介護報酬プラス改定は介護職の処遇を改善したか-10月に調査実施へ
■初のプラス改定は処遇改善が目的
2009年度介護報酬改定では、介護職員の処遇を改善するため、改定率が3.0%引き上げられた。
2000年の介護保険制度創設後に実施された2度の介護報酬改定は連続のマイナス改定となり、特に訪問系など人件費率の高い小規模事業所の経営を圧迫した。介護報酬という決められたパイの中で人件費を捻出しなければならない介護事業者は、国内の景気が徐々に回復の兆しを見せていた2003年以降にも、人材確保に乗り出していた他業界に応戦できず、人材不足はいまだ深刻を極めている。
介護職は過重労働で燃え尽きやすいことが指摘される一方で、平均賃金は施設系職員で男性が22万7千円、女性が20万6千円(06年厚労省賃金構造基本統計調査)と、他業界に比べて低い。「これでは結婚もできない」として辞めていく職員もいるなど、人材が定着しないことが問題になっている。こうした中、介護報酬改定を控えた昨年は処遇改善を求める声が高まり、署名活動や全国集会なども実施された。こうした様々な動きの中で、09年度の介護報酬改定は初のプラス改定を果たした。
ただ、今回の報酬改定は通常の介護報酬改定プロセスとは違い、国民の声を意識した政府・与党側から、突然に改定率が落とされたという経緯がある。政府は介護職員の給与を月2万円増やすとしていたが、実際には介護事業者の運転資金などに回されて給与の増額につながっていないとの指摘が上がっている。
09年度介護報酬改定では、介護従事者の人材確保や処遇改善のため、▽負担の大きな業務への評価▽専門性への評価・介護従事者への定着促進▽人件費の地域差への対応-を3本柱に据え、訪問、通所、施設サービスそれぞれに評価できるようにした。
介護報酬改定について議論してきた同分科会は昨年12月に、今回の報酬改定が実際に個々の職員の処遇に反映されているかを調べて次回改定への議論の素材とするために、同委員会を設置することを決めていた。