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噛み合わない「仕分け」議論 経産省の保険外サービス推進事業に「廃止」判定

 慢性期医療などの分野に保険外サービスを充実させて地域インフラを構築するとして、経済産業省が来年度予算に32億円を概算要求した事業について、行政刷新会議のワーキンググループは25日「廃止」と判定した。経産省は保険外の民間サービスと保険給付の医療・介護サービスの連携の重要性を訴えたが、仕分け人は混合診療など規制緩和を省庁間で協議すべきと述べるなど、議論は全く噛み合わなかった。(熊田梨恵)

 経産省が予算要求している「安心ジャパン・プロジェクト」は、民間による保険給付外のリハビリや看取りなど在宅医療に関するサービス、看護師の開業支援など、今後増加が見込まれる介護予防が必要な高齢者や慢性期患者への様々な生活サポート事業を地域に展開していくモデル事業。保険外サービスと保険給付の医療・介護サービスと連携させることに重点を置いていた。1件につき約2億円として、計10件の採択を予定。
 
 事業の構想にも協力した国立がんセンター中央病院の土屋了介院長は、「医師や看護師不足の解消は職種間での役割分担だけでは足りない。民間でできるようなサービスまで保険で見て医療でやろうとしているから、病院や医療従事者に負担が来てしまっている。リハビリなど民間でも医療と協力しながら担える部分はあるので、周辺産業が立ち上がれば医療者は医療そのものにもっと専念できるし、ゆとりができる。これは厚労省ではできない事」と話す。
 
 
 事業仕分けの議論で財務省側は、「社会的実験モデル事業として実施件数10件は過大」、「民間事業者にも応分負担を求めるべき」などと主張。総務省で行っている地域での見守りに関する類似事業があることや、イトーヨーカドーやイオンなどが実施している宅配サービス事業が既にあるとして、事業自体の必要性に疑問を呈した。
 
 仕分け人からは「既に創意工夫しているところになぜ国費を投入しなければならないのか」、「10のモデル事業が1件でも欠くとダメになるのか」「話が高尚で事業の意味が分からない」など事業自体にイメージが湧かないとして、必要性を疑問視する意見が多く出た。

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