療養病棟の救急受け入れ、反対続出 ─ 11月20日の中医協

投稿者: 新井裕充 | 投稿日時: 2009年11月22日 12:56

 重症患者を受け入れる「救命救急センター」に軽症・中等症の患者が流れ込む"三次救急の疲弊"を改善するため、厚生労働省は療養病棟の救急受け入れを診療報酬で評価する方針を打ち出したが、病院団体などから反対意見が続出している。(新井裕充)

 続きはこちら

<<前の記事:11月20日の中医協 (ブリーフィング) コメント欄    168か所の公的病院が「過労死ライン」の36協定を締結-全国医師ユニオン調査 コメント欄:次の記事>>

トラックバック

重症患者を受け入れる「救命救急センター」に軽症・中等症の患者が流れ込む"三次救急の疲弊"を改善するため、厚生労働省は療養病棟の救急受け入れを診療報酬で評価... 続きを読む

コメント

療養病床では医師一人で40-50人の担当患者がいることもよくある、そんなところに(しかも設備もないのに)救急患者が一人入院しただけでそれにかかり切りになり
他の患者は完全放置になります、区分表のマークシート書くだけでも手間掛かってるのに・・・サービス残業なんてする義理はないしなぁ

医療と介護を区別しましょう、急性期病床と療養病床を分けましょう、大学での研修ではプライマリケアのできる医師が育たないから大学に縛られない研修制度にしましょう等々、この10年間に厚生労働省が行ってきた医療行政はことごとく失敗しています。現場の状況を見定めないまま机上の空論で考えた数字で進めてきた結果が今の惨状です。

行政は急性期と療養を分け、自分の領域以外はコストが得られないように診療報酬のコストカットを進めてきたので、療養病床は急性期の部分を切り捨てて療養に特化することで生き延びてきました。マルメの療養病院で急性期治療をすれば経営を圧迫しますが、すぐに急性期といかない場合もあるので最低限の救急対応ができる体制をもっているとすればそれは医療人の良心によるものです。

厚生労働省は療養病棟の救急受入れ云々をいう前に、急性期と療養の厳密な区別を保ったままでの救急医療体制の構築にこだわるべきです。そのような方向で行政をおこなってきたのですから。

今更療養病棟で救急をなどというのなら、まずこの10年の医療行政の誤りを明確に認めたうえで、新たな長期ビジョンを示しなぜ療養病棟で救急を行うことが必要であって、いつまでその体制をとるのかなどを説明する義務があります。これだけ医療が崩れてしまってはその場しのぎのやり方はもう通用しません。

それと坂本委員が新型インフルエンザへの対応と救急体制を一緒に考えて発言されていたのが気になります。

パンデミック対策は公衆衛生であり、病院は行政の指示に従って協力する立場ではあっても、個々の病院がパンデミックが疑われる患者とそれ以外の疾患の患者とを区別なく診療するのは望ましくないはずです。感染拡大を防ぐため学校など人が集まる公共機関は封鎖されますが、パンデミックが疑われる人が療養病院という慢性疾患をもつ患者が集まっている場所に押し寄せるのは感染を促すようなものです。

パンデミック対策としての医療機関の役割と、救急医療体制を含めた医療制度設計は区別して論ずべきものだと思います。

コメントを投稿


上の画像に表示されているセキュリティコード(6桁の半角数字)を入力してください。