一病~リウマチ~息災徒然ノート 11 |
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投稿者: 真木魔愛 | 投稿日時: 2007年08月18日 22:52 |
復帰2
所長秘書業務をエリさんに引き継ぎ、
上司の25年に及ぶ東京大学教職時代を補佐役として支えた女性も、
定年退職後は継続して、
TIつくば研究所の所長室を助けてくださることになりました。
仕事を辞めてリウマチが治るなら、
未練なくそうしたと思います。
私にとって仕事はずっと生活の大きな一部分でしたし、
絶望の淵にあって、
廻りに気を遣わせてしまう息苦しさを感じても、
仕事を失う喪失感に比べれば、
どんなにみじめな姿でも、
たとえ疎んじられても、
自分を鼓舞して毎日仕事に行きたかったのです。
仕事の無い日常を思い描くことなどできませんでした。
1996年5月、
私は総務・人事グループに異動しました。
この後、
職場の飲み会で
忘れられないシーンがあります。
同じ時期に入社したシニア研究員の一人から、
「真木さんは、リウマチになって、
ビールのジョッキを持つもの痛い痛いと言っているぐらいが丁度いい」
と言われました。
この一言は、
私の心に突き刺さりました。
自分の傲慢さ、
人に迷惑かけたくない気の強さ、
頑張れば何だって叶うという中味のない気概は、
同時に自分が思い込む同程度に努力しない人を
知らず知らず見下していたのではないか、
窮屈な思いとプレッシャーをかけていたのではないか、
さぞかしまわりを気疲れさせる存在だったのではないか、
そんな悟りが、ぐるぐると渦巻きました。
この言葉を浴びせた同僚は、
彼を含めて家族全員、国籍が日本国ではないために
若いころから苦学して、
日本企業や米国を渡り歩いた後、
シニア研究員としてTIつくば研究所に採用された一人でした。
アメリカ文化が充満する社内の雰囲気に
戸惑いっぱなしの私に
厳しい批判を投げかけながらも、
それは的確なアドバイスとなり、
陰でいつも助舟を出してくれた人です。
英語が理解できず苦悩する私に
「恥をかかずに上手く喋れるようになりたいなんて思うな」
と言ったのも彼でした。
彼の実母が
若い頃からリウマチに苦しみ、
それが原因で亡くなった晩年の数年間、
彼は仕事や居住地を変えて
実母の介護をしていた事を知ったのは、
互いにTI退社後年月を経て、
つい最近になってからのことです。
でも、この頃の私は、
お酒の席でのそんな言葉にも、
傷つくばかりで、
「もう飲み会には行きたくない、
私は邪魔者なんだ」
と家に帰って自分を憐れみ、
泣くことしかできませんでした。
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コメント
真木様
ご無沙汰を致しております。
正直、胸が痛み言葉を失う思いで毎日拝読させて頂いております。
今日の分をプリントアウトし、ファイルを終えた所です。
壮絶な闘い、先日、NHKで放映した、ためしてガッテンの患者さんも同じ様な苦しみを日夜されておられるのですね。
同病の私も触り程度は理解できますが、早期発見、早期治療が適切だったお陰で、助かっております。
しかし体調の悪い日には一日中、横になっている時も有りましたので、この病気の辛さは罹った人間でなければ理解できない部分も有ると思います。
友の会の仲間に真木さんの体験談をお話ししたら是非読ませて頂きたいと、たのまれ、総てを再コピ-するのも大変なので、切りの良いところで、朗読をして、CDに焼き、差し上げようと考えております。
臨床の場におられる、ドクタ-も必読して頂きたい思いが致します。
患者になってしまった方々はそれぞれ異なった場所で異なつた病気との闘いをされているのは確かなことですね。
病理とか、薬剤とか、また臨床の現場とか、病気を克服して行く為の手段や方法には色々有と思いますが、
私は臨床の現場におられるドクタ-は
患者のこうした実体験を幅広く聞き出し、熟考し、難病克服の一手段に用いて下さる事を切望致したい気持ちでおります。
これは単に、一、リウマチと言う病気に限らず、多くの難病、また病、克服の為にも真摯な気持ちで患者と対当して頂きたいと思うものです。
人間に取って、また個人、個人に取って、何が一番大切かの判断には相違は有りますが、私はまず最初に、一日を如何に健康で明るく生きるか、それを第一義に考えております。
そして総ての欲求はその次と考え、行動する様に努めております。
健康な肉体と健康な精神と良く言われますが、健康な肉体を保持できなくなると、精神にも歪みが生じてまいります。
貴重な体験談、病を持つ者、健康でいる人、それらに関わらず、多くの人に何かの形で大きく役立つことを信じて疑いません。
以後も、是非、ご努力下さいませ。
M,NAKAMURA。 様
酷暑の日々、御体調はいかがかと案じておりました。
ですからコメントは大変有り難く、また何よりの励みになります。
感じ方や、生き方、人様々ですが、何か共有できる部分があれば、私自身もたくさん元気をいただけます。
おっしゃるように、臨床現場の医療者が、患者と丁寧に心の余裕をもって向き合えることは、理想だと思います。
でも、実際は、医療費抑制から生じる現場の慢性的人手不足や、科学技術の進歩に倫理観は相反することが多く、
理想を抱いても、できないドクターが沢山いらっしゃるように感じます。
わざわざ拙文をプリントアウトしてくださっているとのこと、誠に恐れ入ります。
書き終えることができましたら、
Wordコピーでよろしければ
お送りさせていただきます。
いつもご配慮いただき、本当にありがとうございます。