続・事務局のナゾ

投稿者: | 投稿日時: 2009年02月23日 14:48

(閑話休題。一昨日のつづきから・・・)
かくして私の所属する研究室に「くい止める会」の事務局がおかれ、世話人の先生方にもご参集いただき、逮捕された医師の無罪判決を求める署名活動が開始されることとなりました。当初、佐藤教授から相談を受けた研究室のボスは即断即決、「ぜひやりましょう!」と勢いよく声を上げたわけですが、いざ始めてみると、これが想像を絶する大変な作業だったのです。

そもそも、臨床医である事務局スタッフはもちろん、他の研究室メンバーも協力したくても、これまでに自ら署名を集めた経験などありません。それでも、佐藤教授や研究室が日々の活動を通じて築いてきた“ヒューマンネットワーク”(当時の研究室名にもなっていました)をフル活用し、「署名のお願い」を医療関係者、患者・家族の方、製薬企業等も含む一般の方々へ、ひたすら送り続けたのでした。

ふたを開けてみれば、ものすごい反響でした。期待以上の多くの皆様から賛同の声、激励とともに、署名が続々と寄せられてきました。医師のみならず看護師他コメディカルの人も一緒になって、病院単位で署名を取りまとめてくれたところもかなりありました。

こうして署名数はわずか数日で3000を超え、4000を超え、最終的には6500を超えたのです。


問題はその膨大な数の署名の集計と管理でした。

経験がないだけに、集まってきた署名の受け入れ体制も原始的。すべて手作業です。Eメールでの署名の担当者(女性)は、連日、徹夜の集計となりました。朝、私が出勤したら、机の下から「おはよう」と声をかけられたことがあります。研究室の床で仮眠をとっていたのです。(ここの研究室はもともと、夜になると人が集まってきて活動が活発になる不思議なところではありました。深夜のミーティングもめずらしくなく、そのへんに寝袋が転がっていたこともあります。)

そんな舞台裏での努力は、厚労大臣への署名・陳情書提出、それに続く記者会見となって日の目を見ました。ただ、その直前、逮捕から1ヶ月を待たずに、医師は起訴されています。当時はまだマスコミも、逮捕・起訴された医師に対して厳しい見方をしていました。


しかし、署名活動に対する反応の大きさを目の当たりにした事務局、そして研究室メンバーには、違うものが見えていたように思います。皆、確かな手ごたえを感じていました。うまく言えませんが、目の前で生まれたばかりの“さざ波”が、徐々に広がって、大きなうねりになっていくような、そんな予感がありました。そして、「このまま簡単には終わらないだろうな」と、なかば確信していたのです。

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