もう、そんなに経ったのか

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年10月17日 15:11
朝日元記者「社内で弾圧」 河口堰報道、阻害と提訴
という記事が今日の中日新聞朝刊に載ったらしい。
朝日新聞社の元記者吉竹幸則さん(60)=名古屋市=が「長良川河口堰(ぜき)報道で社内弾圧を受け記者としての責務や権利を否定された」として、同社に謝罪記事と慰謝料など3000万円を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 訴状などによると吉竹さんは1973年に入社後、名古屋本社社会部や東京本社政治部を経て名古屋本社広報室長などに就き、今年1月に定年退職した。

 88年着工の長良川河口堰の反対運動が盛り上がっていた90年に当時の建設省の極秘資料を入手。「治水のため」としていた建設理由に根拠がないと確信、「無駄な公共事業だ」と指摘しようとしたが、当時の社会部長が紙面化を止めた。部長が代わった93年に掲載されたが、続報として用意した原稿で載ったのは1本だけ。調査などを求めたが、対応してもらえなかった。

 吉竹さんは「記者という職業は、憲法21条による国民の表現の自由や知る権利の負託を受けた社会的存在。ジャーナリズムの世界で解決すべきものと思ってきたが、法廷の場を借りる以外になかった」などと、提訴の理由を話している。

 朝日新聞社広報部は「社内での『報道弾圧』などは一切ありません。詳しくは裁判の中で明らかにしていく」とコメントした。


私の朝日新聞社入社が1993年。
入社当時の名古屋社会部長であり、この訴訟でも名指しされているのが
山本博さんというリクルート事件報道で名をはせた人だった。
長く建設省担当もしていて長良川河口堰問題の報道に消極的だという社内の噂は
私も聴いたことがある。
吉竹さんのことも知っている。


そうか吉竹さんが定年になるほど年月が経ったのか。
それと、そんなに憤りを抱えていたとは知らなかった。
たしかに記事化を妨害された事実関係はあったのだろうと思うし
長いものに巻かれろ的な社員が多くて孤立無援だったのかもしれないが
しかし少なくとも「弾圧」は被害妄想が過ぎるだろう。
普通に記事書いてたじゃない。
しかも定年退職してから訴えるのでは、どうも言い分を素直に受け取れない。

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コメント

川口氏から、私の裁判のことでコメントを戴いた吉竹です。私が何を取材し、何を止められたか。少なくとも、それ以降、朝日で「普通には仕事」をさせてもらえませんでした。どのようなことがあり、裁判はどのようなものだったか、私の拙書「報道弾圧」(東京図書出版)に詳しく書いています。日本ジャーナリスト会議の機関誌(2012年3月25日号)にも書評が掲載されていますので、関心があればお読み戴ければと思います。

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