「薬害を防ぐのは組織でなく人」 薬害検証委インタビュー①
――では改めて、薬害を防ぐために何が必要と考えますか。
副作用を薬害にしないためには、事前に分かっているリスクについてしつこい位に、患者や医療現場へ情報提供することに加えて、以下3つの仕組みが必要だと考えています。①現状把握②情報の収集・解析③公表、の3つです。前提として、薬は、効果と引き換えに副作用が必ずあるという文化形成も必要ですが、これは国が何か言ったぐらいで変わるものではないので、置いておきます。
――その仕組みをどう構築するのがよいと思いますか。
やるのは人であって、組織ではありません。現状ではPMDAが担っていて、そこに専門家も集まっているので、まずはPMDAに任せるのが妥当ではないでしょうか。他に組織をつくって、一から人を育てるというのはあまり現実的ではないと思います。
国でやれと主張する委員も多いのですが、薬害が繰り返された時に医薬品行政を担当していたのは国です。独立行政法人になったせいで薬害が起きたというような事実でもない限り、元に戻せという議論はあり得ないのではないでしょうか。国にと主張する方々にその理由を尋ねると、責任の所在と財源を挙げた方ばかりでした。それだけのために、薬害を起こさないような仕組みを捨てるのは釣り合わないと思います。
検討会の事務局に優秀な官僚も入っているのに、彼らは何も言いません。というより言えない。国に置いたら専門家の良心が機能しない何よりの証拠だと思います。