勤務医対策で、「ドクターフィー」を導入か (上) コメント欄

投稿者: 新井裕充 | 投稿日時: 2009年05月10日 08:41

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医師不足が深刻化している産科や小児科などの病院勤務医の負担を軽減するため、診療報酬を医師に直接支払う「ドクターフィー」の導入が浮上している。 続きを読む

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医療の各分野で“チーム医療”が推進されているのですから、池上教授が「手術の傾向度を見ても、これは医師の人件費だけについての費用補償ではなく、看護師、臨床工学士の人件費、あるいは・・・その医師の人件費だけを取り出して別立てにこれを算定してみても直接役に立たない」と指摘しているのは、そのとおりなのじゃないかという気がします。

ただ、たしかに、報酬に各自の診療の内容・質が評価・反映されたほうがモチベーションが上がるにはちがいないだろうと思います。それでもドクターフィーの導入でそのあたりがきちんと評価されるのかどうか・・・。たとえば手術など行わず、質の評価がしづらい(医師一人ひとりの能力の差がわかりづらい)分野・領域では難しいですよね。

患者側としては、たとえばA医師とB医師、同じ診療科で同じ疾患を扱っていて、A医師とB医師が同じドクターフィーだったら、両者の診察の満足度が大きく違った場合に、今よりさらに不満を感じそうな気がします。医師が多くいて競争が激しければ自然と人気に差が出たり、淘汰されるなりすると思いますが、そもそも足りていないのですから、患者側に選択の余地はほとんどありません。

中医協だけで話し合っていても、そういう話は出てこないんだろうなあ、と思ってしまいます。

>診療報酬を医師に直接支払う「ドクターフィー」の導入

勤務医のドクターフィーの原資として診療所の再診料を引き下げたりするつもりでしょうね。朝三暮四という言葉が有名ですがw

そもそも「ドクターフィー」って何?

記事から想像するに、健保の診療報酬の内の医師の施術報酬の一部について、医療機関への支払いではなく、診療した医師個人に直接支払おうということでしょうか?

でも、医師は病院から労働の対価として給与(賃金)が支払われていますよね。ドクターフィーは給与なんでしょうか、それとも報酬なんでしょうか。所得税法の上でどの所得収入の扱いになるのでしょうか、労基法上の時間外割増賃金の算定基礎に入るのでしょうか、労災保険や公務員災害補償法での補償額の算定基礎になるのでしょうか、また報酬であれば社会保険料の算定基礎になりませんが、その辺はどうなんでしょうか?

今回も舞台は厚生労働省の中の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、事務局の厚生労働省保険局医療課が提案を仕切っているのですが、所得税の扱いなどについて厚生労働省保険局医療課は国税庁との下調整は済まされているのですか?

病院勤務医の賃金計算や源泉所得税や社会保険料控除の計算など、労務管理を実際に行う病院の事務負担については、それなりに検討された上でご提案されているのでしょうね。

このドクターフィーという健保の診療報酬支払い方法の変更は、厚生労働省の医療課だけで決められる問題じゃないでしょうに。

私には医政官僚と一部の医療界の重鎮だけが集まって、身内だけでアーでもないコーでもないと小手先の策を模索する、療界だけの理屈による「審議会行政」を繰り返しているように思えるのですが・・・。

適切な診療報酬を計算する上で、医療費の原価計算をすることは必要だと考えます。入院費も、ベット使用料+病院の収入+ナースの管理料+ドクターの診療費に分けるべきだと思います。手術料も同様です。

その計算は容易ではないと思いますが、不可能ではないと思います。

そうすることで、勤務医は自ら提供する労働力に応じた支払いを受けるので、働かざる者喰うべからずとなります。

また、こうすれば「開業している専門医」がコンサルテーションを受けたりしたときに、支払われるべき対価が明瞭になります。

公立病院の医師も、地方公務員法の兼業規程に拘束されず、人手の足りない病院へ手術の手伝いに行って、そこから正当な報酬をもらえるようになります。

私は、所得税の天引きは止めて、全員が確定申告して所得税を納めるのが良いと思います。医師は全員が個人開業して、青色申告にすれば良いと思います。

病院での支払いは、病院がとりまとめて請求し、配分するのです。
病院は手数料をもらえば良いでしょう。

ただし、財務省と厚労省が33兆円という医療費が、これ増えないように按配し続ける限りは、ドクターフィーを導入しても医師の勤務状況は改善されないと思います。中医協で決めるべきことではないと思います。

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