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ニュース〜医療の今がわかる

「労基法違反がバレバレになる」 ─ 厚労省課長

■ 「いくら必要かという調査ではない」 ─ 田中分科会長
 

[田中滋分科会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)]
 それでは、ただ今より第16回の診療報酬調査専門組織「医療機関のコスト調査分科会」を開催させていただきます。お暑い中、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。
 まず委員の交代についてご報告いたします。平成21年8月5日付で、井部(俊子)委員、手島(邦和)委員、高木(安雄)委員、原(正道)委員がご退任されました。(委員名簿はこちら
 また、8月10日付で次の4名の方が新委員として発令されておりますので、ご紹介いたします。
 聖隷浜松病院副院長兼総看護部長、勝原裕美子委員です。
 浜松医科大学医学部附属病院教授・薬剤部長、川上純一委員です。
 全国社会保険協会連合会顧問、近藤俊之委員です。
 聖路加国際病院事業管理部財務経理課マネジャー、渡辺明良委員です。
 以上、4名の方でございます。どうぞ、積極的に参加してくださいませ。(中略)

 では、早速審議に入らせていただきます。本日は、議題が2つございます。
1つ目が、平成21年度「医療機関の部門別収支調査の実施に関するアンケート調査報告」についてです。
 2番目が、平成22年度「医療機関の部門別収支に関する調査の実施(案)」についてです。この2つを議題としたいと存じます。
 2つの議題は関連しますので、資料については、一括して事務局(保険局医療課)より説明をお願いいたします。では、渡辺室長、よろしくお願いいたします。

[保険局医療課・渡辺由美子保険医療企画調査室長]
 保険医療企画調査室長でございます。それではます、お手元の資料を確認させていただきたいと思います。(中略)

 ▼ 資料はこちらを参照。

 前回の20年度調査では、結果的には、(回答できた病院が)DPC対象病院、準備病院に限られていたわけですが、できればもう少し幅を広げた形でお声掛けをして、参加いただくという方法をとれないかということでございます。

 具体的な簡素化の骨格でございます。次の2ページ目をご覧ください。(中略)

調査項目の簡素化(案)

1.職種区分の簡素化
 現行の職種区分(14 区分)をある程度まとめて簡素化してはどうか。具体的には、医療経済実態調査の区分(10 区分)に合わせてはどうか。
2.保険外収益
 保険外収益の金額については総額のみを記載することとし、診療科ごとの保険外収益については、金額を記入する形ではなく、振り分けの基準についていくつかの選択肢を示し、各病院に選択させる方式としてはどうか。
3.部門毎の延床面積
 各病院には可能な範囲で各部署の面積を記入してもらうこととし、共有スペースや判断不能なスペースについてまとめて面積を記入する欄を別に設け、この欄に記入されたものについては、「職員数比」などあらかじめ定めた一律
の配賦基準で割り振ることとしてはどうか。
4.実施場所調査
 本調査については廃止する、又は本調査の対象となる診療行為数を限定することとしてはどうか。
5.医師勤務調査
 個々の医師の給与は調査せず、勤務時間割合についても診療科医師全体について代表者が記入する方式としてはどうか。

[田中滋分科会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)]
 はい、ありがとうございました。では、委員の方々から意見や質問を伺います。始めに、ただ今の説明の前半ですね、医療機関の部門別収支調査の実施に関するアンケート調査報告について、ご意見、ご質問をお願いいたします。
 どなたでも結構です。よろしくお願いいたします。

 (挙手がないまま45秒経過。ようやく小山委員が挙手)

 はい、小山委員、お願いいたします。

[小山信彌委員(東邦大学医学部外科学講座心臓血管外科教授)]
 基本的な質問で誠に申し訳ないのですが、(収支状況調査の項目に)「職種別職員数・給与」とありますが、この「給与」というのはそこで実際に支払われたものを「給与」としているのでしょうか、それとも違うのでしょうか。

[渡辺由美子保険医療企画調査室長]
 これは実際に支払われたものということで、20年度(調査)では(20年)10月の1か月分のデータです。

[小山信彌委員(東邦大教授)]
 そうすると、病院によって全部、給与体系が違いますよね。全部、違った「給与」で原価を計算してるってことになるんですか?

