漢方、保険適用外は困らないの?

投稿者: | 投稿日時: 2009年11月23日 20:02

ロハス・メディカルのニュースでも報じられたとおり、行政刷新会議の事業仕分けで、ビタミン剤や湿布と並んで、「市販類似薬」に属している漢方薬を、保険の適用外にすべきという方向性がまとまってしまいました。上記ニュースで議論の流れを見ていただくとわかりますが、議論したといってよいのかもわからないくらい、簡単に採決に進んでしまったという感じです。

これについて、「漢方を保険に残して」と呼びかける署名活動も始まっています


私も早速署名しました。個人的にもこれまでに漢方薬にはたびたびお世話になっていて、信頼も安心もしています。それが保険適用外となりそうだなんて。正直、今回の事業仕分けによるこの方針にはかなり困惑しています・・・。

漢方薬をはじめとする東洋医学は、近年では世界的にも広く治療に取り入れられるようになってきており、その地位はここ20年ほどでぐんと上昇してきているはず。例えば米国ではOCCAM(がん補完代替医療局)やNCCAM(国立補完代替医療センター)のように、政府によって代替医療の研究支援機関が作られていますし、WHOによるICD(国際疾病分類)でも、次の改訂では漢方をはじめとする伝統医学を含めることが検討されていると聞いています。にもかかわらず、長い年月にわたって漢方薬に親しみ、その効果を十分実感してきているはずの日本で(今の中国から、1000年以上も前に朝鮮経由で僧侶を通じて入ってきたそうです)、こうした世界的潮流に逆行するかのような措置が今まさにとられようとしているのです。日本こそ本来、漢方をはじめとする代替医療をいかに取り入れていくか、世界に先駆けて研究・実践していってもおかしくないはずなのに、むしろそれを軽んじている。忌忌しき事態です。


しかも、世の中には、漢方薬以外の多くの薬が体質に合わない、という人も少なくありません。詳しいことはわからないですが、友人のケースでは、いわゆる西洋薬を最初に処方されたが発疹が出てしまい、漢方薬に切り替えてもらったらうまくいった、という話もありました。もちろん漢方薬でも処方が適切でなければ肝機能障害等の弊害はありえますが、私の経験では効き目がマイルドで副作用らしいものも強く出ないものが多かったので、この話は感覚的に納得できました。


かくいう私も漢方薬にはだいぶお世話になってきました。それらの漢方薬は、「それでなければ病気が治らなかった」という種類のものではないかもしれません。しかし例えば、私の場合は若い頃からストレス等が婦人科疾患となって現れるたちらしく、無月経や無排卵などの状態が、根気よく漢方を服用し続けることによって改善されたことが何度もあります。実は西洋薬で強制的に対処したこともありますが、それで根本的に治ったことはありませんでした。その点、漢方は実感として、体質改善に大いに役立ったという思いがあります。また、アレルギー性の皮膚疾患でも、西洋薬の塗り薬でいったん収まってもやめるとすぐ再発し、ということを繰り返していました。それを、あるとき漢方系の塗り薬を塗ってじっくり時間をかけて治したところ、その後しばらく、今になっても症状が出ていません。確かに効果は弱かったのですが、私にあっていたのかもしれません。


それなのに、保険適用外だなんて。有効成分が未精製である、ということ以外に西洋薬と何か違いがあるのでしょうか?効果はあるのですから、合理的措置とは思えないのです。(そもそも漢方薬が「市販類似薬」だったなんて、多くの国民が認識できていたでしょうか?)要するに、なんとしても医療費を削りたい財務省の企て、というふうにしか取れません・・・。でも振り返ってみれば、民主党のマニフェストの詳細版には、「統合医療の確立ならびに推進――漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療として科学的根拠を確立します」との文言が。どうなっちゃっているんでしょうか・・・。


