介護報酬プラス改定は介護職の処遇を改善したか-10月に調査実施へ
同委員会は、介護関係の検討会ではおなじみのメンバーがほとんどだ。
▽池田省三・龍谷大教授▽千葉正展・福祉医療機構経営支援室経営企画課長▽藤井賢一郎・日本社会事業大准教授▽堀田總子・東大特任准教授▽村川浩一・日本社会事業大教授
■賃金水準や一時金などを調査
調査は、報酬改定の前後で介護職員の賃金がどう変わったかを把握するのが主目的。賃金水準の変化や一時金・手当などによる対応も調べるほか、賃金以外の福利厚生や研修の実施状況についても調査する。このほか、事業所側の収入を把握するため、施設・事業所加算の取得状況も調べる。
調査の詳細については、5月18日に開く次回会合で詳細を決定する。9月中に調査票を発送し、10月に調査を実施する。来年2月以降に開く第3回の委員会に調査結果を報告し、来年4月以降の介護給付費分科会に報告する流れだ。
事務局は調査対象として、国内の介護職員の約7割が働く、▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▽通所介護▽介護老人保健施設▽訪問介護▽認知症対応型共同生活介護▽介護療養型医療施設―を提示。介護職員と看護職員を対象にすることを提案した。
調査項目は、事業所と個人を対象としたものに分け、それぞれ報酬改定前後で比較する。事業所を対象としたものでは、従事者数(常勤・非常勤)の変化、改定前後の給与総額、給与や賞与の引き上げ状況、人事制度の転換、教育・研修体制の変化、職場環境など。個人を対象とした項目には、給与額や手当、一時金のほか、常勤・非常勤など雇用形態、労働時間、夜勤回数などを示した。
委員からは、調査対象や項目などに多く意見が上がり、ケアマネジャーの状況も把握するために居宅介護支援事業所も対象に入れるべきとする意見などが上がった。
■介護職員処遇改善交付金も考慮
ただ、今回の調査では、介護報酬改定の影響だけを調査できない懸念もある。
政府が来週中にも国会に提出する09年度補正予算案には、「介護職員処遇改善交付金」が追加経済対策の一環として盛り込まれている。この交付金は、処遇改善計画を作成して職員に通知した介護事業者に対して、都道府県が設置した基金から、介護報酬額に一定の交付率をかけた額が介護報酬とは別に支給されるもの。10月サービス分からの実施が予定されている。
事務局は、この交付金の影響も考慮しておくべきとして、別途調査を実施することも提案した。