あまりに進行が速そうでどうしたらいいのか・・・。

投稿者: | 投稿日時: 2009年10月10日 08:44

新型インフルエンザで、これまでで最年少、5歳の男の子が亡くなりました。

●新型インフルの5歳男児死亡=最年少、22例目-東京
(時事通信 2009年10月9日)


記事を読んで、その症状の進み方の速さを認識し、改めて怖くなってしまいました・・・。


男児は最初に医療機関を受診したときは、まだ発症から時間が経過していなかったからでしょう、インフルの検査を実施しなかったのか、しても検出されなかったのか、そのときはそのまま帰宅したようです。翌日に40度の熱が出て再受診した際にタミフルを処方されたにもかかわらず、その日の午後に脳炎・脳症、夜には多臓器不全に陥っています。


自分の子どもに置き換えてみても、本当にあっというまだっただろうな、と思います。いくつかのホームページ等で確認しましたが、発熱当日と翌日に急速に悪化して脳炎・脳症に至ることが多いとのこと。しかも突然に痙攣を起こして意識を失う、というのが典型的な現れ方といいますから、親としても驚いてしまうに違いありません。そのまえに意味不明な言動が見られることもあるといいますが、例えば我が息子は2歳後半。ようやく会話のキャッチボールも“赤ちゃん”から“子ども”レベルのやり取りが成立するようになってはきましたが、まだまだ不十分です。体調不良を訴えることもだんだんできてきたものの、実際には調子が悪くても「大丈夫?」と聞くと「だいじょうぶ。」と帰ってくることが多く、言葉をそのまま信用できません。まして今まで40度レベルの高熱はしばしばありましたが、痙攣や意識障害までは起こしたことがなく、突然そうなったときには親の私たちも相当あせってしまうことと思います。今回の男の子も、意識を障害を起こしてそのまま3日後に亡くなっていますから、親御さんとしても気持ちの整理がつかないことだろうとお察しします。つい5日前までピンピンしていたのですから・・・。


しかも、早期に脳炎・脳症とわかっても、脳の圧力を下げるなどの対症療法は別として、決め手となるこれといった治療法はないようです。私などつい、たいていの身の回りの病気は「早く見つけて早く治療を始めれば、それだけ治りやすい」というイメージを勝手に持ってしまいがちですが、そうもいかないのです。


新型インフルエンザの死亡率については、通常の季節性インフルと同レベルではと言われたりしつつも、まだまだ分からない部分が大きいですが、少なくとも過度に怖がる必要はなさそうだと認識しています。しかし、「死亡率」や他にも「罹患率」「有病率」といった統計上の言葉は、実際に当事者となってしまえば何の意味も持ちません。たとえばインフルエンザによる死亡率がどれだけ0%に近かったとしても、インフルエンザで命を落とした当人やその家族にとってみれば、死という事実がすべてなのです。そう思うと、死亡率がそれほど高くないと聞いても、あまり気休めにはなりません。


かからずにすむ、というのはこのままでは考えにくいし、前も書きましたが、かかってしまったらあとは運、ということなのでしょうか。


接種可能になる時期がまだまだ先になりそうなので悪あがきかもしれませんが、そうなるとどうしてもワクチンへの期待は大きくなります。しかし、ようやく国産ワクチンが初出荷に至った一方で、こんなことも報道されています。

●接種開始、ずれ込む見通し=医師会への協力依頼遅れる-厚労省がミス・新型インフル(時事通信 2009年10月8日)


うーん、どうなることでしょう。このような様子では、実際に対象者別の接種開始時期が訪れても、予約等の段階でトラブルや混乱が生じないか、本当に想定どおりスムーズに進むのか、怪しいものです。まだまだ状況をウォッチングしていかねばと思わずにいられません。

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コメント

同じ年頃の子がいる医師です。

>たとえばインフルエンザによる死亡率がどれだけ0%に近かったとしても、インフルエンザで命を落とした当人やその家族にとってみれば、死という事実がすべてなのです。

それは確かにそうです。お子さんを亡くされたご家族の悲しみは想像に余りあります。0%でない限り、残されたご遺族の悲しみをどう癒すのか、という問題は残ります。

ですけれど

>そう思うと、死亡率がそれほど高くないと聞いても、あまり気休めにはなりません。

と考えていては、不安が高まるばかり、不安感が煽られるばかりではないかと読んでいて心配になり、言わずもがなのことかもしれませんが、コメントさせていただきます。

「早く見つけて早く治療を始めれば、それだけ治りやすい」
というのは、一般的な疾病治療としては間違っていませんが、早く見つけたとしても、現代で最高水準の医療をもってしても、治療が困難な(頻度の低い)疾患というのは残されています。
ウイルス性脳炎・脳症はその一つです。
脳症・脳炎の原因となるウイルスはインフルエンザばかりではなく(ムンプス、麻疹などでも)脳症・脳炎を合併してしまうと本来のウイルス感染症だけの時よりも、死亡率が飛びぬけて高くなる、というのは事実です。

しかし、ウイルス感染の合併症として脳症・脳炎を起こす頻度は低い、というのも事実です。
頻度の低い疾患まで、一つ一つを全て怖がっていては、知れば知るほど怖くなるだけ、ということになってしまいます。
頻度が低いものを、怖がりすぎる必要はないのです。
どうか、飛び交う多くの情報に踊らされないでくださいますよう。

生と死は隣り合わせ。
突然訪れる予期し得ない死というものをすべて無くしてしまうことは、今の医学の力をもってしても、できません。
「真の安心」は死を受け入れた時にしかあり得ない、というのは小松秀樹先生の言葉です。

子を授かること、子を育てること、というのはさまざまな不安と戦っていくことなのだと実感しています。
子がいなければ子を失う不安を感じることもなかったのでしょうし、子を失ったことのない私には大切なお子さんを失ったご両親の悲しみはわかりきれないまでも、失うことを想像しただけで恐ろしくてたまりません。できる限りのことをしたい、と思う気持ちは一緒のつもりですが・・・。
毎日できることは手洗い、うがいなどの一般的な予防法です。季節性インフルの予防接種も受けられたようですし、できることを実行しながら、腹を据えて、この情報飛び交う時代をお互い、切り抜けていければと思います。
「かかってしまったらあとは運」という考え方でも結構。高額宝くじの当選確率とどちらが高いかわかりませんし。

長いコメントで失礼いたしました。お腹の赤ちゃんも、そのお兄ちゃまも、どうぞお大事になさってください。ブログの更新、楽しみにしています。

slumyさま

冷静、的確、それでいて上から目線でなく、心に寄り添うようなあたたかいコメントをありがとうございます。

確かに脳症にいたる可能性はとても低く、むやみに恐れるのはよくないのですよね。ただ、「生と死は隣り合わせ」という事実も、統計と一緒で、頭でわかっていても身近な人に降りかかったときには急には受け入れ難いものです。脳症が恐ろしいのはそこで、昨日まで元気だった人、子どもが、急に亡くなってしまうことです。ですからやっぱり怖い。怖がらないことはできない、怖いけれど、なってしまったらあとは「運」あるいは「運命」と捉えるしかないということなんでしょうね・・・。

slummyさんも同じ年代のお子さんがいらっしゃるとのこと。お互いできるだけのことはして、なんとか乗り切れるとよいですね。

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