(ちなみに漢方に限らず、その他の「市販類似薬」も、そう簡単に保険外にしてしまってよいものなのか。ビタミン剤だって疾患によっては必須という患者さんもいることでしょうし、湿布など、整形外科系の怪我や病気で長期にわたって使用を続けねばならない患者さんも多いことでしょう。確かにこれらは病気や怪我の原因を直接的に治すものではないかもしれません。とはいえ実際、「安いから余分にもらっておこう」程度ですむ人ばかりではなく、そういう人たちにとって保険外となることは家計に直接影響することですよね。)


ああ、これで漢方薬は「贅沢品」になってしまうのでしょうか?それ以上に、漢方のもつチカラを必要としている人たちが今も、そして潜在的にも多くいるはずなのに、みすみす斬り捨てられてしまっていいのでしょうか?(適用外となれば、新たな研究だってそうそう進まなくなりますよね。)


この問題、大手新聞各紙では正面きって取り上げているところはない様子(毎日新聞が経済関連で、日本証券新聞との提携で掲載しているくらい)。それも驚きです!と同時に、多くの日本人にとってこの問題が関心事ではないのか、本当にそうなりえないのか、そのあたりも疑問だし、おかしいなあと思ってしまうのでした。

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コメント

OTCは自費でって流れですかね?そのうちガスターも保険適応外になったりして?

こんにちは。
僕は内科医としては漢方薬をあまり処方する方ではありません。漢方関連の報告では「○○湯が著効した一例」など、たくさん報告はありますが実際に効くという実感がわかない。

しかしながら、中医協で論じるべき問題を素人の政治家が決めてしまって良いの?

幕末の頃これからの医療政策を「東洋医学」か「西洋医学」のどちらを国家として選択するかという問題の時、同一の疾患を漢方医と蘭方医に競わせて、西洋医学を選択したという逸話があるそうですが、それすらもしていない政治的判断で決められることなんですかね。
漢方が保険診療に値しないというなら。そのエビデンス(プラセボとNSとか。費用対効果が悪いからとか)を出して欲しいですね。

はじめまして、整形外科の開業医です。
漢方薬についての行政刷新会議の事業仕分け論議については、本当におかしなことです。
多分、漢方薬=高価という思い込みがあるのではないでしょうか。
実際には保険処方薬は市販薬と比較して信じられないくらい安いのですが・・・
仕事柄、関節リウマチをはじめ漢方薬には大変お世話になっています。
薬剤には漢方薬と一般の薬剤の区別はないと思います。合成薬だから副作用があるとか、漢方薬だから安全だとかいうのと同じです。
また漢方薬の中には麻黄や柴胡など摂取に注意しなければならないものもありますので、OTCは逆に危険でしょう。
韓国のように東医と西医に分かれていない日本では、これまで薬剤それぞれの効能を考え良質な医療をおこなえてこれたと思います。
非常に浅薄な議論ですが、多分漢方薬全体のマーケット(高い自家調合薬を含む)と保険使用の漢方薬の混同があるように思います、
少し、論点がずれますが、削るべきなのは海外と比べてあまりにも高い医療材料(ペースメーカーや人工関節)でしょう。

タミフルの1日薬価632円80銭麻黄湯は66円75銭
医療費抑制のためにはどちらを選択すべきでしょう
他に認知症の周辺症状に抑肝酸は本当によく効いて家族にとても感謝されますし・・・花粉症の小青龍湯・・・他にも沢山患者さんに喜ばれる薬はあるのに。困ります。

続きです
結核治療中のビタミンB6、アルコール中毒へのビタミンB1大量投与、脚気に対するビタミンB1、胃全摘患者に対するビタミンB12注射etc
混合診療禁止の原則からはこれらの患者さんは保険診療ができなくなるということでしょうか?

