へき地医療 医師不足は最前線診療所より地域の中核病院 コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年07月13日 13:26

 10日の「第11次へき地保健医療対策検討会」では、事務局が座長に梶井英治・自治医大教授(地域医療学センター長)を指名した後、先進的な取り組み事例として高知、三重、長崎、島根がそれぞれの取り組みを紹介。第10次計画がスタートした後の班研究結果について説明が行われた後、最後の20分ほど自由討論が行われた。そのやりとりをご紹介する。(川口恭)

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コメント

 人口当たりの病院医師数と診療所の数を都道府県別や2次医療圏別に見てみると、倍や3倍の開きは普通にあります。

 また、高知県のように診療所は少ないけれども医師数人の中小病院がたくさんある地域と、診療所が不足している中で病院数もその医師数も少ない北海道の根室地方などを同列に論じることもできません。

 それを全国一律に議論しようとしてもそもそも無理でしょう。

 そういう多様性があるという現実から出発して、はじめていいモデルや悪いモデルの選択ができるのではないかと思います。

 取り敢えず、中核病院の医師が外来診療で疲弊しきってしまうような状況を回避する必要があります。

 まず中核病院の近辺での診療所開業を支援し、外来患者が減少しても、なおかつ中核病院の経営が安定し、その上で僻地診療所の支援体制を議論できるのではないかと思います。

 もうひとつ言うなら、そろそろ中核病院の医師で僻地診療所の支援体制を組むという発想を終わりにしてはどうでしょう。

 急性期入院医療に専念したい病院勤務医を、安易に僻地診療所の穴埋めに送るのではなく、僻地診療所同士が互いに支援し合えるような人的資源の充実を図らない限り、地方の中核病院からの医師逃散も終わりません。

 その中では長期的な僻地診療所の充実も金輪際あり得ません。

単純に考えると答えは明白なはず

診療所と病院とどちらがたくさんの患者が必要か
当然、病院ですよね。という事は、僻地に病院を建てるためには背景人口が大きくなるまで医療圏を拡大する必要があり、住民のアクセス性は悪くなりますよね。

重症になってから治療するのと、軽症の間に治療するのと、どちらが治療しやすいか
当然、軽症の間に治療することですよね。重症になったら、思いっきりお金をかけても厳しい勝負になりますよね。
国民皆保険制度は医療機関へのアクセスを良くするための制度ですよね。
禁煙を徹底する方が、どんな病院を建てるよりも地域の公衆衛生に貢献することは誰でもわかりますよね。

CTでもMRでも使える都会の救急当直と、Xpもない田舎の救急当直と、どちらが難しいか
当然、何も検査できない方がつらいですよね。大病院の救急当直なら極端にいえば序球威を呼び出すタイミングさえ間違わなければ、誰でもOKです。緊急検査など何もできないところだと、後輩にお願いするのはずいぶん勇気が要りますよね。高額診断機器はひどく言えば「馬鹿でも診断できる」機械ですよね。

診療所で健康管理をしっかりして、一次救急をしっかりして、高次救急を要する場合にはヘリをすぐ出せるようにすれば、本当に病院が必要なのですか? 埼玉、千葉、神奈川、茨城、静岡、奈良、滋賀以外に病院の増強が必要なところはありますか?

僻地に必要なのはベテランです。
病院を作るなら、採算性など度外視して、人道的立場で頑張ってください。

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