噛み合わない「仕分け」議論 経産省の保険外サービス推進事業に「廃止」判定
経産省側は、「これまでは公的負担の中でしかサービスを伸ばせなかった」として、保険外サービスを充実させて保険給付サービスと連携させ、制度体系は現状のまま実施が可能な取り組みを進めることが省庁間の役割分担になると答えた。
仕分け人はこれに対し、現在の医療制度の在り方自体が問題だとして、混合診療について省庁間で協議するなど制度そのものを変える事に注力すべきと応じた。「医療産業を伸ばしたいという気持ちは分かるし賛成だが、混合診療を認められないとかで、こういう産業が伸びる芽を摘まれている状態がある。むしろ法令改正とか厚労省と垣根を超えた折衝して、こういう産業が伸びるような制度的枠組みを作る措置ができて、初めて花開くのでは」、「どうせやるなら混合診療法的問題のクリアとか、各省庁同士で相談して自治体と連携を取っていただき、みんなで協議する、みんなで矛盾点探し出すというネットワーク機能を厚労省も経産省も旗を振ってやって頂ければそれで必要十分で、お金を国が出すということについて理解できない」。
事業内容の分かりにくさや医療制度の整備の必要性を訴える仕分け人に対し、保険外サービスを充実させて医療や介護と連携させたいと経産省は主張。議論は全く噛み合わなかった。
結果は、14人いる仕分け人のうち「廃止」が9人、「予算計上見送り」が3人、「予算縮減(3分の1程度に)」が1人、「予算要求通り」が1人だった。
WGを取りまとめた民主党の菊田真紀子衆院議員は次のように述べた。
「廃止を求めたいと思います。色々議論されましたけれども、本事業の意味がよく分からないという意見が大変多くございました。いろんな規制緩和の問題とかありますが、まずそちらを先にやるのが本筋ではないかと。このような業務が伸びないのは、法整備と各事業者のコーディネートの問題であるという意見が出ております。厚労省所管の諸制度と連携を図りながら規制の見直しに取り組むのが先では。どういう姿になるのか見えない中で、32億円の国費をを投じて国がやる事業ではないというのが結論です」
この結果について、土屋了介院長は「保険などの医療の仕組みは複雑。周辺サービスが充実すると医療界にも良いという事はなかなか一般には理解されにくい」と話した。
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