「関係者一同、謝罪が必要」 出産一時金問題 コメント欄

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2009年10月03日 01:14

 出産育児一時金に関して、開始直前にバタバタと見直しが行なわれた。なぜ、こんなことになってしまったのか。事の経緯を追っていくと、泥沼にはまっている医療事故調問題と共通する構造が見つかった。厚生労働省と医療界との馴れ合いの関係が時代にそぐわなくなってきていること、それなのに依然として医療界に自律の動きは鈍いことが、改めて浮き彫りになったとも言える。(川口恭)

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コメント

ここ20年厚労省の策定した制度をみると予算の流れに、納税者(保険料納付者)から集めた公金である医療費を国民の受益や利便向上のために予算消費するという根本的な財政規律が欠如したものばかりのように見受けられますね。最終受益者に達する前に中間に存在する特殊法人団体事業で予算が費消されきってしまうという予算執行のモラルハザードが常に存在しています。そしてそれを適当な形ばかりの御用ヒアリングを開いてさっさと執行してしまい、行政の既成事実を作るやり方をこれまでずっと続けてきています。そういう自省予算獲得拡大だけを目的に特化したモラル無き行政手法こそが、担当大臣や時の政権に左右されない厚労省(霞ヶ関)主導政治の悪しき伝統となっているのでしょう。

この記事を読むと理由が分かると思います
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090622-OYT8T00674.htm

>厚生労働省の制度設計がズサンだったことは間違いない。
>妊婦が多額の現金を立て替えるのは大変だろうと考えたまでは
>良かったが、国が代わりに立て替えるのではなく、
>分娩施設が立て替えるように設計してしまった

分娩施設が立て替えるのではなく、国が費用を出すまでにタイムラグが発生するという話だと思いましたが、違いましたか?

具体的にはどのような制度設計をするべきだとお考えでしょうか。


例えば、お産に健康保険を適用するという方法もあるかも知れませんが、その場合でも同様な事は発生するのではないでしょうか。

タイムラグも問題だけど、その救済案として提示されている融資制度の方が問題だと思う。
後払いは国のせいなのに、病院が金利を負わなければならない理由は一体どこに?
救済案でもなんでもなく、弱者(立替の難しい小さな病院)につけこんで甘い汁を吸おうと虎視眈々と狙っているハイエナどもやその利権にありつこうとする、性根の腐った官僚たちがいるに決まっている。

> 例えば、お産に健康保険を適用するという方法もあるかも知れませんが、その場合でも同様な事は発生するのではないでしょうか。

 まさにその通りで、それが故に健保適応は回避されてきたわけです。

 キャッシュの流れを考えると、通常の健保支払いでは、

1)保険者 → 医療機関

となっており、支払いには約3ヵ月かかります。その間の運転資金の利息負担は医療機関に任されています。

 以前の分娩では、

1) 妊婦 →医療機関
2) 保険者→妊婦

の2段階だったわけです。医療機関は妊婦さんから直接に日銭の形で支払いを受けますから、利息は発生しません。利息負担は(1ヵ月前後とわずかなので目立ちませんが)妊婦さんに発生しています。保険者はこれを負担してきませんでした。

 制度改定の当初予定の場合では、

1)(貸し付け)→医療機関
2) 保険者  →医療機関
3) 医療機関 →(貸し付け)

と3段階に増えています。妊婦の利息負担は消失し、医療機関に転嫁されています。

 因みに保険者から医療機関への支払いに3ヵ月がかかるとされていたわけですが、これは非常に細かい審査の行われる出来高払いの健保支払いと同じで、理解不能な支払い遅延です。

 しかし、全国で毎月8万件以上の分娩があります。この全てを保険者からの直接支払いにすると、逆に新たにおよそ2ヵ月分で700億円のキャッシュが保険者に残ります。

 さらに利息が月割り0.2%としても約1億4千万円です。

 この金額がそのまま残りわずかな産科診療所と分娩取扱病院の負担となります。借金すると、バランスシートに延々と残り続けることになるわけで、制度的にこれが強制されることになります。一般の市中金融機関の目から見ると、やはり疑わしい突然の経営悪化と映るでしょう。事務長さん達は説明に大汗をかくハメになります。

 結局、700億円のキャッシュを手にする謂われのない保険者が、これを吐き出せば済む話です。簡便なのは支払いベースを3ヵ月から1ヵ月以内に圧縮することです。

 それができないのであれば、分娩を継続する医療機関に対して、必要な資金を保険者が直接供給するのが順当です。手法はいくらでも考えられます。

>結局、700億円のキャッシュを手にする謂われのない
>保険者が、これを吐き出せば済む話です。簡便なのは支払い
>ベースを3ヵ月から1ヵ月以内に圧縮することです。

