周産期・救急懇談会5(ハイライト) |
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投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年12月18日 21:27 |
(20日に追記)
まず報告書案
最終日の予定(という話だった)。阿真委員が「急遽」欠席。
報告書案(上を参照のこと)について事務局が説明。
三浦・指導課長
「事前にお送りすると言っていたが、事務局の不手際で事前にお送りできず、この場が初お目見えになってしまった」
この後で登場した舛添大臣が明かしたところによると、実は岡井座長と厚労省の担当者とで昨晩徹夜したらしい。これだけ歯に衣着せぬ委員が揃った中、事前の調整なしに、大丈夫かなあと思ったら
舛添
「私もつい先ほど1時間ほど前に初めて読ませていただいた。よく読んでいただいて、そうは言いながらも色んないいことが書いてある。たとえば6ページの(2)、こういうことはすぐにでも始めていきたい。消防庁ともやっていきたい。やれることは、たちどころにやりたい。そうはいっても、今日は時間が限られているし、一気に結論は出ないと思うから、年内を目途と言ってきたけれど、もし様々な議論が出るようなら、メールなどでやりとりして年明けにもう1回やってもと思う。その可能性を持って議論いただきたい。というのが国会も1月5日から始まるんで、今日で無理に決めてフラストレーションを残すより、年内を目途と言ってきたけれど、その辺りはフレキシブルにやりたい。この懇談会を全国民が注視しているので、ぜひ皆さんのできるだけ多くの意見をいただきたい、そういう観点からの議事進行をお願いしたい」
ということで事実上結論が先送りされた。
阿真委員が欠席したことで、「国民も認めた」形にならなくなったということだろうか。
(ちなみにCBニュースで阿真委員がインタビューを受けていて
なかなかに興味深いことを話している。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19756.html )
このため議論に遠慮がなくなり、結局半分以上積み残して
「あとはメールで集約して、来年早々にもう1回やって、場合によったら次の週にもう1回」となった。
既に大枠が決まったかのようなマスコミ報道もされているが
それは上の阿真委員のインタビューを見ても分かるように大いにミスリードだ。
ちなみに臨床研修検討会に関しても
現場で話されていたこととマスコミ報道との間に乖離がある。
リアルタイムで彼らのウソを明らかにすることができず無念の極みだが
ようやく、このブログにも時間を割けるようになったので
少しずつ負債解消といきたい。
まずは、懇談会のやりとりの中で面白かったものを書いておく。
岡井
「現状の問題点の医師不足の部分いかがか」
有賀
「救急医不足のところの3行は書き直した方がいいんじゃないか。救急医を含めた勤務医の不足が正しいと思う」
(略)
藤村
「不足とタイトルになっている。医師が不足しているんじゃなくてポストがないんだ。なり手がないと読まれる。実際には、なりたいのに給料をもらえるポストがないからなってないだけだ。新生児科医になりたくて待っている人もたくさんいる」
岡井
「大事なので入れる。しかし不足は事実だろう」
藤村
「この書き方では、なり手がないという印象になる」
岡井
「なり手は十分にいるのか。田村先生も同じ意見か」
田村
「公立の病院でポストが足りずに待っているのは事実。今回の問題の大元のところ(墨東病院のこと)は、そういう状態だったみたいだ」
嘉山
「なり手も足りない。ポストがないのも事実だが、併記すべきだ」
岡井
「その辺付け加える」
舛添
「そこ、ぜひ正確に書いてほしい。なぜならばポストが足りないだけなら、すぐにでも何とかできる。何をしたらよいのかハッキリしていないと政策に落とす時に困るので正確にお願いしたい」
横田
「人、システム、情報、カネという不足のパーツの中で、人という意味では大学の講座の中で真剣に育てようという意識が希薄だったことがある。大学から日常診療へ放り出されて仲間を求めてさまよっているのが現実であり、それは医学部のあり方から発している」
嘉山
「大学があえてそうしたんじゃなくて教育費が少なくベッドも少ない中でそうせざるを得なかった。新生児科の教授なりのポストが増えれば変わる。その意味で、この数年で大きく変わってきた。山形大でもセンターとなってはいないがNICUを4床運用している。昔はそうだったのは事実だが、改善してきたと書いてもらわないと困ってしまう」
(後略)
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岡井
「施設の規模と診療体制について」
嘉山
「ここ、すごく違和感がある。舛添大臣の安心と希望のビジョン会議でも、今ある体制を壊さないでということが前提だったはず。絶対的な施設なんかつくれるのか。施設の規模は医者の数で規定される。今回は連絡体制の不備と医師不足が原因だった。こんな方針を出して、今より状況が悪くなったら大変なことになる。(略)補助金じゃなくて医療費でやれば、やるところは出てくる。センターだと補助金で、もらえないところはやらなくてもいいんだとなるから、今よりも悪くなる可能性がある」
