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「看護学教育と指定規則は合わない」―大学の看護人材の養成検討会

【小山田専門官】
 それでは、資料4(大学における看護系人材の在り方についての論点メモ案)をご覧ください。先ほど申し上げた3点の検討課題について、それぞれの論点の案を挙げております。1の「保健師助産師看護師三職種の免許取得に必要な教育内容を体系化して教授する学士課程における看護学教育の在り方について」でございますが、本検討会では、この学士課程におけるカリキュラムを、仮に「統合化したカリキュラム」と称していきたいと考えております。

 この「統合化したカリキュラム」についてはこれまで、大学で養成する人材の資質の担保や、多様なキャリアパスを獲得できるという魅力で学生を引き付けるなど、大学における看護系人材の発展に貢献してきました。
 しかしながら、先に述べたような大学数の大幅な増加によって、教員や実習場所が不足し、とりわけ、自治体の統廃合により、保健所等が減少していることもあって、保健師実習が困難を極めております。「統合化したカリキュラム」が、現在は教育の質を損なう一因になっているという指摘も頂いております。
 そこで今一度、大学における看護系人材の在り方を考える中で、3つの資格取得を可能としている現在の「統合化したカリキュラム」について、ご議論を頂きたいと思っております。
なお、この論点の結論については、できるだけ速やかに、今後のカリキュラム改正や、大学の設置審査に反映させていきたいと考えておりまして、できましたら6月ぐらいをめどに、「中間取りまとめ」というような形で、いったん結論をおまとめいただけたらと思っております。

 続いて、「新たな看護学教育の在り方とその質の保証の在り方について」ですが、論点として「モデル・コア・カリキュラムの導入と看護学教育の質の保証について」を挙げました。論点(1)で、これまで学士課程教育の質の担保を担ってきた「統合化したカリキュラム」の在り方を検討していただこうと思っており、もし、「統合化したカリキュラム」の在り方を修正していく場合、新たな学士課程における看護系人材養成の質の担保について検討する必要があるのではないかと考えます。
 その際は、過去の私どもの検討会で提言され、中央教育審議会の答申でも盛り込まれたモデル・コア・カリキュラムの仕組みを導入することが、一つの選択肢と考えまして、論点(2)に取り上げました。
 なお参考までに、机上の配布資料の中に、医学教育のモデル・コア・カリキュラムを配布しております(委員のみ)。モデル・コア・カリキュラムを既に導入している医学教育では、モデル・コア・カリキュラムの導入で、教育の自由裁量度を高める一方、教養試験などで質の担保を図っています。
 看護学教育については、「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」や、大学全体の認証評価により、質の担保を図ってきましたが、いずれも看護学教育の質保証の指摘としては不十分であるという指摘もございます。モデル・コア・カリキュラムの検討を行う際には、併せて、教育の質保証の在り方についても、検討する必要があると考えております。

 最後に3点目として、「大学院における高度な職業人養成の在り方について」ですが、論点としては「看護系大学院教育の目的・役割について」を挙げました。その意図ですが、現在、看護系の大学院では、研究者や教育者の養成のほか、専門看護師などの養成も行っております。
 また、学部教育でも取得できる助産師の育成を大学院教育の中で行っている大学も増えつつありますし、社会的に見ますと、医師不足を背景に、看護師の役割の拡大を希望する意見も多くあり、今後ますます、高度な職業人養成を大学院で養成することに対するニーズが高まると予想されます。修士課程は既に100を超えており、学部教育の見直しに合わせて、今一度、看護系の大学院における教育の目的や役割について整理をしていただき、高度な職業人養成の在り方についてご議論を頂きたいと思っております。

 なお、論点の(2)と(3)については、こちらの希望といたしましては、論点(1)と関連の深いものではありますが、時間の関係上、(1)の議論をいったんまとめた後、改めて、本格的な議論に入っていただきたいと思っております。
 当方で作成しました「当面のスケジュール案」を資料7に記載しました。以上でございます。

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