9・19中医協傍聴記1

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2007年09月20日 14:44

昨日、初めて傍聴して参りました。
場所は厚生労働省内の会議室。
傍聴席は、「常連」の方が「エコノミー座席」と表現するくらい
ぎっしりと詰まっていてメモを取るのも大変な感じでした。


初めての傍聴なので肝どころが分からず
どの程度有効なご報告ができるか分かりませんが
面白いと思ったことをいくつか書きます。


前回の失敗に懲りて
今回は開会30分前の午前9時に到着。
が、エレベータを降りた瞬間に
フロアをぐるっと1周している傍聴待ちの列を発見し
「また出遅れたか!?」と焦る。
次のエレベーターで来た人たちが
「今日は多いね。分科会が2つあるからだね。こりゃダメかな」
などと話している。


間もなく列が動きはじめ
「ここまでです」と言われたらどうしよう
(もうイチャモンつけるわけにいかないし)とドキドキしながら進むが
何事もなかったように入れてもらえてホッと一息。
数えたら傍聴席だけで約200席。
うち60席ほどが関係者席と記者席。
ただし、今回も記者席は10席ほど空いていた!!!
記者クラブと同じ建物の中だろう。申し込んだからには来いっ!!!


この日は、総会→保険医療材料専門部会→薬価専門部会
という3つを2時間半で済ませてしまうというスケジュール。
隣の人と腕が触れ合うような暑苦しい空間に座って
無言で開会を待っていると
窓の外から何やら拡声器で怒鳴っている声が聞こえる。
委員30人は全員出席だそうだ。
窓の外の声は開会後もしばらく続き
進行する土田会長(早稲田大商学部教授)の声がとても小さいので
耳をそばだてればそばだてる程、外の声が気になるという悪循環。
誰がしゃべっているか分からない点も傍聴記を書くうえでは問題だ。


ただし、すぐに真面目に聴く必要がないことに気づく。
なぜならば入口で配られた資料の通り進行しているだけだから。
こうして議題の最初の「医薬品の薬価収載について」が始まり
話者は、薬価算定組織の加藤委員長に移る。
その加藤委員長も用意された資料をただ読み上げているだけ。
何じゃこりゃ。検討の場ではないんかい?
そうか総会というのは、部会で決まったことを承認する場なんだな
総会の傍聴記は面白くないかもしれないなと、一人合点する。


加藤委員長が薬価収載する医薬品14品目の説明を終えたところで
会長が「何かご質問は?」と尋ねる。
ここで私を驚愕させる質問が出た。
誰が発したのかは申し訳ないが分からなかった。
(よく見えないのと油断していたのとで)
「有用性加算のⅡというので15%増しのが二つあるけれど
この有用性加算というのは何だったか」
素人なら知らなくて当然のことだと思うが
(薬価制度の解説は次号『ロハス・メディカル』を待ってほしい)
いやしくも中医協の委員が
そんな初歩的なことも知らずに審議しているのか???


さらにビックリは続く。
委員長の説明への質問だから委員長が答えて当然と思うのだが
会長は「では事務局から」と振ったのだ。
ここまで堂々と「決めているのは官僚」でやっていたのか???


ただし、答えた薬剤管理官の語尾はふるっていた。
「~という風に理解しております」
決めたのは私たちじゃありませんのポーズだけ付けているわけだ。


議題は、「医療機器の保険収載について」
「先進医療専門家会議の報告について」と代わり
粛々と「では中医協として承認するということでよろしいですね」で進む。
最後の「今後の検討の進め方」になった。
そこで、ひっくり返りそうになる。
10月は全部の水曜日と金曜日に中医協を開くという。
そんなの傍聴しきれんがな!!!
委員も専業的に関わらないとやっていけないだろう。
実質を官僚が決めることになっていなければ
こんな無茶な日程を組めるはずがない。


内田樹さんの「会議の効用」という面白い文章があるので
読んでみてほしい。
中医協って、検討の場ではなく、お達しの場だったのね。


この今後の議論の進め方のところで
初めて委員の意見らしきものが出たので書きとめておく。


松浦委員(香川県坂出市長)
「勤務医不足がメインにあると思うので、実働している勤務医の数、そして実働していない勤務医の数をお知らせいただきたい。恒常的に眠っている医師がいて年に3500人も増えていないのでないかという実感がある。データをぜひ出していただいて、それに基づいて議論を行いたい」


医療課長
「分かりました。資料を準備します」


ということで、みなさーん、初めて公的調査が行われるようですよ。
期待して見守りましょう。


勝村委員(医療過誤被害者遺族)
「勤務医をやめて開業医にという流れがあるので、それを逆にするぐらいダイナミックな改革が必要。前回の診療報酬改定はダイナミックさに欠けた。それから議題にある『患者の視点の重視』だが、患者の声をもっと取り入れるように公聴会を開いたり、中医協でも発言してもらったりするべきでないか。その日程などをどう考えているのか」


土田会長は、事務局に答えさせることもなく
「まだ具体的になっていませんから、具体的になってからにしましょう」
と切り上げてしまう。
うーん、見事な仕切り。
声は小さいのに、やるときはやるもんだ。
官僚たちから見ると「頼りになる」んだろうなあ。


こうして50分ほどで総会は終わった。
まだ部会二つの報告が残っている。
書き始めたら意外と文字数が必要だったので稿を改める。
(つづく!!)

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