補助金と医療費との関係の指摘、目からウロコの落ちるような思いがした。
一般の人には違いが分からないと思うのでロハス誌でも扱ってみたい。
岡井
「今の体制を壊さないということは報告書に盛りこんであるつもりだが。山形には山形の事情があるだろうから、それぞれの事情に応じてということは大前提になる」
海野
「だったらそれを書いていただかないと。これは全国版なんだから」
嘉山
「でないと壊れちゃうところが出てくる」
杉本
「とはいっても、規模について最低限必要な線はあるだろう。最初から労働基準法を守れないような所では持続するのが無理すぎる。24時間365日動かそうと思ったら最低でも5人必要。ただ、それだと1人の時間帯ができるから、当然受けられないことも出てくる。だったら20人ぐらい置いとけという意見もあるが、複数が重なるなんてのは、そんなに多くないから、それは効率が悪い。メチャクチャ大きいものは要らないにしても、ある一定の規模は必要なんじゃないか」
嘉山
「大賛成。山形でもそういう風にしている。なぜ私がここにこだわるかというとP7に危険なことが書いてある。5人のイメージではない。日本に1個しか作れないような施設のイメージだ」
有賀
「今、岡井先生は救急医療の体制も含めてという話し方をされた。もし大きな施設を作るんだということになると、初期・二次・三次という救急体制そのものをそう考えるのかという話になっちゃう。ガラス細工のようにできている現在の救急がガラガラと崩れかねない」
岡井
「分かった。周産期の救急に関しては中の人間として知っているし意見もあるが、一般の救急に関しては知らないので逆に伺いたい。今の施設規模が本当に適正なのか。本当の理想から言って」
有賀
「理想の形を言うならば、現在の初期・二次・三次という仕組みをガラガラポンした方がいい」
舛添
「何が規模なのか。ベッドなのか、平米なのか、人なのか。というのが、私の持っている情報がたしかならば、今回の墨東の事案は、送り出した側の五の橋産婦人科には当直医が2人いたはずで、しかし受ける側の墨東には1人しかいなかった。普通の素人の感覚で言うと、規模とは何なのかと思ってしまう。ちょっと何か表か何かつけることができるだろうか。できることは、たちどころに変えたいので、変えるところがあれば、それを明確にしていただきたい」
海野
「規模に関して言うと、現実に存在しているものは書かれているようなものではない。1人当直のところが半分、それが実態だ。それを踏まえていく以上、規模とか診療体制の話は今後の中長期的な議論にならざるを得ないと思う」
岡井
「ここ、もう一度考え直して、皆さんに提示したい」
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岡井
「基本的方針について。これこそ、ここで議論したわけじゃないけれど、厚労省の心意気が示してもらった部分だと思う。いかがか」
(中略)
有賀
「地方行政の『リーダー』と書いてあるが、これは?」
岡井
「これ書いたのは私じゃないので、三浦さん答えられる?」
三浦指導課長
「首長さんのこと」
舛添
「石原都知事のことだよな」
有賀
「だったら首長って書けばいい」
嘉山
「三浦さんがそう思うならあれなんだが、しかし首長にできることって限られる。これ行政の話なのか」
岡井
「地方行政の話だ」
有賀
「だとすると、1の『行政の責任』というのは?」
岡井
「表題に国の責務と書いてある」
有賀
「だったら国と書けばよい。皆、国だと思っていたのに、実は違ったということにならないか」
嘉山
「素直にクリアに書くべきだ。この辺、みな曖昧にしてきたから、日本が腐ってきちゃったんで、クリアに国と書くべきだ」
岡井
「それで皆さんよろしいか。『リーダー』は、どうする?」
嘉山
「なぜ、『リーダー』が出てくるのか」
岡井
「三浦さん、何か思惑あるの?」
三浦
「特にない」
嘉山
「だったらクリアにすべきだ」
杉本
「大阪のような所だと、首長の影響が非常に大きい」
嘉山
「首長が代わったくらいで変わってもらったら困るから国がきちんと決める、そのために議論しているんじゃないのか」
岡井
「リーダーの話はやめて地方行政の役割で整理しよう。次の、医療現場の役割のところはどうか」
発言者不明
「問題が大きいのは現場の個人ではなく病院としての施設の管理のありかたの方。個人と病院運営と分けて書くべきだ」
舛添
「大熊由紀子は委員じゃないけれど、大熊由紀子がこの場にいたら、国民に対して情報発信というのが書いてないと言うと思う」
海野
「厚労省がこれを書いたとして読むと、現場の声を聞いてくださるということでないか」
舛添
「それがダメ。役人の浅薄さだ。国民に声が届いてなければ、いくら役人に届いたって政策なんか実現しない。私が選挙で落ちちゃうんだから」
藤村
「この文章はマズい。最近の医療現場の状況をちゃんと認識しているのかという話に絶対になる」
岡井
「患者さんを前にしたら、いかなる状況でも最前を尽くすというのが前提でないか」
藤村
「それを許さないまでに現場が壊れてきているということだ。それぞれ関係者皆に一定の責任はあるんだろうが、しかし、こんな文章を出したら異様な反発を食らうことは間違いない」
舛添
