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新型インフル 「机で計画立ててもできないことある」厚労省事務局長


【長崎】
 具体的な提案をしたい。とにかく県内で一例目を見つけるという備えをしていると疲れてくる。そうではなくてクラスターを見つけるということに目標を変えると、少し先生方も安心するのでないかと思う。症例定義も以前は明確だったのが「疑わしい場合」と不明確になった。そこも具体的に考慮してほしい。

【東京】
 迅速診断法が開発されれば別だが、現段階ではクラスターを捕まえていくというのが現実的でないか。サーベイランスをきっちりやるなら、地方衛生研究所の整備も必要だ。それから現行の感染症法というのは、外来治療を想定していない。その問題もある。

【尾身】
 多くの県が疲れてきていて持続は難しいと感じていることが分かった。今回の場合は病原性も低い。だったらなぜ大騒ぎしているのかという話になるが、一点だけ一般の人にきちんと伝わっていないことがある。基礎疾患のある方が亡くなることが想像される。それへの対応をせずに季節性インフルエンザと同じように扱っては、国および地方自治体の責任は果たせないのでないか。

 ウイルスとの闘いというのは、常に想像力を働かせて先回りすることが大切だ。今までは後手に回ってしまうこともあった。ほぼ100%、基礎疾患のある方が亡くなると分かっている。そういう想像力が働く時にガードを下げるのは国や地方自治体の責任放棄だ。

 一方で、このまま措置入院や発熱外来を続けるのも持たない。これをどう両立させるのかがチャレンジ。軽い人にも措置入院というのは確かに現実的でない。その時代は終わった。では誰が入院するのか。若い人が死亡するのを避ける命を救うことを中心に医療提供体制を構築すべきでないか。サーベイランスを主体にしていくという東京都の主張はもっともだ。ただ、極端に悪くなる人も想定されるのだから、病原性が低いという言い方はもうやめた方がよい。米国の例では、タミフルを早期に使ってもなお人工呼吸器に乗る人がいる。これからの対策の成否は、若い人に死亡者がどれだけ出たかで判断されるだろう。

【神田】
 関西の経験で言えば、封じ込めから拡大まで僅か数日だった。発熱外来も数日でパンクしたのが現実だ。教訓を生かしてほしい。では、ここからは抗ウイルス薬やワクチンの状況について伺いたい。

【麦谷】
 抗インフルエンザ薬は、行動計画では、強毒性の想定だが25%が感染し、2300万人に投与されるとの想定になっている。現在3800万人分の備蓄がある。国民の45%分の備蓄をすることになっているので、タミフルに関しては5460万人分まで、リレンザは401万人分まで積む。国と地方は1対1。平成23年には国と自治体の備蓄が終わる。

 ワクチンの候補株はオーストラリアや米国から届いている。7月にはワクチン製造会社に分与できる。そこからだとどんなに急いでも10月か11月にファーストロットが出てくる。第二波の来るのが秋より遅ければ国内生産分だけで間に合うと考えている。

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