やっぱり気になるのは、ネットのその先かも。

投稿者: | 投稿日時: 2009年03月25日 09:38

ここ数日、私のエントリーではインターネットを活用したオピニオングループの形成というような話がちょくちょく顔を覗かせています。

フォーク並びの話では、mixiのコミュニティ創設や、オバマ氏のSNS戦略の話題が出ました。また、昨日は、ネット上での署名活動について、改めていろいろと考えさせていただきました。

そこで今日は、せっかくなのでオバマ氏のインターネット戦略をちょっと勉強しながら、いろいろ考えてみたいと思います。

というわけで、さっそくあちらこちら、ネット上で関連記事を拾い読みして回りました。

その中で私が一番気に入ったのは、東洋経済オンラインの記事です。オバマ氏の戦略が網羅され、かつ適度に詳しく解説されていて、読んでいておトク感がありました。


いつものように、私の主観で、記事を引用しながら要点をまとめてみたいと思います。

●オバマ陣営は今回の選挙選にインターネット、電子メール、情報携帯端末などを駆使。
●まず、数百万通のEメールで選挙への支援を訴えた。
●さらに、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のmy.barackobama.com(略称:MyBO)を設立。これが大きく貢献。
●若者たちを初めインターネット世代に、選挙のボランティア活動参加を呼びかけ、さらに親への説得を促すことで、効率的な運動を展開。
●ネットを使ったオバマ選挙戦のグループ会合は、15万回以上。
●MyBOでは、本人の政策や生い立ちから、夫人・側近の紹介に加え、YouTubeによる演説ビデオやハリウッド俳優の応援の視聴も可能。各種オバマグッズの販売も行い、ビジターをあきさせない工夫に富む。
●MyBOからクリックひとつで献金画面に。最低1ドルから、約100万人の個人献金者を集め、合計額は6億ドルに達した。(その資金でTVCMも打っている。)
●現在、オバマ陣営は、http://change.gov/ というウェブサイトを設定し、ここを通して、優秀な人材確保や政策実行を浸透させようとしている。


ざっと見返していて、私が「インターネットを駆使する上でも、結局、これが大事なんだろうなあ」と考えたことが2つあります。


1.手を変え品を変え、あらゆる方向から一斉攻撃、そしてフィードバック

インターネットだけでもEメールだけでも足りないし、SNSを立ち上げても、コンテンツがバラエティに富んでいなければ駄目。さらにネット会合を重ね、参加者からのフィードバックを受け付けることで、参加している実感を持たせることが大事なのですね。インターネット上では、それが容易です。また、参加への障壁をできるだけ低くすることで、より多くの人に第一歩を踏み出させることが可能です。

また、これは次の内容とも関連するのですが、やはりテレビなど一世代前のツールもまだまだ健在。とくにTVCMの強烈なインパクトは他の追随を許さない特徴であることを考えれば、インターネットはいわゆるメディア・ミックスの幅を広げ、その一翼を担うに至った存在、という感じでしょうか。


2.ネット上だけで完結しない。させない。

SNSやインターネットは、入り口であり、なおかつさらに踏み込んで、議論を成熟させるのには役立ちそうです。しかし、やはりそこまでのツールに見えます。おそらく大事なのは、そこからどう現実のアクションに結びつけるか、ということなのでしょう。ネット上にとどまる限りは、何であっても「2ちゃんねる」となんら変わらないような気がします。

ただ、そこが結局一番難しいのでしょうね。そもそも現実にアクションを起こすこと自体が、誰にとっても障壁が高いものなのですから、当たり前といえば当たり前です。その壁を乗り越えるには、やっぱり誰か「やろう!」と名乗りを挙げる気概あるリーダー(名目でなく、影のリーダーでかまわないのですが)が必要なのでしょう。もちろん最初からそのリーダーが意図して仕組んでいる場合(オバマ氏のように)はよいのですが、しかしそうでなければ余計に、議論をそれだけ盛り上げておいて、その上でリーダーをいい状態で迎え入れられたら、その後がスムーズに行くのでしょうね。あるいは、議論を盛り上げることで、そこを引っ張り上げるリーダーが現れるかもしれません。


・・・と、思うがままに書いていたら、行き着く先に見覚えが出てきました。私たちにできるのは、やっぱりコップの外で騒ぐことなのです。それを内から引っ張り上げていただきたい。ぜひ見つけていただくか、仕組んでいただいてもよいのです。


そう書きながらもうひとつ思ったことは、コップの内にいる人のうち、実は多くが「内にいる」という自覚があんまりないのかな、ということ。そしてそれはやっぱり、コップの外に出たり、出ようとしたり、コップの外と本当に交わることがないからなのかなあ、と考えます。でも、そうしている間は、どうしたってなにも起きないですよね。でも、ちょっと動いてみたら、実は案外スムーズにことが運ぶかも。勝手な想像、勝手な話ですが、そんな気がします。


「日本人は、“出来ない理由”をみんなで見つけて、結局やらない」、という話をどこかで聞きました。なぜなのでしょう? いつか、それについても考えてみたいです。

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