新型インフル 「机で計画立ててもできないことある」厚労省事務局長
【神田】
非常に率直なご意見だった。尾身先生付け加えることがあれば。
【尾身】
行動計画の話だが、ウイルスには不確定要素が多い。すべてのシナリオを前もって書いておくのは不可能。法律を改正した方がよいという意見もあるけれど、強毒性のものが入ってこない保証はないのだし、その時にまた法律でバタバタするよりは、今あるものを弾力的に運用することが絶対だと思う。
国の最大の問題は、先ほども申し上げたようにメッセージがハッキリしないこと。100%の正解は、この世界ではない。どこかで決断しなければならないし、決断を延ばせば延ばすだけ被害が増える。5月22日に対処方針を下げたというのだけれど、あの時とも状況は変わってきている。そろそろ新たな運用で、長期戦に備えるべき時期に来たのではないか。
【沖縄】
2つある。一つ目。わが県は、他の都道府県と海で隔絶している。米軍施設も多い。観光立県でもある。今回のような北米原発の感染症が確認された場合に、逆水際作戦を発動されかねないという危機意識がある。大変な混乱が予測されるので、そのようなことのないよう国からの配慮を求めたい。
2つ目。高病原性のウイルスを想定した計画だからというのは分かるが、ことは人権とも関わるし他の疾病への対応もおろそかになる。行動計画の適用を外して通常のインフルエンザ対応に切り替えるべきでないか。現実問題として保健所でエイズ検査まで手が回らないようなことが起きている。基本的人権にかかわるし生活を制限するようなことも言わなければならないので、基準を明確にしてほしい。職員からのメールで、スノという公衆疫学の大家の先生が昔こう言ったということを知った。「病原菌が人を殺すのではなく、恐怖が死を近づけるのだ」と。この言葉の意味を噛みしめている。
【東京】
今までの対策は一定の効果があったと考えている。東京都でもクラスターサーベイランスを行っているが、A香港型の流行は認められるものの新型に関してはない。そのうえでだが、米国は季節性インフルエンザに準じた扱いをしているその病気を、東京では隔離しないといけない。これは過剰ではないか。感染症法の2類指定ではなく5類指定相当に切り替えるべきでないか。もちろんサーベイランスはきちんとやらなければならないので5類にではなく相当にという言い方になる。監視を強化する方に切り替えるべきでないか。というのも、対インフルエンザで基盤となる組織が24時間対応を続けて疲弊している。第二波に備えるためにも切り替えるべきでないか。