冷感グッズ、問題になってますね。

投稿者: | 投稿日時: 2009年07月10日 12:11

先日、寝苦しい夜を快適に過ごす方法について調べてみましたが、ここへきて、その際に少し触れた保冷タイプの敷パッドについて、ちょっと問題が報じられました。

●<マット寝具>「ジェル入り」冷却効果は30分 国民生活
(毎日新聞 2009年7月9日)


「熱帯夜でも朝まで涼しい」などと謳いながら、実際には30分程度しか冷却効果が持続しないというのです。

この冷却ジェル入りマット、かなりのヒット商品とも聞きます。それなのになんだか残念ですね。効果が永く持続するのであれば、それこそエアコンに頼る必要はなくなりますし、長い目で見たらかなりの“エコ”商品といえるんですけれどね・・・。ま、やっぱりもっと、根本的に“エコ”といえるのは、昔ながらのやり方、水枕を使ったり、竹やイグサを使った商品ということになるのでしょうが。


ところで、そもそも冷却ジェルを使った商品といえば、15年ほど前に発売された「熱さまシート」(小林製薬)がそのさきがけ。他社からも同様の冷却ジェルシートが次々と発売され、いまやすっかり定番となっている感があります。常備しているご家庭も多いのではないでしょうか。


この冷却ジェルシート、薬局で売っているのをよく目にしますが、一般的な商品の場合は単なる日用品、生活雑貨とでもいうべきもの。調べてみると、医薬品や医療機器でないのは当然としても、よく耳にする「医薬部外品」でさえないものがほとんどだそうです。(一部、メントール等を配合し、医薬部外品に指定されているものもあります。)


医薬部外品とは、今年6月の薬事法改正によりその範囲が広がり、以下に該当し且つ人体に対する作用が緩和なものをいうことになりました。(独立行政法人医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部『医薬部外品申請区分2の申請に際しての留意事項』より引用)

一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(以下略)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛

二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(以下略)であつて機械器具等でないもの

三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

(薬事法における定義 第2条第2項)

※上記三に該当するものとして、のど清涼剤、健胃清涼剤、ビタミン剤、カルシウム剤、ビタミン含有保健剤、いびき防止薬、カルシウム含有保健薬、うがい薬、健胃薬、口腔咽頭薬、コンタクトレンズ装着薬、殺菌消毒薬、しもやけ用薬、瀉下薬、消化薬、生薬含有保健薬、整腸薬、鼻づまり改善薬(外用剤のみ)、ビタミン含有保健薬(一部を除く)、歯周病・虫歯予防の歯磨、口中清涼剤、制汗剤、薬用化粧品、ヘアカラー、生理用ナプキン等があるようです。


医薬部外品であれば、その製造販売には法律に基づく許可が必要ですし、その製品も同じく法律に基づく承認が必要となります(なお、小売にはこうした特別の許可・承認は必要ないそうです)。のみならず、医薬部外品の場合は広告に際しても、「医薬品等適正広告基準」というのがあり、医薬品などの広告が虚偽・誇大にならないよう、薬事法に基づいてかなり細かいところまで制限がかけられ、監視・指導が行われています。


一方、通常の冷却ジェルシートは医薬部外品に該当しないわけですから、その効果等についての広告表現・内容は、商品一般に適用される「景品表示法」に基づき、不当な表示等について公正取引委員会が規制をかける、ということになります。冒頭で挙げた冷却敷パッドの効果持続時間もこのケースにあたり、明らかに事実に反する記載であるとの苦情が消費者相談センターに多数寄せられたことが、委員会が動いたきっかけでした。冷却ジェルシートについては、各製品のホームページを見るとかなり詳細にその効果について説明がありますが、実際のところ使い方や環境条件によっても持続時間は違ってくるようです。その点で公正取引委員会の指導を受けるようなことはないのかもしれませんが、過信して貼りっぱなしにしていてはいけないということでしょうね。


ちなみにこの冷却ジェルシート、我が息子(2歳)は絶対に嫌がって泣き叫びます。ちょくちょく熱を出すので、親としては額以外にも、首筋、わきの下、太ももの付け根など、小児科の先生に「冷やしてあげるとよい」といわれるポイントに貼ってあげたいのですが・・・。なんとかごまかしながら、こっそり貼ったとたんに火がついたように泣き出して、大興奮状態に陥り、かえって熱が上がります。寝ていても貼ったとたん起きるほど嫌いな様子。一方、冷たすぎないように水を入れた氷嚢のほうはさほど嫌いではないようなのです。やっぱり昔ながらのものも悪くないのかもしれませんね。ただし子どもは驚くほど寝相が悪く、たえず動いているので、氷嚢はいつもすぐにあらぬところへ放置されることになるのですが・・・。


さて、今回冷却敷きパッドや冷却ジェルシートの広告のことを調べるうちに、しばしば問題になる健康食品の広告、そして健康増進法について気になってきました。次回はそれについて取り上げたいと思います。

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