小松秀樹・虎の門病院泌尿器科部長インタビュー
小松秀樹 虎の門病院泌尿器科部長
――「医療崩壊」(朝日新聞社)出版から3週間が経ちましたが、反響はいかがですか。
社会の状況もあり、大きな反響がありました。一時、品不足になりました。現在までに2万部印刷されました。検察幹部や法務官僚たちから直接コンタクトがありました。私の主張に同意してくれています。6月2日には参議院の厚生労働委員会に呼ばれて、参考人として意見陳述いたしました。
――草稿自体は昨年夏にできていたのですよね。最初に読ませていただいた時、特に司法との関係について悲観的すぎないだろうかと半信半疑でしたが、福島県立大野病院事件のように、気味悪いほど現実が先生の予言を追いかけてきています。もっと早く出版できていればとは思いませんか。
最初はいつまで経っても出ないから、本当に出版って大変だな、と思いました。でも今になってみると、出版を待たされている間に、様々な立場の方と意見を交換することができたし、内容を推敲することもできましたので、このタイミングになって良かったのかなと思っています。
様々な立場の人というのは、検察、厚労省、病院側弁護士、患者側弁護士、患者支援団体、私立病院団体、国会議員連盟、危機管理学会、航空機の日本乗員組合連絡会議、裁判官、法務官僚などです。話をしたからといって本の論旨が変わったわけではないですけれども、それぞれの立場からの反対意見を直接聴けたことで、中身が強くなったと思います。宗教は迫害されてはじめて強くなり、世界宗教になりますが、反対意見に晒されるのはとても大切なことだと実感しています。
――今のところ好意的な意見が多いとのことですが、今後はそうでない受け止め方をする人が出てくる可能性もありますね。
全面的に私の意見に賛同してくれる人ばかりだったら、今のような状況にはなっていないわけですから、反論が来るのは大歓迎です。むしろ、違う意見の人と議論する前提として池に石を投げ込んでみたところがあります。