要介護度同じでも、サービス受給量はバラバラ
[池田委員]
自己負担の問題について。介護保険が始まってたくさんの自治体が利用者へのアンケート調査をした。200ぐらいの自治体を全部調べて集計したが、1割自己負担に抵抗感が高い方は2割いた。それで次に1割自己負担があるから支給限度額をめいっぱいつかわないという方は8%ぐらい。1割自己負担が払えないからサービスを減らしているとか、サービスを使っていないというのはわずか3%。したがって自己負担の問題はあるのは間違いないが、割合で言えば小さい問題。なんでこんなに使わないかというと、もっとほかに考えていく必要がある。包括払いにしなければ当たり前とおっしゃったがそうではない。データでも実証できるが、すべての保険者で国保連のデータを見てみると、自治体によって明らかに違う。東京のN市(ママ)はケアマネジメントに積極的に取り組んで、蓄積があるが、明らかに要介護4、5にまとまりがある。埼玉県のある市にも同じ傾向が見られる。まったくまとまりがない自治体も見られて、これは実は保険者がケアマネジメントについてどれほど考えているかが一つ。みんながこうなるわけではない。これを事業者ごとに見れる仕組みをつくってもらい、見てみるともっとはっきりする。明らかにまとまりを示している事業者がある一方、要介護4、5が3より利用量が少ないというのもざらに見られる。これは要するにケアマネジメント、ケアプランの作成が標準化されていないことなどに原因がある。もう一つは家族が家族介護の補完サービスとして在宅サービスをとらえている。なんでかというと、ちゃんと使えるサービスがないから。それを解決しなかったら、認知症が重くなったらみんな施設、というそういう悲劇を生みかねない。10年先を考えた場合、この問題をどうするかということが「認定」という始まりからサービスまでの一連のプロセス。それそのものの見直しを考えないといけない。
[三上裕司委員(日本医師会常任理事)]
この検討会は新しいロジックがどうかということを早く検証して、評判の悪い経過措置を早くやめるということが目的なのでその点について言うと、従来の判定の方がよかったかどうかということは分からないと思うが、ロジックが正しいかどうかというのは2次判定への変更の率が低ければ低いほどいいと考えるべきではないか。そうするとこの資料の2次判定での1次判定結果の変更割合の比較というところで、2009年4-5月は変更率が大きくなっている。重度変更が全体として増えている。今回の判定はばらつきが少ないということだが、軽度になってばらつきが少ないということであれば本当にいいかどうかは分からない。
(中略)
池田委員の言う認定の恣意性、ばらつきについてお願いしたいのだが、要介護認定と福祉業者のサービスと介護報酬がばらついているということは利用者にとって良いようにばらつかされた、恣意的に変えられた、重度変更された、という風に理解していいか。
[池田委員]
介護報酬と重度化の問題は統計情報部が年度で介護給付費実態調査を出しているが、そのデータを見て頂くと、一年間継続して介護サービスを使った人が一年後に要介護がどう変化したかと言う点数が付いている。平成15年にぽんと要介護度が上がっているが、これは認定システムがちょうど変わって、認知症の自立度が比較的認定に関して重くなるようになっている。すごく異常な上がり方をしている。介護報酬との関連を見ると、悪化度の変化が著しいという問題が一つある。もう一点は、要介護1が要支援1、2と要介護1に別れた時。この時に奇妙な変化が起こっている。要介護2-5の認定率が上がっている。俗語を使うと、明らかに「引き上げられている」傾向がある。これは介護報酬とは関係ない。認定システムが要支援1、2と要介護1に変わった結果。どうして起きるかと言うと、一番考えられるのは、直営で調査員がやっているところはあまりないと思う。データで調べてはいないのだが。ただ、施設でケアマネが訪問調査等をやっていると、非常にやりやすいことがあって、そうだと断定するつもりはないが、検証する必要がある。
ばらつきが少なければ少ないほどいいというのは賛成。ただ、今回のデータは経過措置適用後のものなので、次に出てくるデータによってくると思う。もう一つは、要介護認定審査会の人たちが、利用者のことを考えて大きな変化を避けるために現状のサービス利用に合わせた形にしたという可能性があるので、今回のばらつきの大きさがどうなのかというのはもう少し時間をかけてみる必要がある。
[筒井委員]
(中略)2次判定はエキスパートシステム。変更率が変わらないからいい結果とは限らない。
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