今日の記事に、『改定の基本方針に「患者の負担軽減を」』との内容がありました。
日本の保険医療は、時に「穴の開いたバケツ」と言われます。(DPCでなければ)医療側が恣意的に治療内容を決定する制度でありながら、不正請求・過剰請求のチェックは十分ではありません。保険だからと余分に処方する医師、余分にもらう患者が多数存在することと、新たな治療が保険適用になりにくいことは全く無関係という訳ではないと思います。
医療費が無尽蔵ではないとして、新たな治療を保険適用にする代わりに何らかの治療の保険給付を減額する選択をするのであれば、その選択を適切に行なえるのは医療側のはずです。業界を分からない人物が業を煮やしたように決定する事業仕分けではこのような結論に至るのも当然では。

常用薬で漢方を処方されています。これが保健適用外になると本当に困ります。

現在、両親も私も、漢方薬のみの治療を行っています。
父は、リュウマチ、パーキンソン(疑い)、アルツハイマー(疑い)など数々の病気の疑いがあり、数種類の化学薬を飲んでいたのを、医師の協力で最終的に漢方のみにできたのですが、以後、原因不明だった皮膚病が治り、精神的にも元気になりました。薬をやめて元気になったのです。
老人ホームに入所している両親は、「漢方治療をしているから」というのを盾にして、施設の医師から安易に他の薬を処方しないようにお願いしています。この盾がないと、施設側としてはその責務として、医師から処方は強制的に入所者に飲ませることになります。父は再び数種類の薬を飲まなければならない可能性があります。
また、現在通院している病院も、漢方医を置けなくなる可能性もあります。
非常に困ります。

漢方薬の化学成分をクロマトグラフィーなどで分析して明確に表示するならば、同じ土俵で議論ができます。また、プラセーボと比較して統計学的に有意な有効性が認められなければそもそも薬として認可すべきではありません。
大量生産している漢方薬ならば、成分はわかっているはずです。漢方薬局で自家調製している場合でも、原料や重量はほぼ一定させているはずですからある程度の目安としての成分表示はできるはずです。
科学的に情報公開すると「有難味」「神秘性」が失われる、そんな薬は困りますね。
ただ、「科学的」一辺倒な医師も患者からみると恐怖なのかもしれません。「西洋」薬よりも漢方薬のほうが安心、という患者心理を非科学的と決めつけるだけでは、患者‐医師関係は成り立たないことも確かです。
そもそも薬の効果の約2割は「プラセーボ効果」であることはよく知られています。
治験をすると、プラセーボ群で「副作用」を訴える方が一定数必ず出現することも周知の事実です。
ことほどさように、服用する方の心理によって薬の効果はプラスにもマイナスにもなるのです。
つまり、「投与して患者が『よくなりました』と喜んだから『効いた』のだ」という考え方自体が陥穽、ということです。
ここから出発しないと、漢方薬はじめ代替医療の議論はできません。
もちろん、患者さんや家族にとっては、「科学的であるか」ということは全く重要ではなく、「効いたかどうか」が問題なので、プラセーボ効果でも「効いたと信じる」ならそれでよく、投与継続を希望するわけです。逆に、副作用を恐れるあまり、主作用までも無視してしまう患者さんは非常に多いことはこれまた周知の事実です。そのような方にとっては、「副作用がない」と「信じる」ことで、その薬の価値はかけがえのないものになります。
迷信とまではいかなくても、患者には患者の『解釈モデル』があり、祖父母の世代からの独特な疾病観や周囲の助言などに影響されます。なんといっても医者が一発で「有効で副作用の出ない処方」を「当てる」ことはあまりないですし、それを「医療の不確実性」と言ったって患者家族にはヤブ医者の言い訳にしか聞こえないでしょう。
科学的に試行錯誤して処方しつつ、患者の不安や恐怖や誤解をも理解して、丹念に根気よく説明して、納得してもらったり教育啓発したりすることも医師の重要な役目です。
ぽんと薬を出して、副作用の質問が出ると嫌な顔をしたり、副作用の報告を受けるとまるで患者が悪いかのような態度で別の薬に変えたり、そういう医師の態度も、患者を漢方薬やサプリメントに走らせるのでしょうね。
今回も、医師としての未熟さに反省して終わり。いつも同じパターンで芸がなくてすみません。

