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後発品ある先発品の「特例引き下げ」が重要課題

■ 先発品と後発品の価格差が大きい方が後発品促進?

スライド8_薬価部会5月27日.jpg 続いて、資料「薬―4」(スライド8、後発医薬品使用に係る先発医薬品と後発医薬品との価格差の影響)。
「先発品と後発品の薬価差が大きい方が後発品に置き換わりやすいのではないか」という指摘があって、この議論がある。

  本年度の検証部会の結果から、関連する質問と回答を紹介する。

 1ページ(スライド8)は、保険薬局における調査結果。「患者さんが後発品を希望しなかった理由として何があるか」ということを保険薬局に聞いた。

 最も多かったのは、「(薬剤料等の)差額が小さかったから」。2番目は、「後発医薬品に対する不安がある」だった。

 また、「診療所・病院・医師における調査結果」では、「後発医薬品への変更不可」欄に署名した理由を医師に聞いた。診療所、病院ともに「品質が不安だから」(診療所49.0%、病院51.0%)が最も多かったが、「薬剤料が安くならないから」(診療所3.4%、病院3.3%)は少なかった。

 次のページ、患者さんにダイレクトに聞いた(患者に対する調査結果)。後発医薬品の使用経験がある人に、窓口での薬代の負担感を尋ねたところ、「安くなった」という人が半分ぐらい、「それほど変わらなかった」という人は3割ぐらいいる。「安くなった」という人の中では、「今後も後発品を使い続けたい」という意見が多かった。

 後発品の使用に必要なことについては、「効果があること」(73.5%)、「副作用の不安が少ないこと」(58.0%)が挙がっているが、「窓口で支払う薬代が安くなること」(50.5%)も多かった。

スライド9_薬価部会5月27日.jpg 続いて、「薬―5」(スライド9、薬価調査に基づく後発医薬品の使用状況」。平成20年度の薬価制度改革で後発医薬品の使用状況はどうだったかについて、薬価調査から言えることを資料にまとめた。

 平成19年9月の薬価調査については、既に何度か説明しているが、数量ベースで18.7%、金額シェアで6.6%という数字。それ以降は、小規模な薬価調査を経済課でやっている。平成20年9月、10月、21年1月を調べていただいた。

 実は、なかなか比較しにくいデータ。薬価本調査は、すべての卸売業者を対象に大規模に実施するが、頻繁にやるような調査では、そこまでできないので、調査客対数が非常に限られた中での数字。

 後発品を取り扱う卸売業者は、かなり小規模な卸売業者が多いこともあって比較しにくいが、9、10、11月という伸びは見れるだろうということで出した。
 客体の補正をすると、19.1%(9月)、19.5%(10月)、19.7%(1月)。補正をする前だと、 17.9%(9月)、18.3%(10月)、19.7%(1月)という形で、毎月少しずつ伸びている。 

スライド10_薬価部会5月27日.jpg 続いて、「薬―7」(スライド10、後発医薬品及び新医薬品の収載品目数等の推移)。平成19年度から、年2回収載している。平成19年度は7月と11月に収載している。

 その間は短いが、7月は新規の後発品が19成分、11月はゼロ。平成20年度も似たような状況で、7月は18成分、11月は2成分。平成21年度は5月収載分で、13成分の新規の後発品が出た。 

 平成19年度から年2回収載しているが、現時点では年2回の十分な効果が見えにくい状況。収載月によって大きな差が見られるという状況にある。

 資料「薬―1」(スライド4)に戻っていただきたい。事務局で用意している「平成22年度薬価制度改革における検討事項等」。

 最初は、「後発品のある先発品の薬価改定等」。検証部会の使用状況調査によれば、先発品と後発品との価格差が大きい方が後発品の使用促進につながるのではないかという推測がある。

スライド4_薬価部会5月27日.jpg 先発品の薬価が、後発品が収載されてもあまり下がらないという状況についてどうなのかということもあるので、平成14年度の「特例引き下げルール」導入の経緯も考慮しつつ、後発品のある先発品の薬価改定等をどう考えていけばいいのかを議論していただきたい。

 「薬価改定の頻度」については、「流通で価格が補足できるのか」ということから始まり、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(流改懇)の報告をいただいている。

 これについては、経済課長の説明にあったように、「一程度の改善が見られる」ということなので、今後も動向をフォローしていく必要があるのではないか。

 「後発品の収載頻度」については、年4回やるべきとの議論もあったが、現時点では年2回に変えて、まだ年2回の効果がまだまだ見えにくい状況なので、収載月によって大きな差は見られるものの、年2回の後発品の収載状況を注視していく必要ではないか。

 このような形で検討事項を準備したので、ご審議いただければと思う。説明は以上。

[遠藤部会長] 
 ありがとうございます。今、報告があったように検討課題が3つある。一番目のいわゆる「特例引き下げ」についてどうするかということが、一番重要な課題だと思う。(以下、略)

 ※ 委員の発言要旨は、先発品と後発品の価格差は必要か―5月27日の薬価専門部会をご覧ください。


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