実際に可能なのでしょうか

>それができないのであれば、分娩を継続する医療機関に対して、
>必要な資金を保険者が直接供給するのが順当です。
>手法はいくらでも考えられます。

これに関しても同様です
実行可能性の問題になってくると思います

問題の所在

出産費用はだれが負担すべきか、実はここに問題がると思います。
「子は宝」
国にとって「子は宝」と考えるからこそ出産・育児を応援しようとしていると思います。単に将来の労働力ということではなく、日本の文化・伝統を含めて私たちを継承してくれる人たちを大事にしようとしていると思います。
とすれば出産育児一時金を支出するのは国=全国民であるべきでしょう。健康保険ではないですよね。(全国民だけか、わが国に居住する人か、わが国で何らかの経済活動をする人かはここでは論じません)
一方、出産費用は出産者及び新生児が発生させ、出産を担当した医療機関が受け取るべきコストです。医療機関が無料で出産を担当することもおかしければ、出産育児一時金を出すこともおかしいですよね。
もともと出産育児一時金自体がひどい制度だと思います。出産の成功報酬ではなく、出産の試みに対して支援し、出産を支援し、育児を支援すべきなのです。すなわち母子手帳を受け取るときに妊娠一時金、8か月になったら出産一時金、生産だったら育児一時金と分けて支払うべきだと思います。妊娠自体を応援し、生産であっても死産であっても応援し、生産なら育児を応援すべきです。

健保法101条の出産育児一時金、同法114条の家族出産育児一時金、両方とも支給要件は下記の通りです。

妊娠4ヶ月(妊娠日数85日)以上の出産で、死産、流産、人工妊娠中絶も含まれます。ただし、経済的事由での人工妊娠中絶は除きます。なお、死産、流産、人工妊娠中絶の場合は、産科医療保障制度の対象外となりますので、同保証制度の掛金3万円分は支給されません。

また、平成6年に健康保険法が改正される前は、分娩費と育児一時金の二つの給付に別れており、死産、流産、人工妊娠中絶の場合は、分娩費は支給されましたが、出産育児一時金は支給されませんでした。なお、この平成6年改正の議論の際、分娩費を療養の給付と同じように現物給付とする案が法案改正審議で決定しましたが、産科医療関係諸団体の猛烈な反対があり、法案の最終案で現物給付化による産科医療機関等への直接払いへの改正案が見送られ、反対論との妥協の産物として、現行と同じ被保険者への現金給付としての出産育児一時金制度(当時の金額は30万円)が、平成6年の健康保険法改正で生まれた経緯があります。

この平成6年改正での産科医療関係諸団体の、分娩費の現物給付化改正に対する猛烈な反対運動は、社会保険の制度側の関係者にとって、非常に大きなトラウマとなって残っています。今回の出産育児一時金の直接払い制度でのドタバタ劇では、改正案審議の平成4年~5年に掛けての産科医療界挙げての反対運動の歴史を知っていると、川口氏の国民(妊産婦の当事者)を混乱させた責任はドッチもドッチであって、共に国民に対しお詫びと反省を行うことから再スタートするべきだというご主張は、素直に頷けるものがあります。産科医療関係者の一部にある、行政側だけが一方的に悪いと言わんばかりのご意見に接すると、社会保険制度の実務者としては心情的にいささか割り切れない思いが致します。

国民(妊婦と産科医療機関)が困窮し切って病院での出産がいわば瀕死にそくしているまさに今必要なことが、制度のおかしいところを即座に手当てすることではなく「関係者がおててつないで謝罪と反省表明」ですか。じつに能天気なことです。霞ヶ関は予想される緊急事態に対してあらかじめ対策を考えておくという小学一年的能力も無いのでしょうか。

> 実行可能性の問題になってくると思います

 現在、被保険者から請求があってから実際に一時金が支払われるまで、およそ1ヵ月程度となっています。

 月間8万件の個別請求をおよそ2000箇所の分娩医療機関からの請求に事務集約化できるのです。普通に考えてできない理由はありません。

 また、資金供給の方法については、制度変更時の一度きりの支出ですから、本当にいろいろと考えられます。

 やれない理由はいくらでも考えつくことができますが、この場合、実行可能なアイディアを案出するのは、努力と才能の問題でしょう。特に前者であると思います。

法務業の末席さま

ありがとうございます。もともとの制度からどんどんゆがめられてきたという事ですね。理解できました。

やっぱり妊娠一時金を出して、妊娠初期から管理し、妊娠・出産・育児をそれぞれの段階で適切に支援してあげてほしいと思います。

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