「二階大臣発言と同じことになっちゃうということ」
岡井
「では、ここの所は書かないようにする。国民の協力のところはよろしいか」
海野
「ここだけじゃないが、研究班等において詳細を決めることになっているものが7ヵ所もある。1つだけは平成20年度末までと期限が切ってあるが、ほかの6項目は早急にとしか書いてない。具体的にどの研究班でいつまでにどうするのか書けるものは書いておくべきでないか。そのプロセスが見えないと、とてもじゃないが国民の安心にはつながらないと思う」
岡井
「20年度末というのは、そのつもりで、それ以外の『早急に』はハッキリ書けない段階なんだと思うが」
三浦
「研究班を設けて検討していただこうと考えている。ただメンバーの先生方というのは一定の数であり、あまり一気に負荷をかけて短期間に結論を出してくださいというのも何だと思って、このように書いた。いったん引き取らせていただいて再構築する」
岡井
「順序を整理して、プランがしかりしたものだけ載せておく。約束できないことを書いても実行力がどうなんだとなってしまう」
海野
「関係者間の連携はありがたい話だが、都道府県レベルで進めるような提言になっているはず。むしろ前倒しで厚労省から都道府県に対して連携を進めるよう通知を出してもらえないか」
岡井
「国から都道府県に要請するということになっている」
海野
「研究班の検討が終わらないと要請しないというのではなく、もっと早くした方がいい。平成20年度末で通知されるというが、大事なことについてどんどん遅くなることを心配している。現場でできることはどんどん進めるように、と通知していただけないか」
岡井
「盛りこめるようにする」
杉本
「国立大学の附属病院を巻き込むについては、その中に文部科学省も入れてほしい。大学病院の救命救急センターには交付金も補助金も出ていない。だから大学の中で金食い虫と言われて苦しい立場におかれている。大学病院は教育の場でもあるので、学生たちに、あれだけシンドイ思いして文句言われるならやめとこうかと擦り込まれる」
嘉山
「厚労省からも大学にいろいろと言ってくるが、普通の企業の業務命令には人員と予算がついてくるのだけれど、外口局長の名前で来るけれど、いつも裏は真っ白(予算・人員なしということ)。交付金も独立行政法人化してから4割ほど減っているので何かやれというなら、きちんと手当てしてほしい」
舛添
「臨床研修の検討会を合同でやっているんだから、やれると思う」
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・受け入れ体制
海野
「確認しておきたい。財政支援を検討するの主語は何か。厚労省か」
岡井
「財政に関してはそれでよい」
大野
「たとえベッドがいっぱいであっても総合周産期母子医療センターは受けなければならないのか」
岡井
「ねばならぬではなく、そのような余裕のある施設をめざしたいということ。余裕ができた暁には当然それだけの責任も伴う」
大野
「なぜそういう質問をするかと言えば、愛知県の周産期医療協議会の会長からよく問い合わせされるのだけれど、最終的にどちらの方向へ向かうのかの方向性を知りたい。ハコを大きくするのには時間がかかるが、しかし方向性が出ていればそちらへ走り始めたい。とにかく受けていくという方向で整備するのか」
海野
「その件は地域の実情に即して育てていこうということのみで方向性のコンセンサスはない。それぞれの地域にしても、実情を精査しないと明確なことは言えないはず」
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終了予定時刻を超え、午後8時15分
舛添
「岡井先生は徹夜明けの後、外来があったそうで連続36時間勤務になっている。これやっていると今日も徹夜になってしまうのでメールでも何でもやりとりして日程的に可能だったら年内にもう1回、それが無理でも御用納めまでに岡井先生のところに集約して、岡井先生にリライトしていただく形で案を出してもらって、それをもう1回ここでご議論いただいて、もしまとまらないようでも次の週にもう1回やれば1月半ばには結論が出せるだろう。そういう形でやった方がいいかなと思うので、ご提案したい」
岡井
「私の体力は大丈夫だが、ではこの先に関しては、そういうことでよろしいか」
(略)
舛添
「今日、参院の厚生労働委員会で雇用関連法案の強行採決があって、明日は委員長の問責決議が出る。そういう政治が政局でゴタゴタしている、この時期のこの時間帯にこういうまじめな議論をしているいる人たちがいて、そこに政務官は帰っちゃったけれど大臣・副大臣そろってやっているというのは特筆に値すると思う。政局がどうであろうと、ぜひこの提言を具体化できるよう省をあげてやっていきたい。今日、財務大臣との折衝があって、例の2200億円について何とか辻褄を合わせてきたけれども、誰が見てもこれが正しいという提案をすることが結局政治を動かすことになる。そのために皆さんの御協力をいただいている。医療は単に負担というだけじゃなくて、夢と希望への投資なんだ。人間の価値を高めることなんだから、雇用とか医療にきちんと投資すれば世の中明るくなる。社会価値を高めることになるんだ、そういう観点から医療体制改革をしたい。きっちりやることが日本の活力につながると思っている」
(了)