医療従事者の別件逮捕:自白は信用できるのか? |
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投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2010年03月06日 09:29 |
京都大学医学部附属病院入院中の患者さんが高インスリン血症による低血糖に陥っていたとされた問題です。低血糖の状態にあったにも関わらず、正常血糖値として電子カルテに記録したとして看護師が逮捕・送検されました。この事件はいわゆる別件逮捕(勾留)であり、この看護師について大量インスリン投与の疑いでも取り知れべが為されていると既に報道されています。どうやら物証が乏しい中、自白を目的とした勾留が行われているようで、被疑者の弁護人二人から、特別の申し入れが行われたようです。
京大病院看護師逮捕 「取り調べ全部録画を」 弁護士、地検などに申し入れ
(2010年3月6日 読売新聞)
留置場内での身の安全も心配です。
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コメント
インスリン投与を自白したという報道が出ました。
京大病院インスリン事件 看護師を殺人未遂容疑で再逮捕へ 投与認める供述
産経ニュース 2010.3.19 20:17
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100319/crm1003192018017-n1.htm
物証はあるのでしょうか。
京大病院・インスリン事件、殺人未遂容疑で看護師再逮捕
(2010年3月22日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100322-OYO1T00172.htm?from=top
自白内容の詳報が出始めています。物証として、大量のインスリンが体内から検出された(読売)としても、C-peptide等についての言及はありません。
複数患者にインスリン 京大看護師殺人未遂容疑で再逮捕
asahi.com 2010年3月22日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201003220044.html
こちらでは「点滴の管から高濃度のインスリンが検出」されたとしています。確かにこれも、材質や輸液の組成によってはインスリンが延長管の内壁に吸着されることあり得ますが、であれば大量に体内に入るというのは不自然な話です。
何よりこの事件の全体像が不自然です。
報道から示唆されている、この看護師の行動として考えられることは、まとめると以下のようになります。
1)そもそもインスリン投与がされていない患者さんに大量のインスリンを、
2)吸収の確実な皮下注射ではなく、不確かな経静脈で点滴(あるいはワンショット)投与し、
3)指示も出ていない血糖測定を何度も行い、
4)しかもその結果を必要もないのに偽って看護記録に入力した。
…辻褄の合う供述を組み上げるのは、取り調べに当たる警察官でなくとも困難でしょう。