大学病院の医師の時給って・・・

投稿者: | 投稿日時: 2009年03月10日 08:00

昨日、「広島市立4病院:人手不足深刻 1カ月無休の医師6.8% 1日含め14%」という毎日新聞の報道がありました。

広島市の市立4病院で、1カ月に休日が取れない医師が25人(全体の6.8%)、休みが月に1日だった医師は27人で、合わせて14.1%にも上ったというのです。また、過去10ヶ月のうち、月100時間以上の時間外勤務を行った医師も計16人いたといいます。

まさに昨今の医療崩壊の大きな要素となっている「医師不足」を象徴する状況です。これに加え、私は最近、ショックなデータと出会いました。大学病院に勤める医師の時給に関する資料です。「長時間のうえにコレでは・・・」と、勤務医が置かれている過酷な状況と、それが生み出す悪循環をリアルに感じてしまいました。

そのデータというのは、山形大学の嘉山医学部長が厚労省に提出した資料にあった「職種別1時間単価の比較」というもの。以下、時給の高い順に並べ替えて引用してみます。

大学教授(医学部以外):59歳・勤続25.6年 ⇒ 4,566円/時
高校教諭:44歳・勤続16.1年           ⇒ 2,781円/時
一級建築士:39歳・勤続13.0年         ⇒ 2,656円/時
医師(助手):44歳・勤続20.0年         ⇒ 2,470円/時
記者:36歳・勤続11.4年              ⇒ 2,349円/時 
医師(研修医):26歳・勤続2.0年         ⇒ 1,759円/時
医学部教授:56歳・25.6年             ⇒ 1,690円/時
システムエンジニア(女性):30歳・勤続7.3年 ⇒ 1,679円/時
医師(医員):30歳・勤続5.0年          ⇒ 1,490円/時


一見、わかりづらいかもしれませんが、私が驚いたのは次の点です。

●勤続25年(56歳の)医学部教授の時給は1690円
⇒勤続7年(30歳)のシステムエンジニアの女性と同レベル
⇒助手や研修医を下回っている
⇒同じ勤続25.6年の他学部教授とくらべ、3分の1程度

●医局内で見ても、ねじれ現象
⇒時給が高い順に、助手、(かなり開いて)研修医、教授、医員


ここのところ、勤務医のおかれている厳しい状況が、ようやく報道され始めています。かなり認知は高まってきていると信じます。それでもまだ、「医師は一般人よりいい思いをしている」的な印象が払拭されたわけではなさそうです(そもそも「一般人」とか「いい思い」というのも漠然としていて何を根拠にしているかよくわかりませんが・・・。マスコミがいつかの時点で植えつけたイメージには違いありません。実際そのように言われる例も過去にあったのかもしれませんが、一部が過大に伝えられたのではとも思います)。

今回のような例がもっと患者側にも自然に伝わってくれば(←厚労省資料などわざわざ発掘せずとも、ということ)、患者側にある先入観も自然に解消され、医療側と患者側に横たわっている認識と意識のギャップが自然に埋まっていくと思います。それには行政や医療側自身も意識的なアクションが必要でしょう。


くい止める会も、派手ではありませんが、今日も地道な情報発信を続けています。

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