たかが新聞が書いたくらいで |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年10月17日 17:39 |
昨日の読売新聞に医療・介護に関する改革私案というものが載った。
個人的には
ホーそう来ましたか位の気持ちにしかならず無視しようと思ったのだが
ネット医師たちの間では大騒ぎになっているようなので
一言だけ書いておく。
新聞を過大評価しすぎ。
落ち着いては、いかがですか。
そもそも読売新聞は主筆のキャラクターゆえか
突出して提言することの好きな新聞社で
昔から様々な分野に対して提言を出している。
「医療が特別扱いされた」と思うのは自意識過剰というか
普段新聞を読んでないから、そう思っちゃうだけ。
提言として池に石を投げ込んでみる以上、エッジの効いた内容になるのは当たり前。
その通りになるなんて誰も思ってないし、なった例もない。
怖いのは、マスコミに対して免疫の弱い医療界が浮足立った挙句に
富士川の戦い
みたいになることだけ。
繰り返します。
皆さんが心配する程、世の中は、新聞社の言う通りには動きません。
冷静に世の中の状況を見極めてくださいな。
本当は、完全に無視しておきゃよかったのに。
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コメント
川口様、あの記事の通りにならないことくらいは判っておりますが、突っ込みどころ満載の内容をいつものように、ごくごく自然に突っ込んでいるだけなんです。
だって、あの新聞社、憲法から、年金から、なんでもかんでも私案を掲載するのが好きみたいだしね。
毎回、ほとんど、そんなのあったっけ?と印象に残らない私案ばかりなのも川口様のご指摘どおり。
今回はたまたま、突っ込み相手が読売の記事と記者だっただけ。
しかも、医療に関する提言だから、いつもはスルーの医療職もここぞとばかりに突っ込んだ。
浮き足だっているわけではなく、医療職の恒例の年中行事ですよ。
一般人も読みますから、記事の内容違ってるよ、って指摘する感じでね。
医療裁判や医療安全関係の新聞記事やテレビの発言に突っ込みを入れるのと同じです。
わたしの場合は、私案が根拠としている欧州の医療事情の解釈が変じゃのぉー!と他のブログに突っ込みのコメントをしました。
これも年中行事の一環です。
川口さんのご指摘はごもっともです。
読売新聞の一見真面目な提言よりも、医療界のスキャンダルをあることないこと書き立て、一般国民の不信感を植え付け、煽り立てようという動きの方が気になります。
おそらく組織的且つ計画的な逆宣伝活動で、策源と資金源の見当もあらかたついています。
いちいち対応するのも面倒なので、根っこを何とかしたいと考えているのですが、どうすればいいでしょうね。
まさか読売試案が立法化されて通るなどとは考えていません(笑)
でも言うべき所は言っておかないと一般の人はあんなヨタ記事でも信じてしまいますからね。
富士川の戦いの平家みたいな気分にはなっていないから、だいじょうぶです(笑
ただ、医師一般は本質的にマスコミは嫌い(マスコミ出身の川口さんに言う失礼はご容赦!)ですので、こんな分かりやすい提灯記事を書かれては反応しないほうが無理、というものです。
利仁さんのおっしゃるように、元から絶たなきゃだめ、なのですが、どう行動するか?作戦を練る必要があると思っています。
>皆様
コメントまことにありがとうございます。
私は以下の単純な理由から
今回の読売私案に対しては冷静に受け止めるべきであって
感情的反発をすべきでなかったと思います。
元外科医先生が「一般人はヨタ記事でも信じる」から「言っておかないと」と
書かれていますが
ブログを意識して読みに来ている層は、そもそも新聞情報を鵜呑みにしません。
一方で「信じる」ような層は、わざわざブログを読みに来ません。
皆さんが一般人を対象に書いたという主張が正しいとしたらターゲットを捉えていません。
で、そんなミスマッチはメディアリテラシーの高い層には丸見えだし
皆さん自身も、実は一般人向けに書いたつもりはないのではありませんか?
私には身内目線ばかりが見えました。
そういう言説がメディアリテラシーの高い他業界の人たちの目にどう映るか
これは考えても良かったんでないかと思います。
そもそもですね、一般の人は新聞を取っていても実はあんまり読んでません。
せいぜい、テレビ欄、社会面、スポーツ面どまり。
各新聞社が定期的に調査してデータでハッキリ出ているはずです。
何とかしなきゃいけないと各社工夫はしていると思いますが
画期的成果を挙げたというような話は聞いたことがありません。
記者の方が時々「うちも売れないと商売にならないので」と言い訳をなさいますが、そういうプロセスがあって記事ができているということなのでしょうね。どの業界も似たり寄ったりの部分があるのではないですか。過剰に反応するとかえって思う壺に嵌ってしまうという危険性を川口様は指摘しているのでしょうね。
閑話休題
最近の為替と株の乱高下(大半が利食いを狙っての変動なのでしょうが)に関連し、プレスがしきりに実体経済への影響と言ってできるだけ不安を煽るような報道をしているようにも思えますが、どうもまだ正体が掴みきれていない気がします。現在の経済状況を理解するため歴史から学ぼうとR・ターガート・マーフィー著「日本経済の本当の話」(毎日新聞社)などを読み始めていますが、僅か15年程前の状況についても新聞は正しく分析して記事を載せているようには思えません。やはりその程度のものなのかも知れませんね。
舛添・厚労大臣のお考えは、ブログのコメントで強制配置に反対の論陣を張った現場の臨床医のそれにに近いものです。
また、読売新聞が故意に情報を操作した事実も述べておられました。
医師不足への処方せん◆Vol.22の一部を引用。
「医師の計画配置はダメ」と舛添・厚労大臣がくぎ刺す
医師の偏在解消はインセンティブで、「現場の意見聞かずに議論できず」
聞き手・橋本佳子m3.com編集長
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/081021_2.html
――医師の地域や診療科の偏在が問題になっていますが、その対策の基本的な考え方をお聞かせください。
医師の偏在解消には、「パニッシュメント(罰)」を与えるようなやり方ではいけない。「どんなに給料が安くても、僕は東京に行きたい」という人を止めるわけにいかないんです。今のご時勢、「そこまで縛られるなら、医師をやめた」という人が出る恐れもある。
規制を考える人は、自由な社会の大切さが分かっていない。だから、いつも言っているように、「へき地で勤務したら、その後、すぐに米国に留学できる」「山形で働くなら、奨学金を出す」など、インセンティブを与えるやり方で進めるべきでしょう。
読売新聞が先日、「医師の計画配置」を打ち出した(編集部注:10月16日に公表した医療改革に関する提言。医師の研修先を自由選択に任せるのではなく、地域・診療科ごとに定員を定め、計画配置するようにすることなどを提案)。
私のところに読売が取材に来たときに、「いろいろな案があるのはいい」とは言った。しかし、「枠をはめるのはダメ。規制するのではなく、自由なやり方がいい」と言ったのに、この点は新聞に書かれなかった。
仮に一部を規制するとしても、インセンティブと組ませないとダメ。インセンティブがない規制は成功しない。読売の提言には、奨学金とか、留学させるとか、そうしたことは何も書かれていない。