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ニュース〜医療の今がわかる

新型インフル 「厚生労働省を信じてはいけない」


 それでも、まあ百歩譲って、成人に関しては国民も納得し得る結果が出ているとしよう。次の問題は、なぜ20歳以上を対象に治験を行ったのに、13歳以上は1回でよいという話になってしまったか。そんな結論を導き出してよいのか。

(専門家会議では、新型と同じH1N1型である季節性Aソ連型に過去に感染した際に、新型に対しても基礎的な免疫を得ている可能性があるという推論の上に、13歳以上ならば同様に基礎的な免疫を得ているだろうという推論を二段階重ねて、この結論を導き出している。その根拠は示されていない)

 この試験から言えるのは、20代から50代までの健康な人に接種すると1回打ちの場合は抗体価の上がりが落ちるけれど許容できるかぐらいしかない。中高生が被験者に入ってないのに中高生の判断をしたらいけないだろう。

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 どうやら13歳未満は大人と違うから2回打ちのままにすることになったようだ。であれば、話を簡単にすると中高生は大人と同じかという話になる。そんなものどう考えても違うし、そもそも今回は中高生の罹患や重症化の例が多い。

 そして最も大事なニュースというのは、10月14日に新聞に出ている。愛知県で16歳の男子高校生が脳症で死亡したというもの。インフルエンザ脳症を教科書で調べてみると、季節性インフルエンザによるものは5歳以下に多いと書いてある。私たちの常識でも幼児がなるものだ。ところが今回のインフルエンザに関しては好発年齢が少し高いことが既に分かっている。季節性インフルエンザの経験あてはめをしてはいけないことが一目瞭然ではないか。

 臨床試験の勉強をした人なら絶対に合意しないようなことを、この専門家会議では合意してしまっている。この国は危険だ。素人が判断して、垂れ流されたものを皆で拝んでいる。

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