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ニュース〜医療の今がわかる

がんと民主主義

 外口局長が非常に朗らか(そう感じた)な口調で答える。
「流れは良い方向に進んでいると思う。目的は一緒なのだから、あとはいかにうまく進めていくか。基本計画を作るのが最終目標ではなく、その先がある。基本計画は協議会で話したから終わりではなく、閣議決定を受けなければならないので、国民全体の理解を得るものにしなければならないし、地方で実現できるものにしなければならない。その意味で急遽、国民の意見も募集することにしたのは、国民全体の支持を得るために、18人の協議会メンバーのコンセンサスだけでは弱いと考えたから」

 国民の意見を募集することにしていたらしい。知らなかった。不勉強を棚に上げて言わせてもらえば、霞ヶ関はこの手の「意見の窓口は開いておいた」という『手続きだけ民主主義』が多すぎる。がん患者さんたちも、よほどキッチリ動きを追いかけていた人でなければ知らないのでないか。

 鴨下代議士が、マイクを取った。
「がん対策推進法の最終段階で協議会に患者さんが参加することについて、かなり真剣に悩んだ。うまく廻るんだろうかと心配していたのだが、それぞれの方が責任を感じて参加していることに感銘を受けた。頼む側ではなく作り上げる側になっている。局長は、自分たちで作るような口ぶりだったが、皆さんが主体になって責任を担ってほしい」

福島代議士が続く。
「当事者の意見を医療政策に取り入れる初めての取り組みだった。日程がタイトなのは申し訳ないが、いいことを決めても予算がつかないと意味がない。夏には概算要求しないといけないから。それから、この議論は予算編成全体にもかかわってくる。先ほどから声の上がっている医療提供の地域格差の問題は、日本の医療の在り方全体にぶち当たるので、健康局の立場では、どこまで責任を取れるかというのはあると思う」

 政治家と官僚と庶民とが、ここまで本音で平たく話した場というのは、過去にもあまり例がないのでないか。こんな興奮を覚えているとき仙谷代議士がその他の方がたに何か言いたいことはないかと問いそして4つの患者会の代表が話したのだが、これが見事なまでに今までと同じ「これをしてほしい、あれをしてほしい」。。。

 これに対して埴岡さんが
「我々5人がお互いに話しているのは責任が取れるだろうかということ。5年後に不作為の罪に問われるんじゃないかとすら思っている。今までの議論は患者側が汗をかいていないし偏っているんじゃないか」と受けて立っているのを見ながらも、やっぱり変わらないんだなと、少しガッカリしていた。

 でもすぐに「当然だ」と思い至った。協議会に入った5人は自ら議論を動かせる立場になったからこそ、その責任も感じ自律するようになったのであって、かつては5人も似たようなことをしていたはずだ。「自己主張しかしないから患者には任せられない」のでなく、「任せないから患者は要求ばかり言う」のではないだろうか。その意味では裁判員制度なんかも、やってみれば案ずるより産むが易しなのかもしれない。

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