命の薬 お金次第
――昨今の経済危機の影響等は聞かれますか。
それはもう、大変痛切な声があちらこちらから上がっています。「私の薬代のせいで、子どもたちに我慢ばかりさせてきてしまった。これからますます苦しくなる。本当に申し訳ない」という嘆きから、「相手や相手の家に大きな経済的負担を押し付けることを考えると結婚に踏み切れない」「年金生活となった後が不安」という将来への不安や悩みまで、いずれも治療が長期にわたるが故の経済的・精神的負担です。中には「子どもの高校・大学への進学を、私の治療費を理由にあきらめさせたくない。こうなったら薬を休むしかない......」と真剣に悩む人も出てきています。私たちはこれを「静かなる自殺」と読んでいます。家族の将来にわたる生活費は保険金でカバーできるのを見越して、自らの命を差し出すに等しい決断を下すのです。
――その解決策として求めているのが、「高額長期疾病(特定疾病)」の指定ということでしょうか。どういったものですか。
ええ、悲観しているばかりでなく自ら立ち上がり、自分たちの声を国に届け、改善を求めようと決めたのです。
高額長期疾病(特定疾病)について少しご説明します。厚生労働大臣によりこの指定を受けると、自己負担の限度額が概ね毎月10,000 円となります。これについて社会保険庁のホームページには2007年当時、「高額長期疾病(特定疾病)にかかる高額療養費の支給の特例」として、以下のような解説が掲載されていました。現在は概要のみが示され、撤去されてしまったのか見つかりません。おそらくもともとは厚労省が提示したものと思いますが、そちらにも見あたりません。当時記録したものを引用します。
「疾病の中には、非常に高額な治療を長期間(ほとんど一生の間)にわたって継続しなければならず、医療費負担が非常に高額に上るものがある。このような疾病にかかった患者について、高額療養費の支給の特例を設けることにより、費用負担の軽減を図ることとしたのが、高額長期疾病(特定疾病)にかかる高額療養費の支給の特例である。
対象となる特定疾病については、治療と疾病名との両方を厚生労働大臣が定めることとされており、その要件は、
(ⅰ)費用が著しく高額な一定の治療として厚生労働大臣が定める治療を要し、かつ、
(ⅱ)(ⅰ)の治療を著しく長期間にわたって継続しなければならない疾病
ということである。
この条件に基づいて、(ア)人工透析の腎不全 (イ)血友病 (ウ)エイズ の三つが定められている。」
私たちは、CMLは上記2つの条件に合致すると考えます。つまり現在の3疾病に加えて、CMLを高額長期疾病(特定疾病)の一つとして追加していただきたいというわけです。