ということでお願いしたい」
(以下略)
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コメント
結局、座長一任は取り付けたわけですね。白紙委任です。これまでの議論を読む限り、きちんと機能する制度設計をする意欲と能力があるとは思えないですね。
現場とインセンティブというものを知らない制度設計の拙さで、いつも現場は頭の痛い思いをさせられます。暗澹たる想いです。
>中村利仁先生
意思・能力がないにも関わらず。。。というと
詐欺を連想しますね。
…詐欺というのは故意犯ですが、能力のないのを百も承知で、いやいやながらに仕事するのは、果たして故意にあたるものでしょうか?
任に耐えないと思ったら、辞めればいいのにとも思います。
>中村利仁先生
まさにごもっともです。
我々国民も、何でもかんでも
「厚生労働省が悪い。厚生労働省何とかしろ!」
と言わないようにしなければと思います。