大野病院事件: 福島県警の表彰 その後 |
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投稿者: | 投稿日時: 2009年03月03日 10:17 |
福島県立大野病院の産科医逮捕・起訴に対し、くい止める会が署名活動を行い、無罪を求める陳情書を厚労相に提出したのが、2006年3月17日のこと。ところがそれから1カ月もたたない4月14日、産婦人科医師を逮捕した富岡署を福島県警本部が表彰、県警本部長賞を授与したとの報道がありました(4月16日付朝日新聞福島版ほか)。
今日はそのことについて振り返ってみたいと思います。
この報道を受けて、くいとめる会では直ちに福島県警に表彰の基準について問い合わせをしました。それに対する監察課長からの回答(2006年5月17日)は、以下のようなものでした。
「『県警の表彰の基準はなんですか?』についてお答えします。 福島県警察の表彰につきましては、「福島県警察の表彰に関する訓令」に基づき、事件の重大性、捜査の困難性等、対象となる部署の功労を総合的に判断して行っているところでありますので、ご理解をお願いいたします。」
くい止める会以外にも、大阪府保険医協会は不当な表彰の「撤回」を求める要求書を4月中に提出しています。その他、インターネット、ブログなどでもこの表彰について疑問、反発の声が相次ぎました。それもわかってのこの回答、ということなのでしょうが、案の定の典型的なお役所的回答、面白くもなんともない。もちろんこれは想定の範囲内というか、くいとめる会としてはツッコミを入れること自体に意味があったのだとお察ししますが。(あ、確かに逮捕したことによって、「事件の重大性」は生じましたけれど・・・。)
そして2008年8月29日、産科医の無罪が確定。
これを受けて、県警に改めて質問した人がいたことは、以前、ロハス・メディカルブログでも紹介していました。
⇒あらためて、その回答書(2008年12月20日付)
捜査についてもあいかわらず内容のないはぐらかしに終始し(法的な手続きが適正なのは当然のことです!)、表彰についての回答部分にいたっては、2006年5月時とほぼ同じことを繰り返した上で、捜査が「適正な(違法でない)手続き」に基づくものであったことを根拠に、「表彰そのものを取り消したり、表彰の返還を求めることは考えておりません」と結んでいます。
つまり、
「捜査が終了した段階」で「顕著な功労があった」と思ったし、しかも捜査の法的手続きに問題はなかったわけだし、結果として罪のない人を逮捕した警察署へ県警本部長賞を贈っちゃったけど、まあいいでしょ!
ということでしょうか。
たしかに、手続き的に問題がなかった場合(それも形式上ということではありますが)、いったんあげた賞をその後の裁判の結果いかんでいちいち返還させるとしたら、捜査現場の士気に差し障りが出そうなのもわかります。だからこそ今後“は”、「医療行為をめぐる事件の捜査については、判決を踏まえ」「慎重かつ適切に捜査を行って」ほしいと願うばかりです。
とりあえずこの件については、福島県警も冨岡署も、大顰蹙を買って社会的制裁は受けたようなものだし、そもそもの判断については裁判が無罪というかたちで評価を下しているわけだから、それ以上に言うことはないといえばないのです。ただ、くい止める会では、昨日書いた二階大臣発言にせよこの件にせよ、こういう無責任で”破廉恥”な行為は厳しくウォッチしているし、これからも目を光らせていくことと思いますよ、ということです。(事務局の先生たちを知っている私としては、その目の厳しさ、慧眼ぶりがよーくわかるので。あ、ちなみに優しさも、ね。)
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コメント
堀米さま
司法、警察・検察・軍隊など国家権力を持ち自己完結型の組織は外部からの評価が大切ですね。特に警察は透明性が高くないと社会不安を招来します。
単なる継続勤務表彰程度なら良いのでしょうが、こういった事例の表彰は外部審査が必要なのではないでしょうかね。
いや、それよりも、「医師を逮捕するとはよくやった!」という当時の仲間内の賞賛の表れだったのでしょうか。
一内科医さん、コメントありがとうございます。
>いや、それよりも、「医師を逮捕するとはよくやった!」という当時の仲間内の賞賛の表れだったのでしょうか。
私もそうではないかと感じます。
逮捕をするということは、彼らなりに信念を持ってやったことだと思いますし、そしてさらに起訴に至ったとなれば、自分たちの行いが間違っていなかったことを検察が認めたということ、それだけでもう「よし!してやったり!」という感覚に陥っていたのでしょうね。
たしかに検察が起訴をすれば、めったなことで無罪にはならないでしょうから(無罪ばっかり出てきては、それこそ警察や検察は何をやってるんだ、ってことになりますよね。)、その時点で早合点してしまったのもわからなくはないのですが。
逮捕からわずか1ヶ月足らずの起訴にも、怪しさを感じます。何をそんなに急いでいたのか?伝え聞いたところでは、検察官の事情もあったというような話も・・・。
警察も検察も、そこには正義の履き違えによる驕りや、個人の利己的な思惑があったということでしょうか。もちろん、一人ひとり見ていけば、そんな人たちばかりではないのでしょうが。