生涯いち医師さま

>漢方薬の化学成分をクロマトグラフィーなどで分析して明確に表示>するならば、同じ土俵で議論ができます。また、プラセーボと比較>して統計学的に有意な有効性が認められなければそもそも薬として>認可すべきではありません。

「西洋薬」も化学成分を示していないものがあります。血液製剤、ソルコセリル(これも牛の血液由来ですが)、などはもちろんのことワクチンも成分は良くわかっていません。また作用機序の良くわからない薬はたくさんあります。
クロマトグラフィーは質量や電荷などによる移動性で調べますので、未知の資料から成分自体を同定することはできません。基地の成分を流して見て、それが含まれるか、どれぐらいの割合なのかを見るものです。
一般に使用されている漢方薬はエキス製剤ですので、同じ製品でも力価は微妙に異なります。成分がよくわかっていないので比較はできませんが、おそらく成分割合はばらつきがあると思われます。
漢方薬の薬効については2重盲検試験をやっている報告もありますので、お読みいただければ。
漢方薬と西洋薬の効果比較については診断体系が違いますのでかなり困難です。これは漢方側の問題ではなく、西洋薬も漢方薬に対する優勢を証明する試験を行っていません。つまりどちらが効くのか誰も知りません。
漢方薬はプラセーボ効果だけのものではなく、長い正当な歴史を持つ薬であり、漢方は医学の一つの分野です。