[渡辺由美子保険医療企画調査室長]
 そうでございます。まず最初に病院からデータを出していただいて、その病院ごとのデータを基に、それぞれの病院に合ったフォーマットを作りまして、それぞれの病院の患者数などで割り振りをしていくということです。

[小山信彌委員(東邦大教授)]
 そうすると問題になってくるのは、コスト調査をしたときには、各病院が採算に合うような形の給与体系をとっていると思うんですよね。
 そうすると、本当に必要な経費という形で出てくるんでしょうか。つまり、例えば、言い方は悪いんですが、公的な病院はある程度給与が良くて......という話がありますよね。民間の場合は黒字にしなきゃなりませんよね。給与体系が違いますよね。
実際、いろんな統計の中でも、かなり給与に差がありますよね。そこら辺はどう考えたらいいんでしょうか?

[渡辺由美子保険医療企画調査室長]
 「医療経済実態調査」(実調)の問題でもあるわけですが、公立病院と民間病院とでは、かなり給与体系が違うということもありますが、そこはやはり、例えば、「医療経済実態調査」でしたら、給与データはそれぞれの病院ごとの積み上げという形。
もちろん、公立と民間という(設置)主体別のデータも出しております。
 基本的には、それぞれの実態データをベースに出しておりますので、この部門別(調査)でも、(内科部門や外科部門などに)振り分けるときにそれぞれの病院のデータをベースにしているという考え方でございます。

[小山信彌委員(東邦大教授)]
 そうしますと、この調査はあくまでも実態調査であって、コストを調査する......。この医療行為に対して、どれぐらいのコストが必要だという調査にはならないと考えてよろしいのでしょうか?

 (委員ら、ざわつく)

 ▼ このコスト調査はあくまでも"診療科間のデコボコ"を調べるものであって、不採算部門を助けてあげようという良心的な調査ではない。また、入院基本料の内訳を明らかにする調査でもない。儲かっている診療科の報酬を下げ、医師不足が深刻な診療科を引き上げる根拠として使うというゴールはすでに見えている。(医療経済実態調査の補完資料)
 さらに中長期的にいえば、混合診療の解禁も視野に入れ、保険給付の範囲と保険外の自費診療との切り分けを進める意味もあるだろう。すべての国民に必要な最低限の保障は健康保険でやるが、喫煙や不摂生など「自己責任」に起因する疾患については公費の支出を抑え、できる限り自己負担で対応させるような方向に進んでいくことが危惧される。

[田中滋分科会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)]
 私が答えます。その通りですね。これは「いくら必要か」という調査ではなくて、「今いくら掛かっているか」であって、それは多くの人が持っている常識によって、データを読めばよろしいと思います。

 ▼ 日本の社会保障はもう末期である。

 はい、石井委員、お願いいたします。

[石井孝宜委員(石井公認会計士事務所所長)]
 保険外収益の議論に関して。(中略)例えば、自治体病院等はですね、一般会計からの負担金をかなり相当額、医業外収益ではなくて、医業収益の中で計上している事例もあります。
 そういった事例については、どういう考え方をとっていくのか、1つ重要な非常に項目になるんじゃないかと思います。(中略)

【目次】
 P2 → 入院基本料と地域特性
 P3 → 「いくら必要かという調査ではない」 ─ 田中分科会長
 P4 → 「あるべき姿のコストを出してほしい」 ─ 西岡委員
 P5 → 「改善だけでは済まない」 ─ 西田委員
 P6 → 「労働基準法違反がバレバレになる」 ─ 佐藤課長
 P7 → 「思い切ったことをやらないと難しい」 ─ 佐藤課長

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