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新型インフル 「厚生労働省を信じてはいけない」


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 これが今回の治験実施計画書の要約。これが既におかしい。私の所には論文のレビューもよく回ってくるけれど、もしこの論文が来たら、見た瞬間にリジェクトする。

 インフルエンザワクチンの接種に関しては、既に標準治療がある。2回打ちだ。それなりの科学的根拠があって1回ではなく、2回になっているはずだ。もし、そこに科学的根拠がなくて2回打ちしているとしたら、感染症科の先生たちはもう科学者だと言うのをやめた方がいい。

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 こういう場合に行われるのは非劣性試験と言って、標準治療が存在する時に、効果は劣る代わりに別のメリットがあるような治療法をテストし、劣る効果と得られるメリットとを比較検討するためのもの。今回の場合、標準治療は2回打ち、効果は抗体価の上昇、メリットは接種人数が増えること、になる。

 そもそも抗体価の上昇が指標として適当なのかという問題、被験者数が少ないために出てきたデータが実際に取りうる値がメチャクチャ広いという問題にはあえて目をつぶって、抗体価は効果の指標として正しく、78%と88%が真であると見なしたとする。それでもこの試験から導き出せるのは、2回打ちに比べて1回打ちは抗体価の上昇が10ポイントほど低いけれど、それを容認してでも接種人数を増やすべきか、ということになる。そして、これは科学的な判断というよりも、国民が容認するのか否かという議論をしないといけない話だ。また通常は、試験結果が出てから議論するのではなくて、最初にこの程度の低下なら許容しようかというのを議論したうえで、試験に入る流れになる。こんなのは学生でも半年ぐらい勉強すれば分かること。

 たかが10ポイントと思うかもしれないが、先ほども述べたように被験者数の問題で幅のブレる可能性が相当あるということと、健康人を対象に理想的な環境下でやった治験の結果は、実際の臨床現場に持ってくると大抵出方が全然違う。そんなのは臨床試験をやったことのある人間なら皆知っていることのはずだ。今回、2回打ちに比べて抗体価の低下があるということは、1回打ちにした時に免疫のつかないという人が続出する可能性を覚悟しないといけない話だ。

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