社会状況の違い踏まえ国際比較の議論を-日本小児医療政策研究会
各国の保険制度について。日本は社会保険が行われている。100%カバーしているが、この中でも非常に左に近い。ドイツなどは約90%のカバー率で、日本は100%にならない国に比べたら平等に近いカバー率。
診療報酬支払制度とアクセスの話、ドイツやイギリスはフリーアクセスではないが、基本的に先進諸国の場合、アクセスは自由なことが多い。家庭医の診療報酬は基本的には出来高払いが多い。病院医療についてだが、カナダ、オーストラリア、スウェーデンにしても予算制で、これはまったく考え方が違うということ。出来高払いは「偽市場主義」と言われ、マーケティングといっても完全なマーケットではなく、それでも多少はマーケットのシステムを使う。予算制というのは完全に社会負担で、道路とか警察署とかそういうのと同じ扱い。これは医療体制にずいぶん影響を与えると思うので前提として話す。
イギリスと日本の比較。私が診療していたイギリスでは、小児科医は基本的に病院勤務。プライマリケアは「GP」という一般家庭医が行う。「小児科医=病院勤務医」ということがほとんど。この日本のデータは開業医を抜いている。それでも10人万当たりは、イギリスと比べると多め。小児科標榜病院をイギリスで調べると全国で約200。日本では3500から4000近くある。一つの病院に何人の小児科医がいるかというと、イギリスは20人前後で、日本は1.8人。当然一つの病院に1.8人だと忙しく感じる。20人いるのとではわけが違うが、この場合、病院が担当する小児人口が増えることになる。そこが大きな違い。これはどちらが良いとか正しいとかという話ではなくて、こういう大きい違いがあるということ。