心肺停止患者の搬送・受け入れ詳細調査、来月実施―消防庁
総務省消防庁は17日、来月1日から一月間、心肺停止状態の患者の搬送・受け入れの詳細調査を全国で行うことを明らかにした。照会回数や受け入れられなかった理由のほか、搬送先医療機関の種類や家族からの希望などについても調べる。結果は年度末までに公表される予定だ。(熊田梨恵)
消防庁は同日開いた救急医療の有識者会議に、調査項目案を示した。
消防庁では救命率向上を目的に、2005年度から心肺停止状態の患者の搬送・受け入れについて調査を実施してきている。救急隊が行う救命処置の効果の検証や評価、救急救命士の業務拡大について議論する際に使われる「ウツタイン統計データ」として蓄積されているものだ。今回の調査は、このウツタイン統計の調査に新しい項目を加えて行う。結果は報告書にして年度末までにまとめられる予定。
<「ウツタイン統計」で既に行われている調査項目>
発生年月日、性別、年齢
救急救命士乗車 □あり □なし
医師の乗車 □あり □なし
医師の2次救命処置 □あり □なし
1.心停止の目撃
□ 目撃、または音を聞いた(時 分) □家族 □その他のバイスタンダー(□友人 □同僚 □通行人 □その他)□消防隊 □救急隊(□救急救命士隊)□ 既に心肺機能停止(発見時)
2.バイスタンダーCPR
□あり (□心臓マッサージ □人工呼吸 □市民等による除細動) □なし
バイスタンダーCPRまたは市民等による除細動開始時刻(時 分) □確定 □推定 □不明
□口頭指導あり
3.初期心電図波形
□VF(心室細動) □Pulseless VT(無脈性心室頻拍) □PEA(無脈性電気的活動)□心静止 □その他( )
4.救急救命処置等の内容
□除細動(□二相性 □単相性) 初回除細動実施時刻 時 分 施行回数( 回)(実施者 □救急救命士 □救急隊員 □消防職員 □その他)□気道確保 □特定行為器具使用( □LM □食道閉鎖式エアウェイ □気管内チューブ )□静脈路確保□薬剤投与 初回投与時刻(時 分) 投与回数( 回)
5.時間経過
覚知 (時 分) 現着 時 分 接触 (時 分) CPR開始 (時 分) 病院収容(時 分)
6.心停止の推定原因
□心原性:□確定 □除外診断による心原性□非心原性:□脳血管障害 □呼吸器系疾患 □悪性腫瘍 □外因性 □その他( )
7.転帰及び予後
・病院収容前の心拍再開 □あり □なし 初回心拍再開時刻(時 分)
□ 1ヶ月予後 (回答:□あり □なし)
□ 1ヶ月生存 □ あり □ なし
◎ 脳機能カテゴリー(CPC)
□ CPC1 機能良好 □ CPC2 中等度障害 □ CPC3 高度障害□ CPC4 昏睡 □ CPC5 死亡、もしくは脳死
◎全身機能カテゴリー(OPC)
□ OPC1 機能良好 □ OPC2 中等度障害 □ OPC3 高度障害□ OPC4 昏睡 □ OPC5 死亡、もしくは脳死
<追加で新しく示された調査項目案>
8、現場出発時間(時 分) ...救急車が動き出した時間
9、紹介回数( 回)...1病院に複数問い合わせた場合も1回毎に計上
10、受け入れに至らなかった理由ごとの件数(手術中、ベッド満床、処置困難、専門外、医師不在、初診(かかりつけ医なし)、理由不明)
11、搬送先医療機関(初期、2次、3次...○で囲む)
12、家族及び関係者が傷病者への救急救命処置等を望まない旨、言われた事案□ 該当□非該当
13、死後硬直または死斑疑いがあった事案□ 該当□非該当
委員からは新しい項目の「12」について「(救急隊員)個人の主観が入る気がする」(東京消防庁)といった意見などが出された。消防庁は他に指摘された部分の修正も加え、来月に調査を開始する予定だ。
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