ふじたん様

  ご指摘ありがとうございます。クロマトグラフィーでは既知のものしか検出できないとのご指摘、感謝いたします。
  では「未知の有効物質」が漢方薬にあるとして、それを抽出して純化するという当たり前の化学的過程を踏んでいただきたく切に希望いたします。
  西洋薬でも成分のよくわかっていないものがある、ということは言を待ちません。しかし、ワクチンも血液製剤も、その有効性は証明されており、危険性は明示されています。脳循環改善薬など、薬効がないとわかったために市場から姿を消したものも多くあります。
  西洋薬と同じ土俵、と言ったのは、少なくとも、西洋薬は、できる限り精製しよう、成分を明示公開しよう、薬効を実証しよう、それに耐えないものは疑ってかかろう、というコンセンサスがあるのに対し、漢方薬は、「西洋医学とは考え方が違うから」その他の弁解が多くて、科学的姿勢に欠ける(科学的でないほうが有り難い)ような印象を受けるからです(間違っていたらごめんなさい)。漢方薬の二重盲検試験の論文はいくつも読みましたから「存在」は知っています。でも、被験者の数が少なかったり、質にやや難あり、漢方薬を積極的に使おうという気になった論文は残念ながらないですね。何といっても成分が謎なので・・・。漢方薬というとき私がよく連想するのが、「チキンスープが風邪に効く」という有名な「西洋」論文です。私は風邪薬をあまり信用していない(自然に治るものにわざわざ有害かもしれないものを処方するなんて・・・)のですが、スープは勧めます。成分はその家ごとに違うのでわからないけれど。で、そのスープの中に、参鶏湯なら高麗人参や棗が入っていてもOK。和風なら生姜が入っていてもOK。これだって立派な漢方処方。生薬の種類が少なすぎる?すみません、変数を最小にしたいので。
  閑話休題。
  これから、もっともっと漢方薬の二重盲検試験(漢方薬 vs 西洋薬の比較試験も含め)が増えてくることを期待いたします。そうすれば、保険外にしよう、という人も減るものと思われます。
  以下はプラセーボ効果についての追加です。
  漢方薬が「有効」とされる分野は、更年期障害やアトピー性皮膚炎や自律神経失調症など、ストレスが関与し解釈モデルや心療内科的アプローチが重要なカギを握る疾患群が多いようです。私が「プラセーボ効果」ではないのかと申し上げるのはそういう意味です。私は「プラセーボ効果」は素晴らしいものであると思っており、決して馬鹿にしたり笑ったりしてはならない、「医は仁術」とも深く通ずる「治療法」であると認識しています。決定的な治療法がなく多くの患者が悩まされているが命には関わらない、そのような病態で、誠実に患者の訴えを傾聴し、ああでもないこうでもないと工夫してその患者だけのテーラーメイドの薬を調合する、この医師の姿勢だけで、どれほど患者さんは救われることでしょう。ストレス性疾患の患者さんであれば、医師が親身に辛さを理解してくれて「この薬は副作用がなく、おだやかに効く」と説明したら、かなり改善することが期待できます。
病気を明解に診断し、効くとわかっている標準的治療方法で的確に迅速に治すことを旨としている医師のうちで、いわゆる不定愁訴を長々と切々と訴える患者さんを苦手とし、ときに業を煮やし、或いは時間を取られ過ぎるので困ってしまった医師が、「あなたのような病気には漢方が効きますよ」と漢方医を紹介するのは、「あなたの問題は心身相関といって・・・」と心療内科に振ろうとするより患者の反発(『先生は私の症状は気のせいだとおっしゃるんですか!』)を受けずにすむから、という面もあるのではないでしょうか。
  患者の命に関わる治療法では、二重盲検試験で有意差が出ないということ自体が大きな意味があり、発表されなければなりません(抗癌剤など)。しかし、命に関わらない病態の疾患では、ある薬が二重盲検試験で有意差が出なかった場合、往々にしてその結果は論文発表されません。西洋薬でも、あえて二重盲検試験をしないことで生き延びている薬は多々あるものと想像されます。害があれば淘汰されるでしょうが・・・。
  薬以外でも、二重盲検試験では有意差が出ないにも関わらず、患者が喜々として通い続ける、「治らない病態への効かない治療法」は数多くあります。例えば整形外科疾患では、「MRIでは悪いものはありませんでしたよ、よかったですね、単に年のせいです、上手につきあうしかありません」という整形外科医は一回か二回で患者は来なくなりますが、「これで楽になりますよ」とせっせと牽引やら通電やら一時間ほどで効果は消えるが「気持良い、効いたような」気にさせる「施療」を行う整形外科医や接骨整体医は繁盛しています。患者さんにしてみれば、「合理的に見捨てられる」ぐらいなら、「効いているような気がしないでもない治療法を施してもらって、いくらか安心し気分が良くなる」ほうがいいにきまっています。これらの施療は、私費である限りは、或いは診療報酬で不正を働かない限りは、容認されています。しかし、漢方薬が保険外ということは、これらの保険診療性にも矛先が向かうかも知れませんね。
  「西洋薬でも正体不明のものはある」という、例外を引いての議論は、すりかえになってしまいます。西洋薬で無効なものは、もちろん消えてほしいと切に願っています。
   繰り返しますが、漢方薬が、西洋薬と同じ土俵に乗って有効性を科学的に証明されんことを応援しています。その上で、保険診療内で堂々と処方されれば、患者さんの選択肢は増え、結構なことだと思います。

>生涯いち医師先生

 上のコメントを見ると先生は整形外科なのでしょうか?
 もし、ご使用経験がないのであれば「防已黄耆湯」を膝関節水腫に使ってみてください。証が合えば(水太り傾向、下肢浮腫傾向のある患者さん)驚くほど水腫減少・疼痛緩和に効果があります。水腫減少ですからプラシーボ効果であるいわれはありません。

 で、この薬は証が合わない患者さんでは不思議なことに全く効きません。漢方を西洋薬と同じ土俵に乗せようとしてもどういう研究デザインを組むのかが問われてしまうのですよ。そこが問題なのです。

証ごとに層化すればよいのでは。

 問題はこの「証」って奴が多分に経験則的なもので統計学にいまいちなじまないってことなんですよね。失われつつある技能でもありますし。

 一応
変形性膝関節症に対する防已黄耆湯加修治附子末の治療効果 Evidenceへの試み Loxoprofen sodiumとの10年間前向き無作為比較試験
西澤芳男他、Pharma Medica(0289-5803)25巻10号 Page15-21(2007.10)

 こんな研究はあり、ロキソニンに比べて有意に優れているという結論を著者は出しています。

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