「日本一患者から学ぶ医学生」をめざして |
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投稿者: | 投稿日時: 2007年10月23日 02:24 |
はじめまして☆東大医学部5年生の須田万勢(ませい)と申します。
一介の学生が、そうそうたる執筆陣をほこるロハスのブログに加えてもらうなんて恐縮の至りですが、ここは開き直ってざっくばらんに僕が感じていることをお伝えする場にしちゃいたいと思います♪
学生という、「医療者と一般人のあいだ」の中途半端な存在だからこそ放つことができる、青臭いエートスを発信していきますので、皆さん僕と一緒に燃えましょう!(いえーい)
「ともどく」の活動はロハスで毎月紹介していきますので、そちらも是非ごらんになってください!!
さて、僕は今、ベッドサイドラーニング(臨床実習のこと。略称BSL)の真っ最中です。
BSLでは、各科を一週間~二週間ずつローテーションしていきます。
その間、患者さんを一人~二人割り当てられて、問診をしたり、身体所見を取ったり、手術の見学をさせていただいたりします。
先生からは、たいてい「毎日患者さんに会って、患者さんから多くを学びなさい」と言われます。
学生によっては、患者さんに会うよりも教科書を読んだほうが早いしよくまとまっているから、教科書の勉強のほうにより多くの時間を費やします。
でも僕は不器用なので、意固地なまでに愚直に患者さんに会いに行ってしまいます。
実習期間が終わっても、患者さんと名残惜しい場合は、退院するまでちょくちょく病室に顔を出して経過を聞きます(その時、主治医の先生とかに会うとたいていぎょっとされます 笑)。
僕はそんなふうに患者さんに没入している時間が大好きなのですが、時々「これって患者さんのためになってるのかな?」と自問してしまいます。
なぜなら、先生からはこうも言われるからです。
「必要以上に患者さんと関わるな。適切な距離を保ちなさい。」
たぶん、患者さんが医療者に精神的に依存したり、無理な要求をしてきたりしてきたときの対応が難しいからでしょう。
最低限必要な所見だけ取ったら、あとは教科書読んで問題集解いていたほうが、もしかしたら患者さんのためにもいいんじゃないか?医者になる身として必要以上に患者さんと関わるのは医学生として正しくないのだろうか?
自分で書いていて青臭さにむせ返りそうな文ですが、医学生なら同じような疑問を多かれ少なかれ感じたことは誰にでもあると思います。
それでも二学期ともなれば、みんな自分なりの線引きをしていくものですが、僕は優柔不断なので心にかかえた釈然としないものが大きくなる一方でした。
そんなある日、ちょうど実習終了にあいさつに行ったとき患者さんからお手紙をいただきました。
ご本人の許可を得て、一部を掲載させていただきます。
「ここで一つ、『ありがとう』を言いたいことがあります。リンパ節生検の時のこと。先生方とのお話で、不覚にも泣いてしまったけれど、検査が恐いってだけでなく、『先生、そんなに簡単に言わないで』って思ったら、かなしくて泣けてしまったの。すごく不安だった。そんな翌日、須田さんに東大の*形成外科がどんなコトをしている科で・・・。って色々な詳しい話を聞いて、実はとっても安心した。手術に対する恐怖も、不安も、もやもやも全部。●●Drにはできなかった治療を須田さんは心とコミュニケーションでしてくれました。技術や知識って後からついてくるけど、ハートって養われるものだから。お医者サマを目指す人にとって1ばん大切なことだと思います。」
*このときのリンパ節生検は形成外科がやることになっていました。
救われた気分になったのはむしろ僕のほうでした。ああ、医学生やってて良かったな、と心から思った瞬間でした。学生だから何もできないんじゃなく、学生だからできることもあるのだ、と自信を持って言えるようになったのです。
患者さんは僕に協力することで、医療的なメリットは何一つありません。
そのぶん、僕は精一杯実習させてもらって、感謝をこめて『ありがとうございました』と言った、
その時にいただいた手紙に書いてあった『ありがとう』。
いわば「ありがとうの交換」によって、金銭的なやりとりが全く無いのに価値が生まれる嬉しさ。
社会学で最近注目されているトピックに、「ソーシャル・キャピタル」という概念があります。
人と人とのつながりの密さ、多様さ、柔軟さがより高い(ソーシャル・キャピタルが多い)社会が、資源をより有効に使うことができるというのです。
もしかしたら、ありがとうの交換が生み出すつながりって、この「ソーシャル・キャピタル」を増やす有効な方法なんじゃないか、なんてふと空想しました。
長々と書いてしまいましたが、要はがむしゃらにやってたらいいこともあるよ、ということです(笑)
これからもがんばっていきますので、応援よろしくお願いします!!!
Matthew
コメント
熱いですねえ。
元気が出ます。
どんどん書いてくださいね。
はじめまして。私は今、准看護学生(二年生)です。私のおばが今子宮体癌で入院しています。その病院にロハス・メディカルがあり手にとり須田さんのことをしりました。臨床実習での体験を読みすごいなぁと思いました。私自身、今実習中で悩んでいます。優しさだけでは看護はできない。知識と技術が伴わなければいけい…自分がなんのために看護の道を志したのか見失っていました。でも須田さんのブログを読みこんな自分にありがとうと言ってくれた患者さんの為にも頑張らないといけないなと思いました。ありがとうございましたm(_ _)m
ちあきさん、コメントありがとうございます☆
優しさだけでは看護はできない。でも優しさのない看護は存在しえないですよね!
公の場でああいうブログを書くと、「実力もないのに何を言ってるんだ」「偽善者め」などと批判されます。
今現在はハナクソみたいな存在ですが、5年10年先に技術的にもめっちゃ優秀な医療者になることで、患者さんへの寄り添いと技術は両立することを示せればいいと思います。
そのモチベーションが、実習をほとんどサボらず貪欲に知識を吸収する姿勢の源泉です。
さすがにこれ以上えらそうなことは書けないので、あとは10年後に言わせてください(笑)
ちあきさんもがんばってください(燃え尽きないように)。あなたは決して孤独ではありませんよ☆
叔母上の入院、気がかりですね。早く良くなるように祈っております。