助産師の卒後研修の必修化を―日本産婦人科医会
日本産婦人科医会の寺尾俊彦会長(浜松医科大学長)は14日に開いた記者懇談会で、助産師不足を解消するために現在の実習で「10例程度」必要とされているお産件数を半減することなどを提案した。「残る5人を卒後にしてはどうか」と述べ、助産師の卒後研修の必修化を求めた。(熊田梨恵)
助産師の資格を取るには、看護大などで4年次に「助産師コース」を選び、卒業時の国家試験に合格して取得するルートが現在は主流。看護師資格を取得後に、1年間の助産師学校などでの教育・実習を受けていた頃に比べると、実習が不十分になっているとの指摘がある。
大学での実習には必修単位が設定されているものの、卒業に必要なほかの単位も履修しなければならないこともあり、以前と比べて実習期間を短くしているケースが多い。さらに、「10回以上」とされていた実習時のお産の取り扱い件数が、89年に「10回程度」に変更されており、2-3回しか経験しないまま現場に入る学生もいる。妊婦や家族からのクレームを恐れて実習生は見学にとどめる場合もあるという。
寺尾会長は「実習のネックである10人を緩和してもらえないか」と述べ、卒前と卒後で分けてお産を経験することを提案した。
田中政信常務理事(東邦大医療センター大森病院産科婦人科教授)は、大学病院のお産はハイリスクのケースが多いために、実習に向くローリスクが少ないと主張。また、妊婦から実習生が関わることを断られることが多いとして、「大学病院では実習できない」と訴えた。「助産師コースでは一例でも(お産を)取って、資格を取ってからお産を扱うのがいいのでは」と、医師資格のように卒後研修でお産を扱っていくことを求めた。
今村定巨顧問(日本医師会常任理事)も、実習に必要なお産件数など卒業するまでのハードルが高いとして、「卒後に研修をしたらいいのでは」と述べた。