新型インフル 行政の矛盾が露呈 医療構想・千葉シンポジウム②
竜
「厚生労働省のお上の通達がおかしいから医療が崩壊した。新型インフルエンザワクチンの問題でも足立政務官が医系技官が勝手に進めようとしたのに待ったをかけたら、まるで政務官の方が悪いような報道がされている。当分混乱は続くと思うが、しかしこと医療に関しては医系技官より我々の方がプロだ。自信を持って発言していこう」
田口空一郎・発起人
「医療政策の決定プロセスが問われているのだと思う。これまで行われてきたのは利害調整であってエビデンスに基づいているわけではない。保険搭載などにもエビデンスが反映されず、被害者団体とか支払側の保険者の意見とかが過度に反映されてきたのだと思う。どうやって決定プロセスにエビデンスを反映させていったらよいか」
薗部
「まさに、この会はそういうことをめざしているのだと思う」
黒木
「医療従事者、関係者で専門家として議論することも大切だと思うが、しかし社会にはまた異なる文化・文脈があり、そのまま受け入れられることはあり得ない。その異なる文脈をつなぐ通訳をいかに育成するかが新しい課題として現れているのだろう」
薬剤師会・田中氏
「今回の新型はトリじゃなくて良かった。トリに備えて、対策としてワクチンを国家プロジェクトに位置づけるべきでないか。それから、今回ワクチンの優先接種対象者に薬局薬剤師が含まれていない。日薬も県薬も優先接種の要望を上げているが未だに回答をいただけていない。薬剤師が対象になっていないことをどう考えるか」
薗部
「厚生労働省は予防接種に全く後ろ向きだった。今はそのツケが出てきている。世界を見渡せば国自身が戦略的なものとしてワクチンを捉えており危機管理の重要な道具として、先行投資して表には出ないけれどだいぶメーカーへ補助をしているようだ。インフルエンザワクチンなどに関して、日本の技術は極めて高い。今1000億円でも2000億円でも投資すれば経鼻の全粒子ワクチンを開発できるのに、そうしたものを進めようとする時に法律の制約があまりにも強い。最終的にはワクチン接種が当たり前になるようにしておけば新興感染症にも、すぐ対応できたはず」
黒木
「調剤薬局は地域医療の大事なパートナーだと考えている。ワクチン行政の矛盾が露呈されたのだと私も思う」