新型インフル 「机で計画立ててもできないことある」厚労省事務局長 コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年06月08日 18:40

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コメント

全体的には、各地方自治体の、厚生労働省への依存度が高いかなと思いました。今後、厚労省が計画を練るに当たっては「箸の上げ下ろしまで厚労省が指図する」と言うことを前提に行う必要がありますね。

地方自治体の方で、独自に案を作るのが不可能であるというのが浮き彫りになった委員会だと思います。

次に強毒性のインフルエンザが流行したときにどのような対応をすべきか、マニュアルも必要ですが、医療者がどう受け止めるか、これが大切ですね。

医療者は、強毒性のインフルエンザ感染者があふれる病院に毎日出勤するのか?家に帰る家族に移す危険を考えて病院に泊り込むのか。。。

神戸の震災のときに、医療者は次の自身がきたら傾きかけた病院と一緒に死ぬことになる。それでも、病院に入院している患者さんのために家には帰らなかった。つまり、医療行為を全うするために自分の命を懸けた。と聞いたことがあります。

次に、強毒性のインフルエンザが流行したときに、国が医療者に命を懸けて治療をしてくれ、といえるのか、そして、今の医療者はそれを受け入れることが出来るのだろうか??

もし強毒性のインフルエンザが大流行した場合に、戦場から離れたところにある大本営「厚労省」から、箸の上げ下ろしまで指示されても、困るだけだと思うんですよね。これまで通りだとすると、わかりにくい「通達文書」のFAXが何枚も送られてきて、余計混乱します。またその通達内容は、昨日一昨日の情報しか反映されていないわけですから。それでまた通達が守られていないと後で非難されたら、やりきれないです。

外来担当 様

そうですねぇー、ワケわからんファックスが連日来てましたねぇー。
どれに従うべきかわからないので、もう片っ端からヤギに喰わせてました。

Tさま
外来担当さま

強毒性のインフルエンザが大流行したときにすべきことって何なのでしょうね。
人々が家に引きこもったら、いったいどうやって食べていくのでしょう。
当たり前に使っている電気も水もガスも使えなくなります。
ゴミを回収してくれる人もいなくなります。
下水処理場も機能しなくなり、水洗トイレも使えなくなります。
食料も都会ではすぐ底をつきますが、農村では出荷できずに腐っていきます。

消防と病院が頑張って、どんどん患者を見ようとしてもライフラインなしには活動できません。震災のことを言われていますが、本当のがれきの中での診療などできませんでした。医療機器、診察道具のないところではどうしようもありません。手足をざっくり切った人が来ても、縫合セットが底をつき、洗浄・滅菌できなくなると、本当にどうしようもありません。ピンク針で縫いましたが、本当にひどいものです。ライフラインが止まるということは病院も1-2日で活動を停止するということなのです。本当の最悪を想定した時に、社会が最も必要とするのはライフラインを支える人たちで、医療者はその次です。

どんなインフルエンザがはやっても、現在の疾病がなくなるわけではありません。現在でも我が国の病院は患者さんであふれかえっています。この人たちの診療を放棄してインフルエンザに全力を挙げることは正しいことなのでしょうか?いくら強毒型であっても、感染者ならともかく感染者と接触しただけの未発病者を隔離するために病院のベッドを使い、現在治療を必要としている人を追い出すのは正しいことなのでしょうか?机上で1・2類感染症対策としてプランを練ると、できる限り入院患者を追い出して、感染疑い者を収容しなければならなくなります。彼らを収容した病室と同じ空調ラインにある病室は空室とせざるをえません。

今一番必要なことは感染症に対して、インフルエンザに対して正しい知識を1人でも多くの方が持つことです。自称「専門家」にだまされてはいけません。インフルエンザには感染防止策がわかっていません。マスクの有効性も手洗いの有効性もわかりません。感染経路もよくわかっていません。不顕性感染(発病せずに治ってしまうこと)の確率もわかりません。もちろん重症化の確率も、重症化する予兆もわかっていません。インフルエンザに合併する肺炎がサイトカインによるものか、ウィルスによるものか、細菌感染によるものか、的確に診断する方法もなく、その頻度もわかりません。インフルエンザに対してタミフルやリレンザを使うことがどういう長期予後に終わるのかもわかりません。これらを早期に使うと免疫応答は不十分なまま終わりますので、次の感染でどうなるのか、よくわからないまま、現在の症状を落ち着かせるためだけに使っているのです。サイトカイン性の障害が起こっていればタミフルやリレンザは全く無効でしょう。細菌感染を合併していても全く無効でしょう。
マスクをして、手洗いをして、でも食事はどうしますか?息をせずに食べますか?かならず十分に加熱してから食べますか?1人だけで黙って食べますか?
髪の毛を触ったら必ず手洗いしますか?衣服の着脱は息を止めてしますか?

そもそも、インフルエンザにかからないように何年間注意するつもりですか?インフルエンザに対する治療が飛躍的に改善するまでずっとですか?ワクチンの効果を100%有効だと考えられたら、半年頑張ればよいことになりますが、「かかっても軽症で済む」などという科学的根拠はどこにもありません。あくまでも「有効な人がいる」であって、接種した人としなかった人の罹患率(明確に発病した人の割合)を見ているだけです。

今回の事務局長の発言は一見、ずいぶん物分かりがよくなったように見えますが、そもそも「机上」がどこまでなのか、「専門家」と呼ばれる人たちの知識自体が「机上」であることを何時気づくのか、それが問題だと思います。

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