中医協が民主的?

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2016年12月23日 04:00

諮問会議で報酬改定議論「青天のへきれき」- 日医が緊急見解というCBニュースの報道によると、22日に日本医師会が

診療報酬改定の議論は中央社会保険医療協議会(中医協)ですべきだとする横倉義武会長名の緊急見解を公表した。

そうだ。
見解の原文を読もうと思って日本医師会のサイトを眺めてみたのだが、見つけられなかったので、CBニュースの報道が正しいという前提で書く。


見解によれば

診療側委員と支払側委員とが、保険契約の両当事者として協議し、公益委員がこの両者を調整するという三者構成をとっている」とした上で、「極めて民主的な会議となっている」と強調している。

とのこと。


ご存じの方には言わずもがなだが、中医協の委員構成はこうなっている。


で、1の「支払側」に大阪HIV訴訟原告団代表で全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人でもある花井十伍氏が、『日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員』として入っている。


花井氏の実績と人柄を悪く言う人はいないと思うので適性は充分だと思うのだが、そもそも診療側と支払側という分け方が変で、医療の受益と負担の関係を踏まえるなら、受益者と費用負担者という風に線引きをすべきでないか。そうやって線引きした場合、花井氏は明らかに受益者であり、つまりは診療側と利益を共有するのでないか。


そう考えると、中医協の構成は、明らかに受益者側に偏っている。


だが、こんなことを指摘した人間は今まで業界にはいなかったに違いない。それほどまでに費用負担者たる健康な被保険者・納税者の立場は軽視され、費用対効果を顧みない医療が行われてきた。で、その結果が、経済財政諮問会議に横から手を突っ込まれることにつながっているのだし、健康な人がイザ病気になって医療に接した時、それまでの長年の費用負担に見合わないと憤りを覚える原因になっていること、いい加減に気づいた方がよい。


そもそも、公益委員以外は、国民の代表である国会の同意を経て委員になっているわけではなく、つまり国民の負託を得ていない以上、中医協は必ずしも民主的とは言えないし、大した正当性もない。

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