「いのちの授業~がんを知る」狛江三中~講師からのメッセージ

投稿者: 川口利 | 投稿日時: 2012年07月12日 15:42

今日は、狛江三中での「いのちの授業~がんを知る」最後の部分で講師お2人から生徒に伝えられたメッセージをご紹介いたします。

まずは、医療従事者側講師をお務めいただいた久住英二さんのメッセージです。

1 久住さんメッセージ

土曜日の午後、疲れていると思うが、聴いてくれてどうもありがとうございました。医者というのは診察室の中でちょっと会うくらいしか普段接することがないので、何を考えているのかなとか、おっかなそうだなとか、こんなこと喋っていいのかなとか、こんなくだらないこと訊いていいんだろうかとか、いろいろ忙しそうにしてるしやめとこうかとか考えるかもしれない。しかし、実は医者の仕事は患者さんの人生の価値の最大化である。病気で具合が悪くなっているから、それを治すことでその人の人生を全うさせるのが、全うしてほしいからそれを手助けするのが我々の仕事である。

まだみんなは元気だけれど、20年、30年経つと、いろいろな病気を経験するかもしれない。その時は、ちゃんと納得のいく話し合いをして治療を受けるようにしてほしい。

自分は、立川駅の上で医者をやっているので、何か困ったことがあったら遊びに来てほしい。

続いて、患者側講師をお務めいただいた吉野ゆりえさんのメッセージです。吉野さんはスライドも用意してお話をしてくださいました。

2 吉野さんメッセージ

今、皆さんに伝えたいことは、今まで見てきてもらったように、今「生きていることは、当たり前ではない」から、自分の病気というのを「不自由」ではあるけれども「不幸」ではないと思っている。そして、生かしていただいていることへの感謝の気持ちも持っている。

自分は「がん告知」を受けた時に、嬉しくはないけれど神様が与えてくださった「試練」だと、 ありがたく受け入れようとまず思った。そして、啓発活動をしていく中で、それを自分の「使命」だと考えるようになった。今では、それを「神様からの贈り物」だと思い、感謝をしている。

自分は肉腫だけれども、「がん」になったからこそ経験できること、得られたことも、たくさんある。「これがない」「あれが足りない」ではなく、「これもできる」「あれもありがたい」と受け止めることができるかどうか。大切なことは、今与えられた環境の中で「いかに生きるか」「ベストを尽くせるか」ということではないかと思う。自分の例は、病気、「がん」ということだったけれども、皆さんは中学生という立場で、勉強のこと、部活のこと、人間関係のこと、いろいろなことで悩みがあったり壁にぶつかると思うが、すべて一緒だと思う。自分の場合も、皆さんの場合も一緒だと思う。だから、今ある環境の中でどうやって生きるか、いかに生きるかということを、自分の悩みに置き換えて考えてみていただきたい。         

最後に、今自分が一番好きな言葉を皆さんに贈って、終わりにしたいと思う。

ガンジーというのは聞いたことがあるでしょう。この方の言葉、

明日死ぬと思って生きなさい。
永遠に生きると思って学びなさい。     

これだけ書くとちょっと分からないかもしれないが、自分は今本当にこのように思って生きている。自分の場合は病気があるので、本当にいつ死ぬか分からない。今年、今、学校の玄関にアジサイが咲いているが、来年のあのアジサイを見ることができるかどうかは分からない。自分は、今の季節だったら、アジサイを愛でて、桜の時期だったら桜だし、その次だったらバラだし、今花だけを取り上げているが、食べ物でもそうである。もうこれが最後かもしれないと思って、すべて楽しむようにして生きている。それは悲観的ではなく、そう思って生きることによって、来年またできたら嬉しいし、その積み重ねで生きるということだと思っている。

もう一つ、永遠に生きると思って学びなさい。自分はよく患者さんに質問を受けるが、あと3カ月、あと1カ月という宣告を受けた方々が、もう自分は死んでしまうのに何をやっても意味がないではないかという風に、言われる方がいる。自分はその方に、自分もこうやって生きていると申し上げる。今学んでいること、魂を磨いていること、徳を積んでいること、お友達に親切にしたりご老人に親切にしたり、いろいろなこと、そういうことというのは、自分の体が死んだとしても、魂で来世に持っていけるものだと思っている。自分は死ぬその瞬間まで、徳を積むことや学ぶことを続けていきたい。絶対に無駄ではないと思って生きている。それなので、自分には今すごくはまっている言葉なので、難しいことかもしれないが、いつかこんなことを言っていたなと思って、思い出してもらえれば嬉しい。

自分の一番好きな言葉。

明日死ぬと思って生きなさい。
永遠に生きると思って学びなさい。

今日は、ご清聴いただきありがとうございました。

お2人からのメッセージをいただいた後で、私から最後に一言、“これで今日の授業は終わりになりますが、ぜひ皆さんの「いのち」を輝かせてください!”と呼びかけました。

生徒の言葉.jpg

その後、生徒代表からお礼の言葉が述べられました。

今日は三中に講演に来てくださりありがとうございました。今まで自分はそんなに大きな病気にかかったことがなく、今日吉野さんが来てくださるということでネットなどで調べた時に、治療がつらかったり、治療の方法が難しかったりということが分かり、「がん」だと伝えられた時にショックだったと思うが、今こうやって講演などをされ、すごく明るく前向きに生きていらっしゃると思った。自分は、今打ち込むこととか一所懸命やりたいことがないが、「いのち」を輝かせるためにこれからいろいろ見つけていきたい。今日は勉強になった。ありがとうございました。

講師お2人に花束が贈呈され、無事授業は終了しました。

花束贈呈.JPG

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