募金活動は“Yes, We Can”? |
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投稿者: | 投稿日時: 2009年02月24日 12:55 |
現在、くい止める会では、妊産婦死亡された方のご家族を支える募金活動を行っています。開始したのは昨年の9月22日、今から5ヶ月前のことです。周産期医療の崩壊をくい止める会が、なぜ今、募金活動なのか。実際、これには当初からいろいろな意見もあったようです。
昨日もこのブログで振り返ったように、くい止める会が立ち上げられた直接のきっかけとなった出来事は、2006年2月18日に起きた産科医の不当逮捕(いわゆる福島県立大野病院事件)でした。そして半年前の2008年8月20日、医師の無罪判決が福島地裁で言い渡され、その後まもなく福島地検は控訴断念を発表、無罪が確定しました。くい止める会では一審判決後ただちに控訴取りやめを要望する署名を呼びかけ、最終的には7700を超える署名が集まっています。(なお、一審無罪を求める署名では、最終的に11225名もの方にご協力いただきました。)そのうち2200を超える署名が非医療従事者であったことは、くい止める会の活動の趣旨が一般の方にも伝わり始めたことの現れととらえています。
さて無罪判決から1ヶ月、被告だった医師の現場復帰も決まったところでくい止める会が開始したのが、妊産婦死亡された方のご家族を支える募金活動というわけです。呼びかけを掲載したホームページにはこうあります。
「・・・これで物事がすべて片付いたと考えては、加藤医師も単に医療に従事する貴重な時期を無駄にしただけになりますし、何より亡くなった方やそのご家族が救われないと考えます。出産の際に不幸にしてお亡くなりになった方を忘れず、そのご家族を支援する活動を、当会として新たに始めることといたします。・・・
日本の妊産婦死亡率は世界屈指の低さを誇りますが、それでも年間50人ほど、お亡くなりになる方がいらっしゃいます。残されたご家族は悲しみの中、乳児を抱え大変なご苦労をなさることになります。来年からは脳性マヒを対象とした無過失補償制度も始まりますけれど(堀米注:今年の1月から開始されています)、その救済の網からも漏れてしまっているのが現状です。こうした方々の生活の少しでも支えとなるよう、広く募金を募り、それを原資に支援のお金をお贈りして参ります。」
おそらく無過失補償制度の支給額とは比ぶべくもないかもしれません。でも、「無罪判決が出て良かった」でこの事件を終わらせないために、何ができるか。国が動かないならまず自分たちで、有志でできることをやろう、そう考えたのでしょう。募金ということについても、賛否両論、ずいぶん意見が交わされていました。それでも結局、言葉だけでなく何か形になることをということで募金を、しかも判決からできるだけ早い時期に、ということで開始したようです。
もちろん、反響も賛否さまざまだったと聞いています。賛同して募金に協力してくれる方々も大勢現れたいっぽう、「小額を贈ったところで、安易なごまかしと曲解されないか」「遺族の方々やマスコミと医療者の間にある認識のズレが、これで是正されるとは思えない」といった医療者からの疑問の声や、患者家族からもいくつか内容について問い合わせがありました。くい止める会でも、そういった意見を真摯に受け止め、これからの活動や募金の使途についても試行錯誤を重ねていくとのことです。
私個人としては、たとえ国や公的制度でやるものとしても、現在それがない以上、まず自ら名乗りを挙げてアクションを起こしたこと自体、評価してよいのではないかと思っています。事件が風化しないうちに、鉄が熱いうちに、ともかく打ち始めた。誰かが打つと思って放置して、冷えきって忘れられてしまうより、ずっといいはずです。今風に言えば、“Yes, We Can!”で打ち始めて打ち続けること、そうすれば形の修正はたぶんそれほど難しくないだろうし、きっとその信頼は裏切られないだろうと思っています。