「労基法違反がバレバレになる」 ─ 厚労省課長
■ 入院基本料と地域特性
中医協では次期改定に向けた検討課題として、診療側が5月26日の総会でコストの明確化を求めた。
具体的には、▽基本診療料に含まれるとされる建物・設備等のキャピタル・コスト ▽人件費等のオペレーティング・コスト ▽技術料の積算根拠の明確化 ▽原価計算による根拠に基づく点数設定─などを挙げている。
また、医師や看護師不足に悩む地方病院を救うため、「需要と供給の実態に基づいた地域特性の把握」を求めている。現在の入院基本料は、看護職員数などを基準に設定されており、看護師の数が多ければ高くなり、少なければ低くなる。
しかし、「13対1」(患者13人に対し看護職1人)の病院がその地域で唯一の救急病院を担っているケースもあるという。そのため、一定の地域について入院基本料の要件を緩和することや、全体的な底上げを図ることなどを病院団体は求めている。
しかし、地域の特性について「土地代」も含めて考えると、地方が逆に不利になる恐れもある。例えば、聖路加国際病院がある東京都中央区と、兵庫県赤穂市、札幌市豊平区などの地価は違う。「医師や看護師が集まりにくい」というマンパワーの問題に限定しないと、地方病院に不利に働くかもしれない。
さらに、医療機関の運営に掛かるコストを詳細に調査すると、グレーゾーン、ブラックゾーンが「バレバレ」になってしまう恐れもある。
医師の当直などに関して、時間外手当をきちんと支払っているか、労働基準法に違反していないか。また、自治体病院の高コスト体質も明らかになってしまう。
「徹底的にコストを調査してほしい」と病院団体が求めるなら厚労省も本気でやるが、それでも構わないか。"佐藤課長流"の切り返しといえる。(発言の詳細は5ページ以下を参照)
【目次】
P2 → 入院基本料と地域特性
P3 → 「いくら必要かという調査ではない」 ─ 田中分科会長
P4 → 「あるべき姿のコストを出してほしい」 ─ 西岡委員
P5 → 「改善だけでは済まない」 ─ 西田委員
P6 → 「労働基準法違反がバレバレになる」 ─ 佐藤課長
P7 → 「思い切ったことをやらないと難しい」 ─ 佐藤課長