「中医協の意見書」が密室で決裂、問われる国民代表
■ 「公益委員は1号側の意見を採り入れた」 ─ 嘉山委員
< 中医協終了後に行われた診療側の会見 >
─ 事実関係を確認したい。支払側(の白川修二)委員によると、公益委員が各側折衝の際に裁定案を示した。支払側は公益委員の裁定案に対し、表現など一部の修正を除いてほぼ同意した。それを公益委員が2号(診療)側に示したところ、「2号側が拒否した」と説明しているが実際はどうか。また、公益委員から示された裁定案はどのような内容だったか。
[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
私から説明します。(同日の総会に提出した)私たちの要望書の内容を(公益委員作成の意見書案の)4の3つ目の丸(結論部分)に書いていただきたいというのが私たちの要望でした。公益側に、(要望を)かなり入れていただきましたが、両論併記の診療側の意見の中に入っていました。
しかし、私たちの要望は(2)の提案(薬価引き下げ分を含む診療報酬全体の引き上げ)を「診療側の意見」の所ではなく、(中医協)全体の結論の所に入れてくれということですので、「入っている場所が違う」ということです。ですから、私たちから見ると、公益側から示されたもの(裁定案)は私たちの要望を採り入れていただけなかったということです。私たちから見ると、「調停をしていただいた」という感覚はございませんでした。
[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
今の西澤先生のお話のように、我々7人の委員としては「調停」と言われましても、1号(支払)側の意見だけを採り入れて結論を出したと感ぜざるを得ない。なぜかと言えば、1号(支払)側は「この結論(診療報酬全体の引き上げ)は入れないでくれ」、2号(診療)側は「入れてくれ」と言った。結局、公益側が採ったのは「入れない」という結論です。
そこで、「公益委員というのは一体どういう立場なんだ」と我々が(公益委員に)呼び出された時に言ったのですが、「調停です」と言う。「調停です」と言いながら実際には調停せずに判断はしている。つまり、「1号(支払)側の意見を公益委員は採り入れた」というのが我々の感想です。
[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
社会保障審議会(の医療部会と医療保険部会が策定した基本方針)でも、両論併記か3論併記みたいになっていますね。そうであれば、「あまり意味はないのではないか」というのが我々7人の......(意見)。
やはり全体の医療費の底上げというのがなければ、私が(委員に)入って2回(の改定)と変わらない。また同じことが続くんじゃないか。
[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
公益側の「調停案」というのは、ここに(資料として)ないのですが、(意見書案の)丸の1番(前文)、2番(支払側と支払側の意見)の所に、(診療側の要望を)ある程度採り入れてくれました。
我々としては、「(意見書の)文章の結論部分に『診療報酬全体を引き上げる』ということを入れてほしい」と要望しましたが、「それは認められない。結論の所に診療報酬上の引き上げは入れられない」ということでしたので、「それでは納得できない。結論部分に入れていただきたい」というのが我々の譲れない要望でしたので、それで「不成立」ということにされました。
[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
(意見書の)丸2番(両論併記の部分)は要するに何を書いても関係ないんですよ、(両側の意見に)相違が見られたわけですから。「一方はこう言っている」、「他方はこう言っている」ということ。
問題は、公益委員が2つの意見をまとめて、あるいは調停して、結論として何を出すかということです。ところが、公益委員が出してきた意見では我々の意見がすべて退けられて、「結局、(医療費を)上げないよ」という従来の政策の中身を採り上げたということです。
公益委員は国民の目線であるべきなので、「調停(委員)」ではないはずです。ですから、我々としては「非常に残念である」、「遺憾である」と考えています。
【目次】
P2 → 「中医協として改定についての意見具申は行わない」 ─ 遠藤会長
P3 → 「公益委員は1号側の意見を採り入れた」 ─ 嘉山委員
P4 → 「中医協はメッセージ1つ出せないのか」 ─ 邉見委員
P5 → 「非常に悩んだ心の内を知っていただきたい」 ─ 西澤委員
P6 → 「公益側が全部潰したということではない」 ─ 厚労省