「レセプトになると重症化」-レセプトと通常調査、医療区分3に5%の差 コメント欄 |
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投稿者: 熊田梨恵 | 投稿日時: 2009年07月10日 17:44 |
「レセプトになってくると重症化する。単純に考えるのであれば多少問題点も出てくるような気もする」-。中医協の慢性期包括医療について議論する分科会に示された調査結果に対し、委員が疑問を呈した。患者の病態などに関する調査では医療区分3は19.8%であるのに対し、レセプト調査になると25.0%と、約5ポイント上昇していた。(熊田梨恵)
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コメント
統計を勉強しよう
ここまで統計を知らない人が国の方針を決めていることに改めてびっくりします。おそらくこの資料を準備した人はだれかが%の罠にはまるだろう、議論をすり替えて、介護政策ではなく現場の質の問題だ、という事にしよう、という企みがあったのでしょう。資料を作った人のすさまじい悪意と底意地の悪さに震撼します。
すべての統計は、母集団の特性を理解することに始まり、調査の方法と結果を実数で考えるのか、比率など補正した数字で考えるのか、両者を組み合わせるのかを判断します。その前提が崩れた条件で、あいまいな比率で考えさせるのは悪意でしょう。
そもそも病院で医療を専門とする人たちには、日常生活に対する理解が非常に乏しく、在宅でどのような生活が可能かを想像できる人はごく一部しかいません。ADLにどのような判定方法があるのか、ICFやFIMという言葉さえ知らない人がほとんどの場で作られたデータと、日々格闘している人々の評価は違って当たり前です。
医療も介護も、政策のまずさを棚に上げて、現場の内紛をあおるような、あるいはもっと直接的に現場すべてに対する国民の不信感をあおるような戦術によって、国民の不満を国から現場へと向けていることを国民はいかるべきでしょう。
ひょっとすると過去30年間にわたる「教育改革」によって統計のイロハに対する考え方の教育をすべての教科の中でへらして「ゆとり教育」を推進してきたのは操作しやすい国民を作るための長期政策だったのでしょうか。
健康障害⇒家族を含めて労働に支障⇒収入低下⇒国保に移動
>基本的読み方ですが、医療区分の分類の比が、「患者特性調査」では、対象者の時期が合ってないことがあるにしても、これだけの5%。さらにいけば国保。国保は高齢者が多いから出てくるんではないかという気もするんですけど、
母集団の条件が異なるものをもってきて比べる時点で統計データとしてきわめてずさんなものに思われます。
>ただ、患者特性調査は09年3月分のデータであるため、2か月のずれがある。厚労省はこの時期のずれについて、合わせたかったが作業が間に合わなかったとしている。
学会発表なら作業が間に合わず条件を合わせたデータが用意できなかったら演題取り下げが常識ですが、行政はこんないい加減なデータを元に高額な予算と患者の生活や生命に関わる話し合いをしているんでしょうか。大雑把さに脱力しますね。
7月8日の分科会では武久会長の話だけではなく、こんな話も出ていたんですね。実務を担当している者から言わせていただければ、「患者特性調査票は特に保険請求を意識してアセスメントされていないわけですので・・・・」という池上分科会長の発言には唖然としてしまいました。
医療区分2,3以上の患者様には、請求書とともに医療区分票を毎月お渡しすることになっています。「患者特性調査」のためだけに医療区分票を別に作成するのなら別ですが、そのようなことをして意味があるとはとても思えません。ふじたんさんのコメントにもあるように「統計を勉強しよう」というのが正しいのだと思います。
なお慢性期医療分科会のアンケート調査については、その結果が非常に恣意的な使い方をされた(特に平成18年度の改定において)という被害者意識をもっている病院関係者も多いのではないかと思われます。
「患者特性評価」について協力するよう慢性期医療病床協会からも依頼があったはずですが、協力しなかった病院もあるのではないでしょうか?
今回の差異は「患者特性調査」に協力した病院の特性と、レセプトでの調査結果が乖離していた、ということではないのでしょうか?