第一回ADR機関連絡調整会議開催
小松
「私たちのADRでは必ず双方を呼ぶ。第三者が両方の意見を聴いて話し合いをする。第三者がいることで、医療者も話しやすくなり、謝るべきところも謝りやすいという声がある」
児玉
「対話が本当に大切。医療側も10年取り組んできた。コミュニケーションスキルの修練も進んできた。私などの目から見て、死亡や重度の後遺症などの重大な事案で、かつ医療側に法的責任がないと思われるようなものの場合、ADRの活用は難しいのでないかと思っていたが、医師が初動から向き合ってきちんと説明した場合には、意外とそうでもない。最後の最後に納得できないという気持ちが残る時は訴訟しかないが、それでもADRの場は訴訟とはだいぶ違って、被害者も医療側も同じラウンドテーブルを囲んでやる。そうすると、これはとても無理なんじゃないかと思っていた思っている事案でも、仲裁人の巧みなリードで、本音が出てくるようになり、とても人の気持ちの大切にできる仕組みだと思う。納得できない気持ちの正体がどこになるのか探るということでも、ADRは対話を促進する一つのありようと感じている」
佐々木
「これからそういう方向に向かうということは理解した。ただ、きちんとした話し合いをするには協力医が必要で、なおかつ情報をきちんと教えてもらえる必要もあるが、どこまで教えてもらえるものなのか」
児玉
「きちんとした病院ではカルテ開示したうえで説明するのが出発点。そこで納得されなかった場合にさらに話し合いをする場としてADRを利用している」
和田仁孝・早稲田大法科大学院教授
「客観的なデータがあれば教えてほしい。弁護士の選任率と、申し立てた本人と医療者が同席で実施しているのか、別席で実施しているのか、どちらがデフォルトというものがあれば」
西内
「今日は出てないが検証報告書には詳細に出ている。同席型かどうかはデータを取ってない」
児玉
「どちらか分別してやるようにはなってない。併用してケースバイケースで使い分けている。他の弁護士会では、期日決めも含めて完全別席のところがあるのは見たことがある。それでいいのかなとは思うし、問題はいかに柔軟に対応するかで、統計の取りようがない」
増田
「同席・別席の統計は取ってない」
植木
「代理人を選ぶのなら裁判と同じ。そこまでしなくても相談できる点がメリット。調停まで行った場合には、弁護士がリードすることになるので、裁判所のやり方を踏襲して原則別席で最後の解決の時だけ同席するようにしている」
鈴木
「同席と言っても、誰と誰が同席かという問題はある。対話の促進という場合には当事者同士である必要があり、担当医が出てくることが大事だが、患者側はたいてい本人が出てくるけれど、医療側は多くの場合は管理責任者、事務長とか総務課長とかが出てきて、申立人からすると、あなた方と話をしても仕方ないでしょうという人が出てきてしまう。私も仲裁人を務めているが、その際には原則同席にするように持っているが、仲裁人で十分に協議しないと、手続き主宰担当の仲裁人が既存の調停と同じように別席原則と思い込んでいることがあり、そういう時は別席になってしまう。同席は重要だ。ただ、日程の問題で斡旋仲裁人がいない時にも、病院で当事者同士で話をするようなこともある。問題は、どうやって紛争を解決できるかということであり、双方が解決したいということで一致点を見出せれば動きようはある」
児玉
「植木先生のコメントで誤解があるといけないが、今は裁判所でも最後だけ同席とは限らない。ADRはフォーマルな感じがしないことも大きくて、解決には、対話・コミュニケーションの技術が大切と感じさせられる」
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