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中央社会保険医療協議会(中医協)―09年度第7回(6月24日)

■ 診療報酬基本問題小委員会
 

6月24日の中医協01.jpg 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会がまとめた「新たな機能評価係数の絞り込み案」について議論したが、意見はまとまらなかった。

 項目の最終決定は診療報酬の改定率が明らかになる年末になる見通しで、議論は難航することが予想される。

 ※ 質疑の冒頭部分は、こちらをご覧ください。

 「絞り込み案」は、6月19日の同分科会での議論を踏まえ、「Ⅰ. 次期改定での導入が妥当と考えられた項目」(4項目)と「Ⅱ. 次期改定での導入を検討するため、更にデータ分析や追加の調査を実施すべきとされた項目」(6項目)に分かれている。

 「Ⅰ. 次期改定での導入が妥当」は、(1)DPC病院として正確なデータを提出していることの評価 (2)効率化に対する評価 (3)複雑性指数による評価 (4)診断群分類のカバー率による評価。

 このうち、平均在院日数の短縮を評価する「効率化に対する評価」に対し、日本医師会常任理事の藤原淳委員が反発。「DPC自体が平均在院日数を縮小(短縮)するというインセンティブが働いているので、二重評価ではないか」などと批判した。

 全日本病院協会会長の西澤寛俊委員も「複雑性指数による評価」について、「これは当然、このようなもの(難しい疾患)を扱っているのは特定機能病院だろう。では、特定機能病院の加算はなぜ出来高で付いているのか。これはダブル評価という見方もできる」として、特定機能病院に対する二重評価になることを指摘した。

 「Ⅱ. データ分析や追加の調査を実施すべき」とされた6項目についても意見はまとまらなかった。支払い側の対馬忠明委員(健保連専務理事)は、「まだ全体的に分科会でも固まっていないので、詰めていただく必要がある」とした上で、DPC評価分科会の資料をそのまま基本問題小委員会に上げる議事運営に対して苦言を呈した。
 また、既にDPC評価分科会で次期改定での導入を見送るとした項目の導入を求める意見もあり、議論が錯綜した。

 遠藤久夫委員長は、全10項目を次期改定で導入することに前向きの姿勢を示したが、「Ⅱ」の6項目について保険局医療課の宇都宮啓企画官は「どのようなデータを使うか、まだ固まっていない項目もある」として、6項目すべてを導入することには慎重な姿勢を示した。

 会議終了後、遠藤委員長は次のように話している。
 「次回についてどうなるかは事務局(保険局医療課)と相談してみないと分からない。専門組織(DPC評価分科会)がつくってくださっていることは非常によく理解できるが、全体の流れから見て、『(分科会で)議論が尽くされているのか』という意見が両側(支払側と診療側)から出たわけです。なので、とりあえずⅠ(4項目)についてはまとまったから、それについて、『もう少し基本問題小委員会で議論しましょうね』ということになった。今後どうなるかはよく分からないが、専門組織で議論されたもので少し進んだものがあれば、それもまた、(基本問題小委員会に)ご紹介されるという形になるのではないかと思う。つまり、(分科会と基本問題小委員会との)"キャッチボール"(で議論を進める)と言うが、向こう(分科会)はテクニカルな面からの(専門的)判断なので、(診療報酬体系)全体を見た話とはちょっと違うんじゃないか、というのが、たぶん両側の意見だったのではないでしょうか。ですから今後、それを少しずつ調整していく形になるんじゃないでしょうか。つまり、Ⅰについては基本問題小委員会で議論して、Ⅱについて基本的には専門組織とここでやるんだと。ただし、対馬さんが指摘したように、基本問題小委員会用に(資料を)整理して出すというやり方で進める。だんだんと、基本問題小委員会のウェイトが大きくなってくると、そういうことです」

 また、会議終了後の会見で宇都宮企画官は次のように述べた。
 「Ⅰについては大体ご了解いただいたなと思いますが、ただまぁ、西澤先生からもう1回、全体との関係というか、『患者全体として負担すべきものとして適切か』とか、『診断群分類の点数ではなく機能評価係数にした方がいいのはなぜか』など、もう少し分かりやすい資料を......、という話だった。Ⅱについては、もう少し項目についての検討も必要だというふうに思われますが......、ま、大体、この6項目に絞るということについてはご了解いただけたのではないかなと思っています。ただ、今後については、さらに分科会でも、もう少し分析できるものは分析して、基本問題小委員会でも、DPCだけでなく出来高を含めた病院の中で、『救急をどうする』とか、そういう議論を併せてしていくと考えています」

 


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